空海を知る14 超常体験2つ~明星と虚空に浮かぶ | 絵本作家 ふじもとのりこの「絵本がもっと楽しめる!絵本製作裏話」

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絵本に関わり、早や40年。
ママと子が一緒に楽しめる絵本を4冊、工作本も出版!
絵本作家しか知らない、絵本の創り方、絵の技法、親子で作るキッズアート大公開
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空海を知る14 超常体験2つ~明星と虚空に浮かぶ

その1 明星口に入る

四国の室戸崎は、古名を「ほつみさき=火の御埼」と言います。
ここは、空海以前から、山岳行者の辺路(へんろ)行場でした。
この海浜や洞窟でかがり火をたく行をしていたのです。
これは、水平線の彼方の常世国の神、龍神に捧げる聖火だったのです。

ある朝、真魚は行場にしていた「神明屈」で修法に入り虚空蔵菩薩の真言を唱えつづけていました。

するとある瞬間、虚空蔵菩薩の象徴である明けの明星~金星が口に入りました。
真言のなかに言霊としてあった虚空蔵菩薩が、明星の姿となって真魚の口のなかに顕われた現象です。
真魚という小宇宙が、虚空蔵という大宇宙と一体になったのです。
この超常状態を密教では「成就(シッディ)」といいます。
 
真魚は、山岳修験を身につけ、海辺の修行(辺路(へんろ))を経験し、その上で遠くインド的雑密行法を成功させたのです。

このころ、水面は今よりもっと高かったので、洞窟から見た景色は、海と空だけでした。ここから「空海」という名をつけたと伝わっています。
 



その2 虚空に浮かぶ

四国の霊山石鎚山は、西国一高い2000mの天空と霊山の境界で、再び虚空蔵求聞持法を行じようとします。
非常に急こう配の岩山なので、ほとんどよじ登ったと思われます。

霊山石鎚山では、おそらく弥山と天狗岳の急峻の往復で、食をとらず動けなくなった事もありました。
2000mにもなる山の上の修行では食を確保することが難しく、断食状態になりますから、文字通り命がけの行です。
 

 真魚は、天狗岳の尖端で求聞持法を修し、虚空に浮かぶ超常体験をしたと伝わっています。