初めての相席屋体験で、相手の男性にチェンジされてしまった私(詳しくはコチラ)。これはリベンジしなければ!と、今度は20代後半のAちゃんと一緒に突撃することにした。
相席屋とは、初対面の女性グループ(主に2人)と男性グループがランダムに相席し、食事をしながら出会いを楽しむお店のことだ。
Aちゃんは、相席屋の秋葉原店、池袋店、上野店に行ったことがあるらしい。友達とふたりで、「次の予定まで1時間あるから、ちょっと相席」なんてしちゃうつわものだ。
前回のチェンジのいきさつを話すと、
「それはひどい!日本人は奥ゆかしいから、チェンジとかしないんですよ。気に入らなかったら、用事があるとか適当に理由をつけて、お店を出るのが礼儀でしょ!」と憤慨してくれた。
しかし、相席屋は、男性が料金を支払うシステムなので、どうしても主導権が男性側にあるのは仕方ないかもしれない、とも思う。
今回はAちゃんが行ったことがなくて、いい男がいそうな(←個人的主観です)、六本木店に行ってみることにした。
月曜日の20時すぎにお店に到着。R30 赤坂店と違い、六本木店のフロアには仕切りがない。店内は暗めの照明で、クラブミュージックがかかっている。朝5時まで営業しており、クラブに行く前に来る客もいれば、クラブの後に来る客もいるという。
R30赤坂店に引き続き、案内してくれる店員がまたもやイケメンである。
「相席屋はビジュアル採用なんですか?」と聞いて、怪訝な顔をされる(笑)。
しかし、ここも男性がいない!!
7組くらいが座れるフロアに、女性の2人組が3組余っていた。
「週末に近づくほどお客さんは増えるので、月曜日は少ないんですよ……」と店員さん。
またもや曜日を間違えたか!!
仕方ない。おなかもすいているし、男性が来るまで何か食べようよ、と、きゅうりやソーセージなど、3~4品を頼んだ。
R30赤坂店では食べ物は別料金だったけれど、通常の相席屋では、女性は食べ飲み放題無料だ。
また、他の相席屋は料理はビュッフェ形式で、飲み物もセルフのところが多いというが、六本木店は店員さんがテーブルまで運んでくれた。
料理は普通においしくて、これで無料なのは、女性にとってはとてもありがたい。ただ、酒好きには残念なのが、ビールが発泡酒でイマイチだったこと。
まぁ、ただ酒なのだから文句は言うまい。
私たちが男性を待っている間に、2組ほどが相席し、2組ほどの女性が相席をせずにお店を出て行った。
■超エリート男性ズ登場!
Aちゃんとの会話も弾み、このまま相席しなくてもいいか、なんて思っていた頃、ようやく男性が現れた。
スーツを着たサラリーマンふたり。「この近くで飲んでたんですよ」と言う。年齢は40代半ばに見える。
ふたりは東京の某有名私立大学時代の同級生とのこと。Aちゃんの前に座った男性は、医療機器メーカー勤務。私の前の男性は、商社勤務。要するにエリート!
しかし、私もAちゃんもすぐに気づいてしまった。医療機器メーカー男性の左手薬指に、指輪がはめてあることを。
後から聞くと、Aちゃんは、「既婚者だから安全だな」と思ったらしい。
しかし私は、「婚活居酒屋なんだから、指輪をはめてくるな!」と内心キレていた。
しかも、一昔前にブレイクしたお笑い芸人の芋洗坂係長みたいな風貌なんである。もう、係長と呼ぼう。
ほろ酔いも手伝い、ここからAちゃんの暴走が始まる。
「その頭、気持ちよさそう! 触ってもいいですかー??」
自分でバリカンで剃っているという係長の頭は、今日は剃って3日目だという。
ぐりぐりと頭を触りながら、「あー、気持ちいいー!」とAちゃん。係長もまんざらでもない様子。
すると、Aちゃん、私にも「まりえさんも触ってみてくださいよー」と振ってきた。
「あ、じゃあ……」とおそるおそる触ると、3日目の頭は、ふわっとした産毛が生えていて、確かに気持ちよかった(笑)。
私もなんだかおもしろくなって、
「それって、洗顔とシャンプーの境目はどこなんですか?」
「いや、一気に石鹸だよ」
「へぇー!」
なんて、どうでもいい会話を繰り広げてみる。
その後、働いている業界が近いAちゃんと係長は、仕事の話などで盛り上がり、私と商社マンは、昨今の日本経済やらについて話し(色気ゼロ)、1対1の会話が続いた。
その間も、ことあるごとに、Aちゃんは係長の頭を触っていた。
■「不完全燃焼感」が相席屋のウリなのか?
まったく恋愛モードではなかったけど、Aちゃんのおかげで和やかな相席となり、気が付けば1時間半が過ぎていた。
「そろそろ終電!」と4人で一緒にお店を出て、にこやかに「ありがとうございましたー!」と言い合いながら男性陣と別れる。
男性は30分1500円なので、1時間半だと1人4500円だ。係長がビール2杯、商社マンがビール1杯しか飲んでいないので、私たちの分の料理と飲み物代を彼らが払ってくれたことになる。
なんだか得るものがあったような、なかったような。
しかし、「濃い目にしますか?」という店員さんの配慮に乗せられつつ、ハイボールをガンガン飲んで気持ちよく酔っぱらっているかわゆいAちゃんを見ていると、これもアリなのかなぁ、と思う。
「タクシーで帰りたぁい」というAちゃんを「せっかくただで食べ飲みできたんだから、ちゃんと電車で帰ろうね」と制して、地下鉄に乗った。
男性にとっては、キャバクラよりは安くて、素人の女性と話ができると思えば、相席屋はちょうどよい場所なのかもしれない。
ただし、お互いの希望の相手を考慮してマッチングする結婚相談所とは違い、どんな相手と出会うか分からない分、なかなか恋愛には発展しづらい。
まったく知らない男性と話して、自分の市場価値みたいなものや、会話力を知る面白い経験にはなったかな。
私が話を聞いた人の中では、リピーターが多いのが特徴で、初めて来たという人は一人もいなかった。「相席屋ってどんな場所かよく分からない」という最初のハードルさえ超えれば、また来たくなるお店ということになる。
接客や雰囲気の良さも前提としてありながら、そう思う一番の理由は何だろうと考えたら、それは「不完全燃焼感」かもしれなかった。
今度は、どんな人と出会えるだろう?
次は、いい人と出会えるだろうか?
そんな、わくわく・ドキドキ感と、相手が現れるまでのほどよい緊張感が、再びお店に足を運ばせる。
……だとすると、「婚活居酒屋」ではあるものの、成就しない方がこのシステムは繁盛するということだろうか。
なんとも、世の中は矛盾にあふれている。