記憶:エビングハウスの忘却曲線 | 総合診療医:誰もがわかりやすく医療を理解する事ができるブログ

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「否定の極論」記事に疲れたあなたへ贈る:「食事」「睡眠」「運動」・・これら「健康の三本柱」をねじ曲げずにポジティブに考えるブログです。

我々はよく物忘れをします。
特に他人の顔はわかっても、名前を思い出せない事が多くありませんか?。
  
なぜ思い出せないのか?。
それば他人にとって、名前自体は意味がないものですし、何かイメージがわいてくるものでもないからです。
  

  
本題に入る前に・・・
このような物忘れの症状を、認知症かと思う人もいるかもしれません。
  
#物忘れと認知症の違い
例えば、前日の夕食の事を思い出しましょう。
・物忘れ:前日の夕食に何を摂ったのかを忘れる。
・認知症:前日に夕食を摂った事自体を忘れる。
  
ただし、あまりに物忘れが激しいようならご注意!!
それは認知症の一歩手前の「軽度認知障害(MCI)」の可能性もありますので。
  

  
~右脳と左脳の働きは別々?~
よく、「右脳の働きを高めよう」「左脳の働きを高めよう」などの記事やクイズ本などがあります。
  
医学的には、右脳と左脳を別々に働かせることはできません。
右脳と左脳は間に「脳梁(のうりょう)」と言って、左右の脳のネットワークとも言える部位があります。
  
脳の一部を使わない状態というのは、それは脳卒中(脳梗塞など)という病気です。
左右の脳には、得意分野があるとされていますが、仮に一方が脳卒中などで働かなくなったとき、他方が代償的に働けるように、予備的な役割を担っており、どちらの脳も同じ働きをすることが可能だとされています。
  
ただし脳はまだまだ未知数の分野が多いのが実情です。
  


  

では本題に入ります。
  
~記憶を残すために必要な事~
物事を強く記憶に残すためには、「#ヒグピーの7つの原理」があります。
  
① 有意味化
無意味なものに意味を持たせる事。
意味があるものは覚えやすい。
  
② 組織化
バラバラな知識を系統立てて覚える事。
ルールがあるものは覚えやすい。
  
③ 連想
2つの知識をくっつけて覚える事。
新しく覚える事と、既に覚えている事がつながると覚えやすい。
  
④ 視覚化
映像化する事。
視覚的なイメージは記憶に残りやすい。
  
⑤ 注意
対象に注意を向ける事。
注意を向ける事が覚える事の基本。
  
⑥ 興味
対象に興味を持って接する事。
好きな事については記憶に残りやすい。
  
⑦ フィードバック
覚えた時に褒めてもらったり、うまく覚えられなかった部分に修正を加えたりする事。
いわゆる復習と評価。
  
  
①~⑦に聞きなれない言葉がありますが、内容はごく当たり前の事です。
ただ、我々にはもう少し記憶をするための努力が必要かもしれません。
  
そもそも我々は、時間と共に知識を忘れてしまいます。
それを具体的に表したのが、ドイツの心理学者によって作られた「エビングハウスの忘却曲線」です。
  

  
#エビングハウスの忘却曲線

・20分後には42%を忘却し、58%を保持していた。
・1時間後には56%を忘却し、44%を保持していた。
・1日後には74%を忘却し、26%を保持していた。
・1週間後(7日間後)には77%を忘却し、23%を保持していた。
・1ヶ月後(30日間後)には79%を忘却し、21%を保持していた。
  
この忘却曲線は、勉強が得意な人であっても苦手な人であっても大差がないとされています。
  
  
#人間は忘れる動物なので大切なのは復習です
・その日のうちに復習する。
・間違いなく復習しないといけないのは、「翌日」です。
・3回目の学習は「7日後~10日後の間」です。
・4回目は「4週間後~6週間後の間」と、段々と間隔を長くすることがポイントです。
  

  
#記憶効率を上げるために実践すること
  
学習した後、ゲームをしない、テレビを見ない。
寝る前にゲームをやると、ゲームの記憶が優先的に整理されてしまいます。
  
睡眠中に脳内で再生・整理される情報は、寝る直前のものが多いです。
したがって暗記物は寝る直前にやるべきです。
勉強してすぐ寝ると、次の日もずっと覚えているそうです。
  

  
尚、スマートフォンのように、記憶を外部メモリに依存すると、大量に保存ができるものの、脳には一切の記憶が蓄積されていません。
よくセミナーなどで、スライドを写真に収めるだけで満足していませんでしょうか?。
そして復習もせず、保存したままにしている・・・これでは意味がありません。
  
有用な情報を見つけたら、撮るのではなく書き出しましょう。
書くという物理的な行動は、その情報は重要なものだと自分に認識させる手段で、学習能力を向上できます。
自分の脳にとどめておく価値のある情報だということを特定させます。
  

  
また、入浴中のようにリラックスしている時は、アイディアが浮かんだり、勉強に集中したりできる格好の場所でもあります。
まあ、入浴中まで勉強なんかしたくはないと思いますが・・・
  
#アイディアがよく浮かぶ場所の「4B」
・Bed(就寝中)
・Bus(移動中)
・Bar(飲み屋)
・Bath(入浴中)
  
長々と書いてきましたが、このような理論通りに子供たちが動いてくれれば、親としては苦労しませんよね。
せめて、勉強が終わった後は、すぐに寝かせる事が大事でしょうか。
  
(画像はネットより引用)