急性期何もわからずに読むのには向いていないかもしれません。
(医療従事者向けの本)
けいれん重積型急性脳症
概念
・日本における小児急性脳症の中で最も多い。発熱を伴う痙攣重積状態を発症し、
その後の意識回復中途(第4病日付近)に二相性パターンが典型的だが、
けいれん重積状態が重篤であったり充分な鎮静が継続された場合は一相性パターンを示すこともある。
・ここでは原因ウイルスは約80%がHHV6(突発性発疹)インフルエンザと書かれている。
他のデータでは約50%がHHV6、インフルエンザ。原因ウイルス不明が多い。(
まじめな話1参照)
・特徴的な画像所見から
「二相性けいれんと遅発性拡散能低下を呈する急性脳症(AESD)」とも呼ばれる。
・遅発けいれん時期(けいれん反復期)にCTで脳葉性浮腫を認めMRI拡散強調画像で皮質下白質に高信号を認める。
・大脳のさまざまな脳葉部位に病変を認めるが前頭葉を主体とする障害を示すタイプが多い。
・6カ月~5歳までに多い。
原因
・発熱を伴うけいれん重積状態を認めても本症と診断されるのはその一部であり、一方、けいれんの持続時間が重積状態と判定できる長さに至らない比較的短い発熱時のけいれんであっても本症を認める場合もあり、けいれん後に引き続いて発生する機序が生じるための要因が患者側に存在することが推察される。
・好発年齢が幼児期早期であり、比較的早期に発達が進行する中心溝付近や後頭葉は障害されることが少なく、発症時には発達が充分とはいえない前頭葉がその障害部位として多いことから、
発達途上にある脳組織に起こりやすさが存在すると推定される。
事実、脳性麻痺など脳の発達がある程度阻害されている中枢疾患患者での発症が多いという傾向がある。
☆推定なだけではっきりとした原因は
今はまだわからない疾患だと
私は考えています。
原因が解明されれば治療の確立につながると思っています。
(二相性脳症急性期のステロイドパレス、脳低体温療法の効果はまだわかっていない。)
臨床症状
発症期
けいれん重積状態で発症し、画像では非特異的な大脳の腫脹を認める
一過性回復期
第2~4病日:開眼しているが視線が合いずらく完全な意識回復には至らない。生化学検査、一般髄液検査に特異的所見はない
(特殊検査として、髄液IL-6やタンパクが上昇する)
けいれん反復期
第4~5病日:群発する遅発けいれんと意識状態の再悪化を認める。
CTで脳葉性浮腫、MRI拡散強調画像で皮質下白質高信号を認めたのち、隣接する皮質に高信号を認める。この所見は一過性である。またこの時期はSPECTで脳血流上昇が認められる
回復期
意識回復後、精神運動退行を示すが、運動面よりも知能面での発達退行遅延が問題となる。
(発症後12カ月で90%が独歩可能となるが、24カ月経過しても発語を獲得する症例は60%にすぎない。言語機能の回復・獲得は前頭葉の血流の回復に相関する。)
生命予後は良いがまれに寝たきりになる場合がある。SPECT画像では障害部位の脳血流低下を認めるが前頭葉を主とする場合が多い。
(通常発症第10日以降に認められ、数ヶ月から数年にわたり徐々に回復する)
この場合数週間に渡り自発性の欠如、常同運動、感情の不安定などの症状が認められやすい。
以上です。
どこまで知りたいのか…?
どこまでも知りたい。
今の病名は「急性脳症後遺症」
合併症「難治性てんかん、胃食道逆流症」
になるけれど元々の
「二相性痙攣と遅発性拡散能低下を呈する急性脳症」
の事を今でも知りたいし将来発症する子が少しでも減ってほしい。
研究が進むよう願っている。
研究者様達、よろしくお願いします。
過去記事
『ウイルス性脳症後の経過とリハビリテーション』に続く。