変化はいつ起こるのか | ひろせカウンセリング若手ブログ

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吃音自助グループ廣瀬カウンセリング東京教室の、若手メンバーによるブログです。

今回は、変化が起きる時期は人によって違う、ということを書いてみたいと思います。

教室ではよく「この人は改善が早かった」とか「この人は時間がかかった」ということが話題に出ます。

早く変わることはもちろん喜ばしいことですが、遅いからといってダメだとか、そういうことはありません。

人間は機械ではないので、それぞれ変化するスピードを持っています。だから、早いこともあるし、(相対的に)遅いこともあります。

またまた例え話を出すと、小学一年生の時に授業であさがおを育てるというのをやりますが、見ていると早く伸びるのとそうでないのがいる。

最終的には似たような形になるまで伸びるのですが、最初のあたりのスピードには差があります。

こんなふうに、生き物には固有のスピードが備わっています。

吃音についても、変容が早い人とそうでない人がいますが、どちらがいいということはない。

変わるのが早くても、ある程度のところで伸びが止まってしまう場合もありますし、時間はかかるが、かなり深いところまで変化する場合もある。

こうなると、どちらがいいということは言えなくなってきます。

例えば私にしても、教室の存在をインターネットで知ったのが2002年の秋で、実際に来たのが2010年の春ですから、じつに7年半くらいかかっている。

その間は吃音の症状は徐々に悪化しているので、そこだけ見るとマイナスの方向に向かっているように見えます。

ただ、来てからがすごくて、2年弱で修了し、その1年後にはカウンセラーになっている。

そこだけを見ると、ものすごく早く変わっているように見えます。しかし、その前も含めるとそうでもなかったりする。

症状の変化についても、教室に来るまでは徐々に悪化していって、どうしようもなくなったところで来て、しばらくあまり変わらなかったのですが、エンジンがかかり始めた後は急変してその後はよくなり続けています。

つまり、いろんな要素を考慮に入れて、全体的に見ていくと、早いとか遅いの判断は簡単にはできなくなりますし、そもそも早いのと遅いのとどっちがいいともいえなくなる。

そんな中で大事なことは、短いスパンで考えないということですね。

私も来てから1年間くらいは症状的にはほとんど変わっていません。そこだけ切り出してみると、何の効果も出ていないということになる。しかし、全体でみると、ものすごく変わっています。

それから、一つの視点だけでものを見ない、ということも大事です。

吃音の症状だけに焦点を当てていると、まったく改善していないように見える時期があります。しかし、その背後で実は大きな変化に向けた準備が行われているのかもしれない。

吃音の人はとかく「吃ったかどうか」に着目していますが、それ以外にも目を向けて、全体のなかで吃音を見ていっていただきたいと思います。