小学6年生男子との問答 | アイループ パソコン修理日記

アイループ パソコン修理日記

大阪市阿倍野区のパソコンショップ「アイループ」における修理記録をつづります。

小学6年生くらいの男子からの質問にこたえてたんだけど、この子はなかなかどうして面白い質問をしてきた。

3DSのプリペイドカードの話から始まって、クレジットカードで何ができるかとか、えらくレベルの高い質問。



男子:クレジットカードってお金借りれるんでしょ?
僕:借りれるよ。ほら、これ。このカード出して「30万円借りたいです」って言ったら借りれる。
男子:じゃあ1億万円借りたいって言ったら借りれるの?
僕:それはできない(笑)。
男子:1万円とかなら?
僕:オレのは100万円まで借りれる。

男子:なんでそれ以上は借りれないの?
僕:オレが1億円借りたとして、そのままアフリカのサバンナにトンズラしたら誰が困る?
男子:もの売った人が困る。
僕:違うね。もの売った人はカード会社から1億円もらえるから困らない。困るのはカード会社だ。
男子:アフリカまで追いかけてくる?
僕:さぁね、そもそも1億円貸してくれないのは、オレが1億円持ってトンズラする可能性があるからだ。それと、カード会社から見てオレの信用は「100万円までなら貸してあげられる程度の信用」ってこと。
男子:それを200万とか300万とかに上げられるんでしょ?ゴールドとか、プラチナとか。
僕:お、よく知ってるなぁ。うまくやれば1,000万とかも借りれるようになるよ。

男子:どうやったら1,000万借りれるようになるの?
僕:履歴…いや、「ログ」って言葉知ってるか?その人が今までどんなことをしてきたかのログ。ゲームのセーブデータも一つのログだ。
男子:なんとなくわかる。
僕:5万円借りて、約束の日になったらきちんと払う。そのあと2万円借りたら、また約束の日にきちんと払う。それを何回も繰り返せば、カード会社は「この人は貸したお金をちゃんと返してくれる人だな」って思ってくれる
男子:ふむふむ。
僕:大学生とかだと最初は20万くらいからスタートだけど、そのうち50万になり、100万になる。何年もかけてクレジット、つまり信用のログを作ってきた人はたくさんお金を借りられるようになるんだ。

男子:じゃあ、なんもクレジットカードでお金借りたりしたことない人は?ログが無くても20万貸してくれるの?

(この質問が一番ビビりました。小学生と思って甘くみてた)

僕:えっと…良いところに気付いたな。お金貸したのに返してくれない人が信用されないのはわかったよな?で、そもそも誰からもお金借りたこと無い人がイキナリ貸してって言ってきたら、という話だな。
男子:うん。
僕:たとえば道を歩いてる赤の他人から「明日必ず返すからお願い、1万円貸して」って言われたら貸すか?
男子:うーん、貸さない。
僕:そうだな、どうして貸さない?
男子:返してくれるかわからないから。
僕:そそ。最初は20万からって言ったけど、カード作ってイキナリ20万借りようとするのは良くない。カード会社はお前を信用してないからな。信用してるのはお前じゃなくて、お前の父ちゃん・母ちゃんだよ。限界20万でも、せいぜい5万くらいまでにしとけ。

男子:クレジットカード作って、使わずに現金で払っても大丈夫なの?
僕:問題ないよ、現金持ってるならね(笑)。誰も困らないだろ?
男子:うんうん。
僕:じゃあ、300万の車をどうしても買いたくて、でもいま200万しかお金がなかったら、お前ならどうする?
男子:働いてためる

(ふふ・・・こいつぁよくできた子だw)

僕:それが正しいね。カネが無いのにものを欲しがるのは良いことじゃあない。だけど、大人になるとどうしてもお金が足りないことってあるぞ。その300万の車をどうしても買わないといけない場合、どうしたらいい?
男子:カードで100万…借りる。
僕:そそ。お金を借りるのは決して悪いことじゃあない。どうしても困ったときは、親にでもカード会社にでも泣き付かなきゃいけないときがある。大人になったら絶対そういうことあるぞ。
男子:・・・。
僕:そこでだ。カード会社が100万円貸してくれなかったら、お前どうすんだ。銀行強盗でもするか?
男子:いや、それアカンやろ(笑)。
僕:だよな(笑)。だから、借りたお金は約束の日にきちんと返す。これは守れ。
男子:うん、わかった。

僕:で、なるだけお金を借りるなと言ったけど、お金があるのに[※]わざと借りてるヤツがここにいる。オレだよオレ←。
男子:??
僕:わざと借りて、約束の日に確実に返す。わざとやるんだ。どうしてかわかるか?
男子:カードの会社に信用してもらうため?
僕:そこまでわかってくれたら合格(笑)。

([※]実際はお金があるというより、資金繰りを安定させるためってのが本音です)



男子:ところで、高校と大学ってどっちが大変なの?
僕:そいつが何をしたいかで変わるわぁ。お前は将来何になりたいん?
男子:ゲームの設計者。
僕:ほう…それ、ほんとになりたいのか?
男子:・・・う、うん。

僕:んーっ、まぁいいや(笑)。で、大変かどうかはそこでお前がどれだけ頑張るかによって変わる。勉強しないで、サボって遊びまくれば楽勝だぞー。お前、義務教育って知ってるか?
男子:知ってる。中学校まででしょ?
僕:OK。つまりな、高校から先は絶対勉強しないといけないワケじゃないんだ
男子:うんうん。
僕:オレの話をしようか。オレは大学を「勉強する場所」と思ってなかった。友達を作って、遊ぶために大学に行ってた。だから毎日が楽しくてたまらんかった。それがどうだ、大学で遺伝子とか勉強してたオレがいまパソコン屋なんかやってる。何が言いたいか、わかるか?
男子:うーん、楽しいとか?そういうこと??
僕:そそ。高校で頑張って勉強して、良い大学に入ってさらに頑張って、任天堂とか一流企業で仕事するのは悪くない。高校で遊んで、大学でも遊んで、将来ニートで親に面倒みてもらうのも一つの人生や。自分の人生はこれで間違ってないんだって思えるなら、お前がどんな人生でもいいと思う。

男子:…お父さんあと10年で定年退職だから、お金なくなるらしいんよ。
僕:お金なくてお父さん困ってたら、お前どうするんだ?
男子:介護してやる。
僕:えっと、お前に介護するお金が無かったらどうする。クレジットカードでお金借りるか?100万くらい(笑)。
男子:いや…それは…。
僕:そうだよな。だったら親を介護できるように、ちゃんと仕事して、お金かせがないといけない。そのために、高校とか大学で勉強しとかないといけない。
男子:うん。。

僕:だけどな、勉強ばっかりやれとは言わん。人生は楽しいもんやから、たまには遊びまくってもいいし、ちょっとぐらい悪いことしてもいい。ある程度勉強して、ある程度遊んで、ある程度お金かせいで、ほんである程度親の面倒みてやればいい。高校とか大学が大変かどうかは、何がしたくて、それに向かってどれくらい頑張るかで変わる。頑張るのは大変なことやけど、自分が楽しいと思うことを頑張るならわりと努力できるぞ。頑張ったけど失敗して戦闘不能になったら、体力が回復したあとにまた頑張り直せばいい。



この男子は思った以上に飲み込みが良かったので詳しいところまで説明してみましたが、ついでに「仲の良い友達であってもお金を貸しちゃあいけない。お金を貸してくれと言ってもいけない。貸すならあげるつもりで。借りて良いのは親か、カード会社だけだ。OK?」と言っておきました。

↑こんなことを小6に教えるってどうなんだろう。…とは思うけど、必ずしも間違っちゃいないとも思う。教えるには早過ぎるとは思うけど。たぶん僕は将来子どもができたら、教育パパになるだろうなぁ。学校の勉強じゃなくて、人生の勉強を教え込むと思う。

親の役割ってなんだろう。子どもが電車なら、それが走れるようにレールをひいてあげる、背中を押してあげる。それだけじゃなくて、自分でレールをひけるようにしてあげないといけない。レールの上にゴミが落ちてたり、分かれ道の手前でスピードダウンしてたりしても、わざとゴミを拾ってあげなかったり、自分で道を選択できるようにしてあげないといけない。自分で選んだ道に責任を持たせないといけない。

そんで忘れちゃいけないのは、そうやって子どもがどうレールを走るか見てあげてる自分自身も、やはり自分のレールを走ってること。それと、そのレールを走らせてくれる人がたくさんいること。