現在
両親とも86歳
父親は要介護4
母親は要介護2
頑なに切望した実家での二人の生活
私たち三人の兄妹がその日々を見守る中
何とか続けて来た老夫婦二人での生活も
二年続けての
父親の緊急搬送入院で限界となり
介護サービス付き高齢者住宅の二人部屋に夫婦で入居しました
父親が幼少期を過し
私が中学校を卒業した年に
祖父と叔母の面倒を見るために再び家族で移り住んだ
夏暑く
冬寒い
私たち子どもが
それぞれに独立した後も
両親二人で暮らした実家
父親にとっては
子供の頃からの思い出が詰まった家
慣れ親しんだ土地を離れる事を
施設への入居を
長年拒み続けた両親
それでも
引っ越してみれば
そこには
清潔で
常に快適な室温の中
施設の職員の方々も親切に接してくれて
朝昼晩の食事におやつ
定期的にお風呂にも入れて貰えて
そして何よりも
常に両親の体調を見守る環境がありました
2月21日
一足先に母親が入居して
それから一週間後
父親が
入院していた病院からそのまま入居して
約二ヶ月が経った今
容態が芳しくなく
今日から再度の入院となった父親
コロナ禍の中
施設での面会も出来ない環境で
父親が入院した当日
教室での稽古中に
何度も何度も掛かって来る
母親からの電話
これから暫くの間
二人部屋に一人で過ごす事になる
度重なる母からの電話に
子どもたちにお願いした事
「先生のお母さんこんばんは」
皆んなの元気な声を母親に聞かせてくれないか
いいよー
みんな集まって
子どもたちのそんな会話が飛び交う中
母さん
今
子どもたちが母さんにご挨拶してくれるよ
そう母親に伝え
せーのー
先生のお母さん!
こんばんはー!!
会場中に響き渡る大きな声で挨拶をしてくれた子どもたち
その声を聞いた母親は
先程
私と話していた時とは別人の様な嬉しそうな弾んだ声で
ありがとう!
そう答えてくれました
母さん
大丈夫だよ
みんな応援してくれているから
ゆっくりお休み
そう言って電話を切って
子どもたちには
ありがとう
母さんすごく喜んでくれた!
そうお礼を言って
稽古は再開されました
子どもたちの母親への挨拶は
私自身にも
大きな勇気と希望
そして力を与えてくれる
言霊となりました