『三つ編み』 | Wind Walker

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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

三つ編み

 

『三つ編み』 レティシア・コロンバニ著 2019年

 

 

フランスで100万部以上売れ、文学賞8冠達成、32言語で翻訳されるという世界的なベストセラー。

 

国も立場も異なるがそれぞれ深刻な悩みを抱える3人の女性が主人公。3人のストーリーが交互に語られていきます。

 

1人目の主人公はインドの不可触民、スミタ。上位カーストの糞便を素手で拾い集めるのが代々受け継がれてきた生業だが、自分の娘にはそんなことをさせたくないと願い、なけなしの財産を使って学校へ通わせようとするが・・・。

 

2人目はシチリアでヘアピースやカツラを作る工場を営む一家の娘、ジュリア。ある日父親が事故で意識不明の重傷を負うと、工場が破産状態にあることを父が隠していたことを知る・・・。

 

そして3人目はカナダのモントリオールで弁護士として働くサラ。1秒も無駄にしないことをモットーに、家族との時間も犠牲にしてさらに上のキャリアを目指していたが、乳癌であることが発覚すると徐々に閑職へ追いやられ・・・という話。

 

3者の生き様が交差するからタイトルが「三つ編み」なのかと思いきや、それだけでなく実際に3人を繋ぐのが「髪」であったのがなんともニクい題名だと思いました。

 

 

あとがきを読んだら本作は「フェミニズム小説」とのこと。

 

フェミニズムという言葉を聞くと今もなお「全部オトコが悪いんだよ!」と吼える若かりし頃の田●陽子さんの顔が浮かんでしまうのですけれども、本作では男性が対立項ではなく、むしろ男も女も社会システムの犠牲になっているところに公平性を感じます。

 

ただ、2018年の女性の不自由度ランキングではインドが108位で、なんと日本はさらに下位の110位。

 

作品中、不可触民の女は上位カーストの男に強姦されたり殺されたりするのが常であると書いてあったのにどうしたら日本がそれより下ってことになるのでしょうか?

 

誰が決めたのか分からないランキングはともかく、作品そのものはオススメです。

 

 

 

 

著者のレティシア・コロンバニさんは映画監督で脚本家で女優。本作は初めて書いた小説とのこと。

 

著者自身の脚本・監督による映画化が進められていると書いてありましたけど、現在まだ映画にはなっていないようでした。

 

しかし絵本にはなっていていたので、読書が苦手な方やお子さんはこちらから読んでみてもいいのかもしれませんね。