憲法9条についての忖度第一号決着 | カノミの部屋

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ブログ・478「憲法9条につての忖度第一号決着」2019・2・12

 

 2014年6月、さいたま市の公民館での句会で、ある女性が「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の句を読み、秀句に選ばれて「公民館たより」に当然掲載されるはずだったが、公民館は「公平性、中立性を害する」として、「たより」への掲載を拒否した。

 憲法九条は、日本が長い長い戦争をして、多くの人々を殺し、また、日本中が空襲を受け、原爆まで広島、長崎に落とされ、やっと昭和20(1945)年8月15日に終わった悲惨な戦争体験の後、「もう戦争はしない」ことが明記されている宝もののような条文なのだ。

 この九条を、武力を持つ自衛隊の存在を明らかにし、自衛のためだけではなく、外国にも行ける戦力として憲法に明記すべきという改憲論が、安倍首相をはじめ改憲論を唱える人達の考えだ。さいたま市公民館は、政権与党の「改憲論」に睨まれるかもしれないから、怖いから、この俳句を載せないことにしたに違いない。忖度第一号か?

 憲法には「思想の自由」という条文もあって、国民が「九条守れ」と主張、公表するのは自由なのだから、作者の女性はさいたま市を相手取り、さいたま地裁に「俳句の掲載」を求め提訴をおこした。それから高裁、最高裁を経て、昨年2018年12月25日に、裁判に勝った。さいたま市は教育長が女性に謝罪し、俳句の掲載を約束した。今年2月1日の公民館だよりには、この件の報告とともに、女性の句が載った。5年ぶりである。

 おかしいと思ったら声を上げなければならない。この女性は、金子兜太先生にも会い、励まされたという。

 東京新聞には、このことをきっかけに、「平和の俳句」を一般から募集し、金子兜太さん、いとうせいこうさんを選者として、2015〜17年の3年間、当選句を、新聞の1面左上に掲載した。俳句はできない私だが、何回か応募してみた。ごく稀に当選することもあって、私として、最近、唯一の嬉しかったことだった。

 本当に、おかしいと思ったことには、声を上げなければならない。なかなかできないことで、いつも自分の無力を恥じている。殺人は禁止されているのに、戦争はなぜ禁止しないのか。いつも戦争の犠牲者は若者だけど、若者は、気がつかず、選挙にも行かない。これは全く困ったことだ。