生命の樹 | 大阪能楽会館 其の二 | INUUNIQ(イニュニック)

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2011年11月11日始動

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2017年11月21日
INUUNIQ presents SOUND THEATER
project Æther(エーテル)-03 memento-
at 大阪能楽会館
 
回想録 其の二
 
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今日と明日で2017年が終わる。
早いなぁ、ほんと早い。
大阪に引っ越してきて1年が経つことになるのですが、そんな気がしません。
 
 
さて、大阪能楽会館を回想するブログ。
 
前回は、前日のサウンドチェックくらいまで書いたので、そろそろ前日通しリハーサルのことを…と思ったのですが、先に書いておきたいことがありました。 
 
 
生命の樹。
という言葉がキーワードとして存在します。
 
当たり前の日常、穏やかな毎日。
続くことを疑うことすらなかった。

だけど、ある日地球は突然終わりの時を迎える。
消えゆく星は世界軸を司る生命の樹を出現させ、あなたを時空の旅へと送り出す。

過去も現在も未来も超え、1000年先のこの場所へと辿り着いたあなたは、ひとつの記憶を目撃する。
 
 
と、あらすじにも出て来ます。
 
【生命の樹】
 
これは、大阪能楽会館の本舞台の鏡板(かがみいた)に描かれている松から発想を得ました。
 
 
 
私たちが大阪能楽会館を公演の舞台に選んだとき、まず場所の強さを悩みました。
場所そのものが持つものもそうですし、あの松に私たちが負けてしまうという懸念があったのです。
 
それを逆手に取り、これをキーワードにする。
総監督であり映像監修でもあるカナデクラフト西野さんから出てきた言葉だったはずです。
 
閉館してしまうこの場所を未来へつれていくための。
形はなくなっても失われないものはあるという意思の根元となるもの。
 
そしてメインビジュアル担当の車谷典子ちゃんと色々と話をし、彼女が描いてくれたものがこの日本画作品です。
 
 
以前にも書いたことがありますが、この作品が全ての起爆剤となりました。
車谷典子ちゃんのこの絵がなければ、この公演は出来なかったと断言できるほどのイメージのかたまり。
 
その絵を見、私は生命の樹を「1000年後に向かう時空への扉」と設定して物語を作りました。
大阪能楽会館であること。
この場所の内部や深部や目に見えぬ部分を現実に表すためのもの。未来へ紡ぐためのもの。
 
そして。
装飾担当のLe bouton 降矢ちさとさんによる、本舞台に出現した生命の樹。
 
 
とても大変な作業だったはずです。
どのような姿にするか、また、その意味合いは?
 
様々なディスカッションや試行錯誤の末に出現したそれは。
松の根っこでもあり、大阪能楽会館そのもの。根が上にあり、全てを表した生命そのもの。
 
ラピュタの姿みたいな。
 
切り絵の西井綾加ちゃんの紙による植物や装飾と共に、大阪能楽会館は過去から現在、未来へと繋がるものとなりました。
 
 
 
 
 
 
いつの間にかキャストスタッフみな、それぞれ能舞台の呼び名や意味合いを学び、
現代的なアプローチではあるけれど、必ずや「能楽」「大阪能楽会館」を尊重し行うことを徹底していました。
 
それでも失礼がなかったかなどは緊張しましたが、喜んでいただけたことが何よりでした。
 
 
生命の樹設営もそうだし、生命の樹を浮き上がらせるための(勿論全ての場所に於いてそうだれけど)照明の角度、映像との兼ね合い。
事前にも、現場でも、本当に繊細な作業でした。
 
照明ぞろくんが全体の図面を担当してくれていたんだけど、それがまた見易くて。
 
前回にも書きましたが、メインの生命の樹を吊るしたのは、能楽の大作である「道成寺(どうじょうじ)」で鐘を吊るす滑車です。
吊るすための道具などもそのまま使用させていただきました。
DVDをお借りしてロープの通し方を研究してくださったり。
 
私は歌うことの準備のためにほぼ設営の手伝いなどは出来ておりません。
それぞれの仕事をそれぞれが突き詰めていっていた。
振り返ってみんなの仕事の深さに改めて感動します。
 
なんだろうなぁ、
全部、見たかったな。
全部、どれも、見逃したくない瞬間ばかりだ。
 
私が知ってるこの公演ってほんと一部なんだと思う。それぞれの角度、それぞれの仕事。
 
私の仕事は歌うこと、軸を作り上げること。
 
誰も欠くことは出来なかったし、
代わりも存在しなかったのだなと。
 
と、感慨深くなっているところで、
次回へ続く。
 
(今回の記事の全ての写真は 森下綾音 撮影)
 
 
 
 
次回の公演は2018年2月3日!
プラネタリウム公演!!!
 
 
詳しくは公式サイトまで!