Splash Splash ○○○○　＊あらすじはありません

韓国ドラマ
「ポンダンポンダンＬＯＶＥ」
（퐁당퐁당 러브. 2015年）

【タイムスリップ型の成長ロマンス物語ドラマ】
- MBC創社記念特別ドラマ -
昨年１２月に放送されたMBC特別ドラマ「ポンダンポンダンＬＯＶＥ」は、タイムスリップを素材に高校三年の少女と朝鮮王のファンタジーロマンスを描いた作品だ。ドラマはウェブ用と地上派放送用に作られ、MBCはドラマの長さを１０分長さの短劇ドラマ映像(全２話)に再編集してNAVER TV CAST（全１０話）で先放映した ---

二部作で２時間２０分足らずだから一本の映画を見終えてしまえる時間だ。短編ドラマのいいところは短い時間の中にギュギュッとストーリーが組み込まれているからだらだらと見なくてもいいところだよね。

【prologue】
- 現代の女子高校生と朝鮮時代の若い王との出会い -
数学放棄者高3。勉強を嫌い、膨大な夢も情熱もなく、現代の複雑な世の中に息苦しさを感じながらマイウェイと叫ぶほど抵抗できず、唯一好きなことと言えば、雨の降る日・カラオケ・友達と食べるトッポッキ・芸能テレビ・携帯電話くらいの平凡な日々を送っている高校三年生のチャン・ダンビ（キム・スルギ）。
数学の授業には先生になじられ、毎日お母さんには「夢は何なの?」「何をして暮らすの?」と聞かれても答える答えも見つからず。ついに大学修学能力試験(日本のセンター試験）会場を目の前にしてその場から逃げてしまった。
雨降る公園のベンチに座るダンビは「消えさせてください。お願いします。どうか一度だけ・・・」と願い、目の前の前の水たまりから聞こえる太鼓の音色に誘われるように水たまりの中に飛び込んでしまう。

飛び込んだ先でダンビが見たのは、三年間の日照りで厄病が荒れ狂い、雨ごいの儀式を行っていた若い王イ・ド（ユン・ドゥジュン（BEAST））が執権を握る朝鮮時代の宮廷の前庭だった。

突如として現れた奇妙な姿をしたチャン・ダンビに若い王は尋ねた。「人間か？トッケビ(妖怪)か？一体お前の正体はなんだ？」という問いに「私ですか？・・私は高３(고삼,コサム)です」と答え、イ・ドと臣下達がさらに驚き騒き始めた。何故なら고삼(コサム)は男性生殖器を切り落としたという意味であったためだった。남성(睾斬)＝생식기(睾)を잘라냄(斬)
天地を軽んじた宦官としてチャン・ダンビが捕らわれることになるのだが・・・
(参考:記事・公式サイトHPより)

ちょこっと印象

こちらのドラマは、話の続きをもう一度見たくて二度寝したいが一時だからこそ心にほわほわと残る、そんなひと時のほんわかとした楽しい夢を見た感じだ。

舞台背景は現代から朝鮮時代にダンビ（キム・スルギ）がタイムスリップすることから物語が始まる。朝鮮時代はユン・ドゥジュン（BEAST）が演じる朝鮮一聖君と名高い第4代国王の：世宗（セジョン）イ・ド（李・祹）の時代。
世宗（セジョン）を題材にしたドラマと言えば、とても面白かった歴史ドラマ『根の深い木』（2011年）を思い出しますね。ハン・ソッキュ演じる世宗（セジョン）の人間性、ハングル創製に対する苦悩や世宗（セジョン）を取り巻く人々の人間関係・心理・信念を深く掘り下げて描いてる為とても堅苦しいけれど胸を打たれるくらい印象に残る、しかも謎解きのミステリー要素もある。だから次の話が気になって寝る間も惜しんで一気に観たほど嵌ったドラマでした。

それとは打って変わって『ポンダンポンダンＬＯＶＥ』の世宗（セジョン）は・・・とてもコミカルです。ダンビ（キム・スルギ）と一緒に食べたインスタントトッポッキのおいしさに感動して爆食いしたあくる日、「お腹に火魔が～」っておなかを壊してお尻をおさえて悶えてる姿が威厳ある王とは思えない王となってますが、雑学や数学を知るタンビの知識を知ろうと学ぶ姿がとても素直でかわいいんですよね。知識だけでなく、元から民に対して慈悲深い王なのだけれどダンビが言う新しい見分をも念頭に置いてる柔軟な王。

ドラマのコミカル性をさらに高めているのが数学嫌いなダンビを演じているキム・スルギの存在です。『隣の美男<イケメン>』(2013年.tvN)に出演している時にアニメ声で表情豊かでコミカル度が凄くある俳優さんだと思ってました。まさにこのドラマにはなくてはならない存在です。
『ポンダンポンダンＬＯＶＥ』の脚本＆演出を請け負ったキム・ジヒョンも前作『MBCドラマフェスティバル-怨女日記』（2014年.MBC)でタックルを組んだキム・スルギを念頭に置いて今作の台本を手掛けたらしいですしね。
ダンビ（キム・スルギ）とイ・ド（ユン・ドゥジュン）のじゃれあい？が子犬のじゃれあいみたいで見てて微笑ましくなってしまいます。

人は誰しも極限の状態にあったり脅威にさらされた時「穴があったら入りたい」「この場所から逃げたい」と少なからず思ったことがあると思う。ドラマの主役チャン・ダンビも母親の小言が嫌だし試験の合否で人生が決まってしまう恐怖心から消えたいと願い、自分を知る人が誰もいない世界、朝鮮時代に逃げてしまう。けれど、そこで知ってしまった。逃げてばかりじゃ何も変わらないし、自分の事をちゃんと見てくれないのではなく愛してるからこそ小言を言うんだということを。朝鮮時代で奮闘しているダンビの姿を見てちょっと頑張ってみようかなっと思えるちょこっとエールドラマでした。