A子と星の物語 | 「読む!ことぴよでいず。」

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私がたまにツイートしている、A子と星の物語(140字)のまとめです。




『A子は星につかまりながら、夜を泳いでいた。あたりはしんとしていたが、真下には無数の光が粒めいている。猫がこちらを見ていたから、足をバタバタさせてみた。「わたし、ふわふわと泳いで、どこまでも闇をゆらめいているの!」A子が降らせた声に、猫はぴくりともせず、夜に溶けていった。』(2021/02/01)



『A子は昼間の影に思い浮かべる。
幸せな、愛、笑顔、指先、満ち足りたいと願って、アスファルトの上を。なぞり、なぞりながら歩く。夜のように、泳ぎたい。空を見てもそこに星はなく、空っぽの水色がのびている。A子は早く夜が来て欲しいと願う。わたしだけの煌めゆく世界。微笑みには、星との秘密が。』(2021/02/01)




『「私ね、幸せになれないって知ってるんだ。」A子は1人部屋でつぶやいた。「知っているのに、どうして、求めているの?」星の声が聞こえた。そのままここまで落ちてくればいいのに、星はこなかった。A子は窓を開け「きらい」と言った。「きらい」はそのままぷかぷか浮かんで、雲へ消えていった。』(2021/02/03)





『ビルの上。A子は星と街を見つめている。
「ねえ、こんなに沢山の人間がいるのに、誰も私たちのこと、知らないのよ。」星はくるりと回って「誰かに知られてしまったら、もう、秘密じゃなくなってしまうからね。」とささやいた。「秘密...幸せね。」A子の髪の毛が、夜風にゆられ、星に優しくふれた。』(2021/02/04)





『「もう、夜が終わるね」地平線に光が霞み始める頃、A子はいつだって永遠を望む。「ずうっと夜だったら、いいのにな...そう思わない?」星はしゅわしゅわと輝きながら、透明になってゆく。時は進み、太陽はのぼり、星は消えゆく。A子は、ひとりぼっち、空につぶやく。「今夜も迎えにきてね」星はいない。』(2021/02/05)






『空を見ている。この視線のずうっと、ずうっと先には「宇宙」というものがあるらしい💭そこから星は、やってくる。宇宙。星のもとに、いつかいけるのかな。A子は星を想う。A子にとっては空虚な昼も、星を想えば、愛が咲く。夜、眼下に広がる、光のお花畑。静寂。風の音。思い返すのは、星との時間だけ。』(2021/02/09)






『悲しいことは、考えないの、ね。
夜を、星と泳ぐの。すうっと冷えた空に、わたし、誰よりも溶け込んでる。愛を知りたい、もう知っているのかもしれないけれど。なんだかね、知ってしまったら、もう、私じゃなくなってしまうような気がするの。全て捨てて、私ではない、何かになりたいな。星、お願い。』(2021/02/13)







『A子は影を見た。思う。私の影の中に、星を閉じこめてしまいたい。そうすれば2人の世界は、ずっと私だけのもの。私が星を待ち、昼を忍ぶ必要もない。嗚呼どうして思いつかなかったのかしら。私の夜に、星をつれこんでしまいましょう。
A子の胸に、ポトン、と一滴。じわじわと夜が染みわたってゆく。』(2021/03/10)







『星、久しぶりね。A子は呟いた。私ずっと待っていたのよ。星がいなきゃ、夜だっていらない。昼なんて、もっといらなかった。また夜を旅してくれる?
星は動かず、空に浮かんでいる。
「…君は僕を待っていた」懐かしい。星の声だ。星はA子の前でくるりと回る。A子の瞳に星が輝き、2人の夜に秘密が灯る。』(2021/05/22)











これからもA子と星の世界をつむいでゆきたいな。

琴里の世界に生きる、大切なA子ちゃんと、星。