大阪には「粉物をご飯のおかずにして食べる文化がある」ことは存じておりました。お好み焼きやたこ焼きと白飯、確かにイケると思われます。少なくともわたくしは大丈夫です。
駄菓子菓子、それがいか焼きにまで及んでいるとはこの海のリハクをもってしても読めませんでした。東京においていか焼きは、同じ粉物なのにお好み焼き、たこ焼きと比べるとシェアは小さく、単純に取り扱い店舗数においても大きく差を開けられております。
そうした中で“馬の骨”とされるP-MODELファンの間では二大粉物を凌駕しいか焼きがもっとも支持されています(たぶん)。なぜかと申しますと、歴代P-MODELメンバーの福間創さんが大阪出身ということもあり、すこぶるいか焼きを愛し、2000年前後に渋谷センター街の奥へあった「いか花亭」という専門店に出没してはいか補給し、ファンとの交流を図っていた史実があるからです。テクノといか焼きという組み合わせね。
わたくしもこのいか花亭でいか焼きなるものを初めて食したものでした。小麦粉と卵をクレープ状に焼き、その中に刻んだいかが入っている。そしてお好み焼きやたこ焼き同様ソースをつけて食べる。それをいか花亭でも人気だった冷やしあめ(かじる飴ではなく飲み物)とともに食すと、店舗内にいながら夏祭りのような気分を味わえたものでした。
時は過ぎ、いか花亭は消え、そしてP-MODELメンバーの中では末っ子(もっとも若い)でありながら福間さんは昨年の元日に他界されました。たまーにデパ地下でいか焼きを売っていると飛びついては福間さんのことを思い起こしていましたが、あまりに早いお別れとなってしまいました。
それからさらに時が過ぎ先日、天龍プロジェクト大阪大会でニコプロ民の方から差し入れをいただきました。紙袋の中にあったのは、パッと見た瞬間はなんだかわからないお弁当でした。テーブルに出して、包装紙を取ると…そこには複数のいか焼きがビッシリが寝そべっておりました。
いか焼きで弁当!? 最初はいか焼きのみと思っていたところ、その下にはご飯も隠れていたのです。いや、本当に弁当だよ、いか焼きがおかずの弁当だよ。
さっそく調査したところ「いか焼きのっけ弁当」なる名称で阪神百貨店梅田本店で販売されているとのこと。しかも人気らしく、数量も限定とのこと。ご足労をおかけしてしまったようです。
バカ舌なわたくしゆえ、食べている最中は5枚のいか焼きがそれぞれ違う味だと気づきませんでしたが、ソース味、卵入りソース味、ネギ入り醤油味、卵ネギ入り醤油味、卵入りポン酢味が揃い踏みしており、米の方は白飯ではなくひじきの炊き込みご飯でした。これがいい感じでいか焼きとマッチしており、粉物&米であってもなんら違和感なくパクパクといけました。
味的には、ありです。お好み焼きやたこ焼きでなくてもいけます。ただ、炭水化物×炭水化物ゆえ、調子に乗って食べると満腹感がハンパないです。さすがは食い倒れの街ですな。
それでも食い倒れることなくその後の実況業務はこなしましたよ、ええ。で、やはり食べている時に福間さんのことを思い出しました。いか焼きを愛していた福間さんも、さすがにお弁当として売られることは想像していなかっただろうなと。だからこそ、福間さんにも食べていただきたかったなと。