《ストーリー第9話》出口の見えないトンネル期 | ピアニスト/ピアノレッスン菊地まゆ子のブログ@東京

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こんにちは。

ピアニストの菊地まゆ子です。

 

シリーズ[まゆ子とピアノのストーリー]では、4歳でピアノに出会ってからこれまでのことを綴っています。

 

今回はその第9話。第一子出産後に突入した、暗くて出口の見えないトンネルの話です。

 

(第8話までの目次は文末にあります)

 

 

 

【まゆ子とピアノのストーリー 第9話】

 

世界一周楽団を辞めたあとは、自分のピアノトリオやヴォーカルやベースなどとのデュオのライブをちょこちょこやったりするほか、ジャズバーでBGMを弾いたりしていました。

 

ピアノトリオはまだ固定のメンバーではなく、人から薦められてベテランのミュージシャンにお願いしたりしていました。

 

 

ことの成り行きで、とあるお店に毎晩常駐し、ピアノの演奏のほかお店の全ての業務を一人で行う(つまり、雇われママみたいな感じ)生活を1年くらいやったとき、第一子を妊娠しました。

 

いろんな理由から、その仕事を続けるのを辛いと感じていたところだったので、出産を理由に辞めさせてもらったのが、妊娠8ヶ月くらいだったか・・・・忘れました。

 

 

そのお店と出会い、常駐することが決まったときに、それまでレギュラーで入っていたバーのBGMや婚礼の仕事(結婚披露宴での演奏。大学卒業後、好きでずっとやっていました)は辞めていました。

 

お店を辞めさせてもらう頃、出産まであとわずかでしたが、大好きな婚礼の仕事はやっぱり続けていたいと思い、音楽事務所に連絡してすぐさま復帰させてもらいましたが、その他の仕事はそう簡単に見つかりません。

 

わたしの演奏の場は、ブライダルの現場と、ほんのわずかな依頼演奏のみとなってしまいました。

 

 

それでも、出産前はまだ良かったのです。子どもはお腹の中にしかいないので、出産直前まで婚礼の仕事をギュウギュウに詰め込むことができました。ちょうど婚礼業界は繁忙期でしたし、馬車馬のように演奏しまくっていました(馬車馬はピアノを弾かないと思いますが 笑)。

 

問題は出産後。

 

出産3ヶ月後から婚礼の現場には復帰しましたが、夫や実家の母に娘を預けての仕事なので、預け先の都合によって仕事が入れられなかったりして、思うような件数をこなすことができません。

 

しかもライブにもなかなか誘われず、演奏の機会は月に数回になってしまうことも。

 

この頃のわたしにとっては、仕事の件数、つまり演奏の機会の数が全てでした。それが自分のかすかな自尊心を保つ材料だったのです。演奏や自分自身に自信がなかったからですよね。ですから、この状況はかなり危機的でした。

 

しかも、周りの仲間たちは急速に売れ出してきて、みんなどんどんアルバイトを辞め、音楽だけで生計を立てるようになってきたり、メジャーな媒体に出たり、一流の人と共演したり・・・・と、華々しい活躍の様子がSNSからどんどんわたしの目に飛び込んできました。ちょっと前まで一緒に演奏していたのに、自分とは天と地ほどの隔たりを感じました。「わたし、あの人と一緒にやってたんだよー!(そんなわたし、すごいでしょー!)」と大声で言いたい、それくらいでしか自分のプライドを保てない状態でした。

 

 

今思えば、アーティストとしての価値はライブの本数ではないことくらい容易にわかります。自分の目指す自分になるため、SNSを見ているような時間をほかのどんなことに充てたらよいか、今ならわかります。でも、そのときはどう頑張ってもわからなかった。

 

本当に辛い毎日でした。毎日毎日泣いていたと思います。明確には覚えていません。どっちを向いても光の見えない真っ暗なトンネルの中を、進んでいるのかどうかもわからずただ歩いているような気持ちでした。

 

 

遠い国にいる友達にメッセージを送ったら、愛のこもった長い長い返事をくれました。

 

そこには、彼女がこれまでいろんな壁にぶちあたり、ひとつひとつ自分で越えてきたことがわかる、力強いアドバイスがたくさんありました。

 

その最後に、こんな言葉が。

 

「ホントに自分の『え?!』ってところが実は宝物だったりするから。私にはそれがまゆちゃんの中に見えているのにもどかしいです(笑)。でもそれは他の誰かが言うよりもまず自分で気づくことが大事だから、それを見つけてね。答えはいつも、あまりにも身近すぎて気づかないところにあるんです☆☆☆」

 

いくつものアドバイスも この言葉も、当時のわたしには本当に意味がわからなくて、何度も何度も読みました。スマホに保存して、その後 何年も読み返しました。あの頃は意味がわからなかったけど、でもバイブルのように道を示してくれている感じがして、読むだけで力になりました。今でもこのメッセージはわたしの宝物です。

 

それから、岡本太郎の本にも救われました。よく読んだのは「強く生きる言葉」と「壁を破る言葉」でした。

 

 

しかし、この暗い暗いトンネルは、光が見えないまま3〜4年続きました。

 

 

〜〜続く〜〜

 

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【まゆ子とピアノのストーリー】

 

第1話 《ピアノとの出会い〜小学生編》

https://ameblo.jp/kikuchimayuko/entry-12363017269.html

 

第2話《中学生編》

https://ameblo.jp/kikuchimayuko/entry-12363513146.html

 

第3話《中学・高校・大学部活編》

https://ameblo.jp/kikuchimayuko/entry-12365493527.html

 

第4話《伴奏ピアノとの出会い編》

https://ameblo.jp/kikuchimayuko/entry-12365621819.html?frm_id=v.mypage-checklist--article--blog----kikuchimayuko_12365621819

 

第5話《伴奏ピアニストになりたい》

https://ameblo.jp/kikuchimayuko/entry-12365635102.html

 

第6話《ジャズへの劣等感》

https://ameblo.jp/kikuchimayuko/entry-12365637691.html?frm_id=v.mypage-checklist--article--blog----kikuchimayuko_12365637691

 

第7話《やっぱりピアノが弾きたい》

https://ameblo.jp/kikuchimayuko/entry-12365832816.html?frm_id=v.mypage-checklist--article--blog----kikuchimayuko_12365832816

 

第8話《押し寄せるコンプレッスクの波》

https://ameblo.jp/kikuchimayuko/entry-12365898717.html?frm=theme

 

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