11.エゾシカの生息数を調べる | 手稲山・発寒川からの手紙

手稲山・発寒川からの手紙

北海道の野生動物や自然の状況についてなど手書きの絵などによって詳しくお伝えします。

 エゾシカのふだんの食物は、ササや背の低い若い木の枝です。夏の間は森林地帯から出てきて豊富な牧草や農作物を食べ荒らします。シカの行動範囲はたいへん広く、その地域全体のシカの数をすばやく数えるには、木の葉が落ちた冬期間に、上空からヘリコプターの爆音で茂みからシカを追い出し、数えるしかありません。

 夜間、地上を車で走りながら、ライトでシカを照らして数える「ライトセンサス法」を紹介します。


 森・畑・川・道路などの作図

 ライトセンサスは暗くなってから行なうので、明るいうちにあらかじめ調査地を下見して車が通れる道、地形や林や畑などの状態を書き込んだ図面を調査員の数だけ準備しておく。


 夜間の調査

 昼間のシカは、人影を見つけると警戒して逃げますが、夜間はエンジンの音を立てて車で近づきライトを当てても逃げようとしません。調査に使う車は軽トラックのほうが良いでしょう。荷台に調査員が乗ってライトに浮かび出た両側のシカの頭数・雌雄・年齢などをすばやく図面に記入します。


 生息数の推定

 野外調査を終えると室内に持ち帰り、各自が記入した図面をつきあわせて、車で走った両側の植生区域の面積(光がとどく100m)こどのシカの数をかぞえ、生息密度を推定する。


 シカ害対策-個体数の調整

 北海道では30年ほど前からシカの数が増え、農作物や樹木の被害が激増してきました。これを防ぐため、農地の周りに「防鹿柵」をめぐらしたり、銃による一定数の捕獲(「個体数調整」と呼ぶ)をおこなっていますが、シカの回復力が早くてシカの増加や被害をくいとめることができずに困っています。




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