kyupinの日記 気が向けば更新 -6ページ目

教職員の精神科治療の話

 

 

上の記事には、教職員に精神疾患を理由に休職した人数が過去最高になったという記載がある。以下抜粋。

 

文部科学省が2023年12月22日に公表した「令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によれば、精神疾患を理由に病気休職した教職員数は全体の0.71%に当たる6539人で過去最多となった。

 

精神疾患はあらゆる職種の人に起こりうるので、学校の先生に限らず、医師や弁護士にも重い精神病になる人がいる。

 

今の教職員は不登校の生徒も多いし、クレーマー的な父兄も多いと思うので、僕が子供の頃よりずっとストレスが大きいはずである。

 

治療する側からすると、結構軽い症状の教職員の人も多い。20年くらいずっと継続して治療している人は半年に一度くらいしか来院しない。薬(ベンゾジアゼピン)をボチボチ飲んで今は校長先生をしているようなので、やがて定年退職すると思う。

 

僕は教職員はいったい何人、何十人治療したか覚えていないが、治療が不調で退職に至った患者さんが1名もいないことに気付いた。実は気付いたのはもう10年以上前だが、その後も1名もいない。

 

だいたいこのタイプの気付きは、気付いた瞬間、試練のような重い患者さんが送り込まれて来るものだが、驚異的に悪化した患者さんも無事、教職に復帰している。

 

教職に復帰できても、担任ができないとか、部活の顧問ができないレベルは良くなっているとは言わない。

 

僕の患者さんはいずれも担任も持っているし、部活の顧問もしている(顧問という言葉が正しいのか自信なし。例えばバレー部の監督など)。既に定年退職している人もいる。

 

ある先生の奥さんは僕は仕事の関係上、親しかったので、治療の感想を聴いたことがある。彼女によると、薬のコントロールが前医とは全然違っていたらしい。どのように違うかと言えば、薬を減量したり、中止した際の離脱のような症状が全く出ないのでびっくりしたと言うのである。また、僕の投薬が先入観を跳ね退けると言う奇妙な表現をしていた。彼女が、この薬は無理だろうと感じても、十分に良かったりすると言うのである。

 

このような感想を聴くと、同じ薬でも離脱症状が出るかどうかとか、効くかどうかは、主治医の薬の操作的な手法による部分も大きいことがわかる。元々、僕は精神療法は重視しない精神科医なので、治療もデジタルそのものと言って良い。

 

重い人を診るようになった時、「この人はマジ厳しいのでは?」と思わないようにしている。と言うより、ニュアンスが伝わりにくいと思うが、マイナスの治療イメージは結果に影響するので、変な先入観を抱かないようにしているだけである。その辺りの気持ちの持ち方は以下の過去ログにも記載している。

 

 

結局、運も良かったんだと思う。

 

教職員で、重い精神疾患で退職せざるを得なくなると言うことは、おそらく本人が障害年金を受けるようになり、その人の子供たちの未来も相当に影響することになる。

 

そういう覚悟で、とか言っているが、いかなる患者さんも治療の覚悟は大差ないと思うんだけどね。

 

 

2001年5月から2024年2月までに診た入院患者の総数

僕は退院患者さんの処方をワードに残す習慣をつけており、ページ数を調べると入院患者総数がすぐにわかる。

 

また、例えば10年間入退院を繰り返した患者さんの処方変遷を検索できるのでとても便利である。

 

しかし、入院後、月をまたがず1〜2週間で退院したなどの超短期間で退院した人は最終処方の記録が残らないので、真の入院患者総数は今回調べた数より少し多い。処方箋の内容のみなので診断まではわからない。

 

2001年5月~2024年2月は約23年間である。2000年~2005年頃まではほとんど満床だったので入退院が少ない。入退院があまりない期間は平均在院日数も長期になる。そういう計算式だからである。

 

今調べたところ、この23年間の入院患者数は836名であった。1年あたり37.5人。月あたりは3人になる。

 

実感としてもう少し多いような気がしたので、2014年1月から2014年1月までの入院患者数を調べたところ352人であった。1年あたり35.2人だったのであまり差がなかった。

 

僕は2003年頃から院長になっているので、院長が診ている患者数としてはけっこう多いのではないかと思う。

 

僕がこのような統計を残しているものは、今回挙げた入院患者数と、新患サマリーである。サマリー数で新患人数がわかるが、2017年頃からなので、ここ7年間くらいである。その他、リエゾン患者のサマリーも5年以上残っている。これはいかなる診療科から診察依頼が多いかなど、すぐにわかるので、いつか記事に挙げたい。

 

新患サマリーをしっかり記載するようになり、自立支援法診断書、精神障害者保健福祉手帳診断書、年金診断書、他病院への紹介状が書きやすくなった。コピペで対処できる部分が多いからである。

 

新患サマリーは全員残っているわけではなく、新型コロナが大流行している時期の警察署留置者の診察を院外のプレハブで診ていたときは記載していない。

 

それはフェースガードなどを付けて診察していると、フェイスガードが曇ったり、パソコンが画面が光で反射したりで、見にくくて書いてられなかったからである。紙カルテに普通に記載した方が簡単だったのでワードのサマリーは残っていないのである。

 

そのような理由で新患サマリーも100%は残っていないが、相対的に僅かなので誤差だと思う。

 

精神科民間病院では、個々の患者さんの手間がかかる記録はできればしたくないが、記録しておいた方が治療上メリットも大きいので、必要性が上回ってしているのである。

奇跡的改善と不慮の事故死

今回の記事はオカルトのテーマである。内容が内容だけに最初に書いておく。

 

よく巷では、宝くじに当たると悪いことが起こるとか、死ぬなどと言われることがある。根拠は薄いが、おそらく人の運量は一定なので、一度に運を使うと、その反動が来るといった感じだと思う。

 

マージャンでも、天和や九蓮宝燈を上がると、死んだり、重い病気や事故に遭うなどと言われたりする。そのようなことがあり、僕たちは誰か天和を上がったら、すぐに麻雀を中止し、その日は赤飯でも炊いてもう麻雀を止めるという約束をしていた。

 

ところが、誰も天和など上がる人などいなかったのである。3人麻雀でさえ一度も目撃していない。そもそも、僕は同じ卓内で天和を上がった人を見たことがない。しかし、地和は数えきれないほど見ているので、同じように見えても確率が違うのであろう。

 

宝くじが当たると縁起が悪いなどと言われるのは、たぶん2つあり、1つ目は浪費散財して身を持ち崩すことがあることと、2つ目は、宝くじが当たるのと逆のレベルの悪いことに遭遇することがあることだと思う。

 

これが実際にそうなのかは不明である。第一、巨額の宝くじに当たる人がわずかしかいないし、そういう人が不幸なことに陥ると目立つのもあると思う。

 

そのような理由も少しあり、僕は宝くじを買わない。

 

今回は、僕の患者さんで、驚異的と言えるレベルの奇跡的改善を来たした人が、その後、意外に不慮の事故に遭い亡くなっていることがある話である。

 

昔はなぜそうなるのかなかなか理解できずにいた。

 

これは、幸運とその逆が起こっためぐり合わせと今は理解している。

 

参考

 

 

 

 

 

ノラネコがエサをもらって食べている動画

 

このノラネコは雑種だが、身体の模様を見るとアメショさんとかも入っているのかもしれない。左耳をカットされており、メス猫である。

 

 

ネコおばさんがエサをやる直前にちょっと待ってもらって撮影。行ったり来たりしている。こう言うと悪いが、お口の周りの泥棒模様がかわいい。

 

 

これは別の日に撮影したもの。撮影していたら、突然、食べるのをやめてどこか行ってしまった。ネコは自分でエサを調達できるので、ガツガツは食べず、食事中もしばしば気が散るようである。イヌとは大違いだと思う。

 

しかし、この辺りのネコは全て地域猫でいつもエサを貰えるため、自分ではエサを調達できないような気がする。

新型コロナ感染と高齢入院患者さんへの影響について

単科精神科病院で新型コロナのクラスターが起こると、必ず高齢の入院患者さんが感染する。これは、高齢者は若い人より免疫機能が低いことも関係している。今の精神科病院は高齢の入院患者さんばかりなので、自然と多くの高齢者の感染前後の様子を診ることになる。

 

まず、高齢者が新型コロナに感染し、直接死亡に至ることは意外に少ない。稀と言って良い。精神科は主病名が呼吸器疾患のため入院している人は滅多にいない。たまたま呼吸器の合併症がある人がいるだけである。直接亡くならないのは、ワクチン接種率が高いこともあると思う。

 

しかし、新型コロナに感染すると、ちょうど大腿骨頸部骨折を起こし整形外科に入院した高齢者と似た経過になる。正確に言えば、大腿骨頸部骨折とは少し異なるのだが。

 

一般に、認知症が多少はある高齢者が大腿骨頸部骨折を起こすと、入院中にせん妄が生じたり、治療終了までに大きく認知症が進行することも稀ではない。

 

新型コロナ感染症の場合、骨折後の手術や術後経過のせん妄はあまり生じないように見える。しかし、高熱が出てしばらく食思が落ち、ベッド上に横臥している時間が増えると、認知症が既にある人は更に進行しやすい。

 

高齢者の骨折&手術に比べ、新型コロナ感染症の場合、興奮性の要素が少ない。しかし時間が経つと体力低下や食欲不振による痩せなどが出現し、一見、似た状態になる。

 

僕はある病棟で新型コロナクラスターが起こった後、感染した高齢者が軒並みくたびれてしまって、認知症の人も活気がなく、顔色も悪く、発語もめっきり減っていることに驚いた。

 

これはある種のインフルエンザ後うつ状態だと思われる。このタイミングで嚥下性肺炎を起こすと、簡単に亡くなったりする。感染症後のうつの類似状態は免疫機能を低下させ、新たな感染症の抵抗力を低下させるのだと思う。これらは新型コロナの関連死と言って良い。

 

また、しばらくゾーニングのために部屋から出られないなどの環境では、軽症でも歩行数が減るし、発熱などでベッド上で横になっている状況が良くない。人との関わりも激減し認知症が進行する要因となる。

 

それまでは歩けていたのに新型コロナ後に足腰が弱り車椅子使用になる高齢者もいる。つまり介護度が悪化するのである。

 

新型コロナ感染症は、入院中の高齢者にはマイナスしかない。