マウナケアとTMT NHKの報道でかけてる視点「世代間にわたるトラウマ」 | 「ハレ ロミロミ オ ケカイマリノ」オーナーブログ  Nohona Hawai'i ーハワイ島暮らしー

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ハワイ島で「ハワイアンから見たハワイ」をシェアするプログラムThe Roots Of Aloha やロミロミのスクール&クリニック「ハレ ロミロミ オ ケカイマリノ」のオーナーをしています。そんな私のハワイでの生活、Nohona Hawai'i。

 

 

まだまだ静まることのないマウナケアでのプロテクト運動。

いろいろ動きはあるようですが、あなどることなかれ、ハワイアンたちは建設計画からマウナケアという言葉が消されるまではつづけるつもりでしょう。

 

 

 

そんな中、先日、日本でもNHKで報道されたようですね。

(報道の全文が英訳付きで下にあります。)

それ自体は意義のあること。

 

でも、おしい!!

私が一番、赤ペンいれたいのがここ!

 

「一体なぜ今回、反対運動が高まっているのでしょうか。背景にあるのが『若い世代』の意識の変化です」

 

いやいやいやいや、70年代の若者も命をかけてハワイを守っていました。

米軍の演習場だったカホオラヴェや、カラマヴァレー。

 

その「意識」は観光ハワイの表舞台からは見えなくてもずーっとハワイアンの心のなかに渦まいていたことで、今回はその対象が「神聖な」マウナケアだったために堪忍袋の尾が切れたということなんじゃないかな、と思っています。

(マウナケアはなぜ「神聖」か、はまだ私には語れません。。。)

そしてソーシャルメディアの力を借りて大きなうねりを生み出した。

 

今の若者たちは、70年代に活動していた方たちの、ちょうど子供の代。

彼らの世代だけの意識が急に高まったわけではけしてない。

 

クプナたち(その多くは70年代に若者だった人たち)こそが前線にいるし、

母プア・ケースと娘ハヴァネ・リオスは2代に渡って活動しています。

NHKでも取材を受けていたケクヒ・カナカオレ(NHKによると52歳 笑)にいたっては、母であるアンティー プア、息子であるカウマカイヴァと3代で。

 

 

ハヴァネとプア・ケースは「intergenerational trauma 世代間にわたるトラウマ」という言葉を使っていました。

これまでずっといいように「レイプ」されてきた彼らの土地。

こんどの標的はまたマウナケア。

ずるずる天文台が増えたあげくに今度は巨大天文台?もういい加減にやめてくれ enough is enoch、未来の世代のためにもこれ以上はみとめられない、というのが彼らの思いなんだと思います。

 

 

ソーシャルネットワークのなかった70年代の「若い世代」は音楽でそれを訴えてきました。

 

ギャビー・パヒヌイもそうだし、私が一番ヘビロテしているアルバムのジョージ・ヘルムもそう。(私のロミロミの施術やワークショップを受けた事ある人はもれなく耳にしてるはずです。姪っ子がライアテア・ヘルム。)

 

デニス・パヴァオが歌った「All Hawaii Stand Together」はそのいい例。

 

ググったら、こんな素敵なのを見つけた。

歌詞をちゃんと聞かなかったら、ただの陽気なハワイアンソング。

でも歌詞の意味、世代間にわたるハワイアンの痛みがわかると涙なしには聞けないよ。

 

 

歌詞はこんな。

ほんとは全部訳したいけど、詩を訳すセンスは私にはないのでサビだけ。

 

「ハワイの皆、ともに立ち上がろうAll Hawai'i stand together,
それは今もこれからも      It is now and forever,
声をあげ            To raise our voices,
バナーを高く掲げよう      and hold your banners high,
私たちは国家として立ち上がる  We shall stand as a nation,
私たちの世代の運命を導くために To guide the destiny of our generation,
私たちの土地の栄光を歌い讃えるために To sing and praise the glory of our land


ハワイロア、みんなで立ち上がろう Hawai'i Loa, ku like kakou,
一体になって毅然と立とう            Ku pa'a me ka lokahi e,
バラバラに大胆に立とう           Ku kala me ka wiwo'ole
揺るがず、揺るがず、               'Onipa'a kakou, 'onipa'a kakou,
皆よ、勝利するまで             A lanakila, na kini e,
皆よ、生きよ、生きよ、生きよ      E ola, e ola, e ola na kini e」

 

(↑ハワイ語のニュアンスを伝えるのって難しい)

 

彼らの想いはこのときから驚くほど何も変わっていない。

(そう、だから世代間のトラウマ。)

 

 

その70年代の若者たちは、今や、教授となり、政治家、文化のリーダーとなり、このマウナケアを守るため政治的な「事実」、ハワイアンの目から見た「歴史」、家族やハーラウの中で語られてきた「ストーリー」をどんどん公にしています。

そして今の「若い世代」が中心にそれをソーシャルメディアでひろげる。

私がハワイ大学に通い始めた20年近くまえでも、なかったこと!

図書館にこもっても知れなかったようなことが、家でパソコンを広げていれば流れてくるなんて!!!

 

おかげで、このマウナケアのプロテクションは「一部の活動家」の間だけでなくどんどんおおきな動きになっています。

個人であげた声も広げやすいこの時代、ハワイがこれからもハワイであるために、私も微力ながらこうしてブログで声をあげていこうと思っています。

 

ハワイがなければ、今の私はなかった。

ハワイがなければ、今の私ではなくなる。

 

まだまだ書ききれない想いはあるけど、つまるところ、ハワイの人がノーというのだからノー!なのです!!!!

(相手がノーといってるのに無理やり実行するのはレイプです。)

 

 

 

 

 

 

 

以下、NHKの報道内容です。

ラーフイマウナケアジャパンのフェイスブックページより引用させていただきました。

(ラーフイマウナケアジャパンありがとうございます!)

https://www.facebook.com/lahuijapan/posts/122881692385168?__tn__=K-R

 

 

【Spreading Protest Demonstration in Hawaii, what's behind it ?】
〜 ハワイ 広がる抗議デモ 背景になにが?〜

日本人にも人気の観光地ハワイ。この夏休み、訪れた方もいるのではないでしょうか。中心地・ホノルルなどでは、連日のように大規模なデモが起きています。参加者が主張するのは、先住民が“聖地”とあがめる山・マウナケアを守ること。この活動には、ハワイ出身の歌手ブルーノ・マーズさんや、俳優のレオナルド・ディカプリオさんらも支持を表明。運動が急速に広がっています。ハワイでいったい何が起きているのでしょうか。

Hawaii, it’s a major tourist destination for Japanese. Some of you might have been visited for summer vacation. In the capital Honolulu and the other places, large protest demonstrations are held almost every day. The demonstrators claim to protect Maunakea where is a sacred mountain for Native Hawaiians. Bruno Mars, a Singer from Hawaii, and Leonard DiCaprio have expressed to stand together. The protection movement is spreading rapidly. What's happening in Hawaii?

ハワイで最も大きな島、ハワイ島の最高峰・マウナケア。
標高4,205メートルの山頂には、各国が建てた13の望遠鏡が並びます。
晴れた日が多く、大気の揺らぎが少ないことから、世界で最も天体観測に適した場所の1つと言われています。多くの人々が天体観測に訪れる、ハワイ有数の観光地です。

Maunakea is the highest mountain in Hawaii Island, the biggest island of Hawaii. 
On the 4205 meters high top of the mountain, there are 13 telescopes which had been built by various countries. 
It is said that it's one of the most suitable location for astronomical observation because there are many clear day and few atmospheric fluctuation. It's a popular tourist spot of Hawaii where many people come for astronomical observation.

ところが、この山に向かう道は、1か月以上閉ざされたままです。新たな施設の建設を阻止しようと、市民たちが封鎖しているのです。これまで30人以上が逮捕され、一時はハワイ州政府が緊急事態宣言を出す事態に陥りました。

However, the Maunakea access road has been closed for more than 1 month.People are blocking the road to prevent the new telescope construction. More than 30 people had been arrested and the governor of Hawaii had declared a state of emergency. 

議論となっているのは、次世代望遠鏡・TMT。先月(7月)、工事が始まる予定でした。既存の望遠鏡をはるかにしのぐ、口径30メートルの巨大な望遠鏡が建設される目的の1つは「第2の地球」を探すことです。太陽系の外にある惑星に、酸素や水などが存在しているか探ろうというのです。日本やアメリカなど5か国が共同で、およそ15年前から進めてきた国際プロジェクト。建設費用は1,800億円になります。

The problem is TMT, a new next generation telescope.
Last month (July), the construction was supposed to start.
One of the reason why they build such a mammoth 30 meters telescope which is far more big than the existing telescopes, is for searching the “Second Earth”.
They say they are going to search if there is oxygen or water on the planets outside the solar system.
This international joint project sponsored by five countries including Japan and USA, had been forwarded for 15 years. 
The construction cost would be 180 billion yen.

国立天文台TMT推進室長・臼田知史さんは、「地球の外で生命が誕生するのか調べることができるかも知れない。そうすると地球上でどうやって生命が誕生してきたのかっていう謎の解明に役立つ」と指摘します。地元自治体も、計画を積極的に後押ししてきました。新たに建設される巨大望遠鏡は、地元経済への大きな波及効果が見込まれるからです。
ハワイ島の行政を担うハワイ郡ハリー・キム郡長は、「TMT建設をうまく進められれば、ハワイ経済の大きな弾みとなる。」とTMT建設に期待を寄せています。

Tomonori Usuda, the TMT Project Manager of Japan National Astronomical Observatory, says 
“We might be able to find out if the life come into being outside the earth, then it would help us to solve the mystery how the life come into being on the earth.”
The local government also boosted the project positively, because they expect a big ripple effect to the local economy by the TMT construction.
The Mayor of Hawaii island, Harry Kim hope that,
“If we could make TMT project forward, it would be a big chance of economic development for Hawaii.”

TMTの建設の反対運動を主導するのは、ハワイの先住民らです。リーダーの1人、ケクヒ・ケアリイカナカオレさん、52歳です。マウナケアは、自然を崇拝する先住民にとって何よりも大切な場所だと言います。ケクヒさんたちが、抗議活動の場で毎日行っているのは伝統の儀式。踊りや祈りを通して、自然と一体になるのだと言います。先住民にとって、神々や先祖であり、自分自身でもあるというマウナケア。その山が意に反して開発されていることに、先住民たちは怒っているのです。

It’s Native Hawaiians who are taking the initiative to protest the TMT construction.
One of the leader, Kumu Kekuhi Kealy Kanakaole, 52 years old, says Maunakea is the most important sacred place for Native Hawaiians who respect Nature.
What Kumu Kekuhi and the protectors do is daily traditional protocol at the venue of protect demonstration.
She says they are united with nature by dancing and praying.
Maunakea, it is gods, ancestors and themselves for Native Hawaiians.
They are angry at their sacred mountain being developed against their will. 

既に多くの望遠鏡が建ち並ぶマウナケア。先住民たちは、これまでも、山頂にある施設を複雑な思いで見つめてきました。一体なぜ今回、反対運動が高まっているのでしょうか。背景にあるのが「若い世代」の意識の変化です。先住民の文化を大切にしようという若者が増えています。ハワイではかつて、ハワイ語が禁止されていた時代もありましたが、この30年でハワイ語を教える学校が増加。一時は、ほとんどいなかったハワイ語を話す人は、今では1万人を超えています。

There are already many telescopes on the Maunakea.
Native Hawaiians had been stared the summit facilities with mixed feelings until now. Why this movement against TMT is rising now?
There is a change of the consciousness of young generations behind it.
The young people who respect the Native Hawaiian Culture are increasing.
There was a time when Hawaiian language was banned before, however the Hawaiian schools are increasing in these 30 years.
Once it was few people who speaks Hawaiian language, now it’s exceeding 10 thousand.

若者たちの間で先住民文化が根づくにつれて、マウナケアを守りたいという気持ちが育っているのです。若い世代は活動の様子をSNSで拡散。抗議活動は一気に広がりました。ハワイ出身の有名歌手や、若者らに影響力をもつ著名人たちもデモに参加するなどして、抗議活動の支持を次々と表明しています。

As the native culture takes roots among young people, their will to protect Maunakea are raising.
The young generations spread their action in SNS.
Then the protection movement were spread at once.
A popular musician from Hawaii and the celebrities who have influence to young people had taken part in the demonstrations, and are expressing to support the movement one after another.

抗議活動の広がりを受け、先月TMTの建設開始は先送りされることになりました。着工を目前にしての計画変更に、関係者は戸惑いを感じています。これまでも地元の学校やコミュニティーで、TMTの重要性を説明し、計画への理解に手応えを感じていたからです。

Due to the spread of the movement, the TMT construction was postponed last month.
Those who concern the project are puzzled by this change of the plan just before the start of construction.
Because they had explained the importance of TMT at local school and community, so they had confidence they got the understanding for the project.

国立天文台TMT推進室長・臼田知史さんは「地元とは、いい関係っていうのは築けてきたと考えてはいたんですけれども、正直にいうと、今回あそこまで大規模に反対が起こってしまったということは、残念でしかたない。」と言います。今もなお続く、抗議活動。参加者が求めているのは、建設の「先送り」でなく「中止」です。科学を発展させる望遠鏡の建設と、先住民の文化の尊重。その両方を共存させることはできるのか。模索が続いています。

TMT project manager, Usuda Tomonori says, 
"We had been feeling we had made a good relationship with local community... honestly, I'm very disappointed that such a big protest movement has occurred now..."
Protection movement is still continuing now.
Protectors require abandonment of the project not postponement.
TMT construction for development of science and respects for native cultures, 
is it possible to coexist together?
The way to reach a solution continues.

Translation : Kiyomi Mitamura, 
【Lahui Mauna Kea Japan】