「ハッスルする人は、なぜ出世できないか」
という文を書かれていてとても共感できました。
「ハッスルする人」は伸びないが、その対極にあるような「鈍くさい人」は伸びる。
更に
「短距離ランナー」より「長距離ランナー」
「何事にも過ぎる人」より「コツコツ型の人」
という対置で人間性と成長の関係を書かれていました。
(ハッスルする人=)頭の回転が速く敏感に行動する人は、
目先の損得に左右され、
せっかくの成長の機会から降りてしまうことがあるのです。
逆に長い目で見たら伸びるのが「鈍くさい」人です。
「鈍」と言っても決して賢くないわけではありません。
あざとい動きをせず、最初は損に見えることでも
「とりあえず全力で取り組んでみよう」と思うことのできる
健やかさを持っているのです。
「静かに、健やかに、遠くまで行く奴が勝つ」
こう僕は信じています。
更に渡邉さんは
「人間が働くのは、お金を儲けるためではなく人間性を高めるためである」
これが僕の信念です。
コツコツ仕事を続けていると、必ず人間性は高まります。
だからワタミグループは、よけいな分野への投資をせず、
コツコツ型の事業しか手がけていないのです。
とも。
以前読んで感銘を受けた稲盛さんの一部下の逸話を思い出しました。
私は元々コツコツ型ではありません。
だから年齢を重ねて様々な体験を経てきて
最近やっとこういうことが実感を伴って分かるようになりました。
本当に大切なことはコツコツと倦まず弛まず継続し続けること。
目先の損得など考えずに与えられた職務にひたむきに努力すること。
自分の体験からもつくづくそう思います。
平凡な人を非凡な人に変える力
かつて京セラの滋賀県にある工場に、一人の中学卒の従業員がいました。
「これはこうしなさい」と教えると、「はい」とうなずいて、
手を真っ黒にし、額を汗まみれにしながら、
言われた仕事を来る日も来る日も飽きずにやっていたものです。
工場の中ではまったく目立ちませんでした。
ただ不平や泣き言は一切口にせず、
地味で単純な作業をコツコツと続けていたのです。
それから二十年後-私は彼に再会しました。
驚いた事に、地味で単純な作業をコツコツ続けていた彼が、
事業部長に出世していたのです。
私が驚いたのはその役職だけではありません。
「よくぞ、ここまで」と、思わず声を出してしまうほど、
人格も見識も十分に備えた立派なリーダーに成長していたのです。
ごく目立たない存在でしかなかった、
ただコツコツと愚直に仕事を続けるしかなかった、
平凡な彼を非凡に変えたもの-
それこそが地味な努力を厭わずに積み重ね、
息長く続ける「継続する力」だったのです。
若し今、「真面目に働く」ことしか自分には能がないと嘆く人がいたら、
その「愚直さ」こそ喜べと言いたい。
つまらないように見える仕事でも、
粘り強く続ける事ができる、その「継続する力」こそが、
仕事を成功に導き、
人生を価値あるものにすることができる、
真の「能力」なのです。
『働き方―「なぜ働くのか」「いかに働くのか」』稲盛和夫 より
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