物凄く久々の新作。
地語りが「私」で「編集者」って、円紫さんシリーズ?って一瞬期待したけど、違ってた。^^;
山登り小説?
北村薫が?
と思って読み始めたけど、とても、北村薫らしいお話でした。
「私」が山で過ごす数日とその前後の物語が綴られた短編連作集。
表向き淡淡と、けれど、実は意外に激しい身のうちの感情の流れが、山の厳しさや美しさ、自然の恩恵と一緒に綴られてて、やっぱり北村さんは上手いなーと改めて思う。
毎回、山への装備を点検するシーンが楽しい。
特におやつセット。
じゃかりこチーズとドライマンゴー。
定番と、
お?今回はコレが! というおやつも。
山で「私」が読む本の引用も興味深くて、それらを読みたくなる。
真似をして、この作品から引用するなら、
〈人はどうしてこんなに、写真を撮りたがるのだろう。逃げようとする時間を、捕まえたいのだろうか 〉
こんな言葉に出会うから、本読みはやめられないな~
・坂木司『夜の光』←再読
やたらと珈琲が飲みたくなるお話です。
夜空を眺めたり、星を見てみたり、もしたくなります。
夏のシーンもあるのに、何故か冷たい冷たい夜の空気と淹れたての珈琲の湯気のイメージです。
分厚いクッキー、マシュマロサンド。
焼き野菜、闇鍋みたいな鍋の具ラインナップ。
ハチミツ。
一緒に食べるってことが、戦う力になってる、きっと。
・井上荒野『キャベツ炒めに捧ぐ』←文庫化再読
これもまた美味しそうなもんばかり出てくるなー。
キャベツ炒め、アサリフライ、豆ご飯、
いーなー。
井上荒野さんの描く妙齢(笑)女性は活きがいい!
幾つになっても女の人は可愛いな~
実は結構重いというか、怖いとこもあるお話なんだけど、なんか苦笑いで読み過ごしちゃう感じが、好いなーと思う。
・小手鞠るい『望月青果店』
小手鞠さんらしい恋愛シーンもありながら、なかなかに濃い母娘小説。
言った方は忘れても、言われた方は忘れない。
自分もそーだし、自分が誰かに言ったコトの中にもあるんだろうなー。
好いコトも、悪いコトも。
自分が忘れられない、と思ってんだから、
他の人が忘れられないコトも、いいよ、って思えるようになった。
これは、時間薬。
女性作家さんって、やっぱりそれぞれに母と娘の葛藤を持ってるんだろうな~
私が好きな作家さんに特に多いのかしら?^^;
・角田光代『三月の招待状』
居心地の悪いお話だった。
嫌いではない。
30代半ばになった大学時代の同級生男女の一年間。
離婚式とか、失踪とか、なんか非日常な単語は飛び出すのに、ものすごく卑近な感じがするお話。
香山リカさんの解説が秀逸だった。
・重松清『季節風 春』←再読
・重松清『季節風 秋』←再読
・重松清『季節風 冬』←再読
・重松清『季節風 夏』←再読
この順番で読み返したことに理由はない。
偶然。
でも、なんかこの偶然が好かったかも。
このシリーズ、今まで、夏と秋の評価が自分の中で低かったんだけど、思い直した。
春と冬はもちろんだけど。
・小路幸也『壁と孔雀』
こんなにキチンとミステリーしてる小路さんは初めてじゃなかろうかと、ドキドキワクワクで読む。笑
ラストはやっぱり小路さんだな~、と。
何度も言いますが、私は小路さんの描く「お兄ちゃんと弟」の関係が大好きです。
大人がキチンと大人であってくれるところも大好きです。