10.野ネズミの数を調べる | 手稲山・発寒川からの手紙

手稲山・発寒川からの手紙

北海道の野生動物や自然の状況についてなど手書きの絵などによって詳しくお伝えします。

 戦後、本州産のカラマツが道内の林地に広く植えられました。ところが、この苗木は、野ネズミ(エゾヤチネズミ)によって植える片端から食害を受け枯れました。このため、野ネズミの研究者や林業関係者が集まり、どうしたら防除できるかを相談しました。それはまず初めに、森林ごとのネズミの生息密度を知ることでした。

 最初は、森林所有者に往復ハガキを送って「昼間でもネズミを見かけるか?」とか「ネコがネズミをくわえてこないか?」といった、いま思えば笑いたくなるようなアンケート調査をやりました。しかしこれは、ネズミが増えてしまった“後の祭り”です。

その次に、容器に入れたカボチャの種子や団子10粒ずつを1ha内に等間隔に配置、数日後に何ヵ所で何粒曳かれたかを数えて、生息数を推定しました。ところが、この方法では、4種のうちのどのネズミが運んだのかは分かりませんし、1頭のネズミが数ヵ所から何粒でも運ぶことがわかり、失敗でした。

 最後に、生け捕り用のワナの0.5haの面積に50個配置、ネズミを生け捕り、記号をつけて放す調査を、未記号ネズミがいなくなるまで1週間つづけて生息数を推定しました。(これを参考にして現在は、50個のハジキワナを用いる4日間の簡略な調査=「野ネズミの発生調査法」に変更された)

 この調査は全道の約1000箇所の森林で春夏秋の3回行なわれ、その調査結果が研究所に集められます。このデーターに基づいて毎年の防除態勢が組まれています。



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