子供達はすばらしい! | 増田 章の「身体で考える」〜身体を拓き 心を高める
【自由があった】
「そうだ、好きなように戦えばいいんだ!」
子供達は、時に相手を打ち、時に蹴る。そして、密着して倒しにかかる。
「倒し技」が決まる。「蹴りが」決まる。「背後取り」が決まる。

まだ、すべての技を教えたわけではない。ゆえに技術だけ見ると私が考えている組手の形にはまだ至っていない。しかし、選手自らが自分の獲得点数を把握し、取られた点数を奪い返すために力を尽くす。そこには、間違いなく「自由」があった。

私は、子供達に「楽しかった?」とは聞かなかったが、楽しかったのではないかと思っている。なぜなら、子供達がとても輝いていたからだ。
私は共に観戦していた岡山アスリート道場代表の藤島氏とそのように語り合った。

これは、7月31日の日曜日、定期的に行われる岡山アスリート修練会に参加しての感想である。
今回の修練会は、成人数名、少年部50名ほどの参加者による、クラシックスタイルとフリースタイル(UBK空手武道競技)の交流大会という内容だった。

クラシックスタイルとフリースタイルとは、私が主宰する国際武道会が提唱する新しいフルコンタクト空手競技のことである。

新しい競技(UBK方式)の基本形であるクラシックスタイルは、ほぼ極真空手の競技方式と同じだと考えて良い。フリースタイルは、そこに倒し技が認められている。

最も異なるのは、判定評価基準に従来の一本、技あり等に加えて、効果等を採用したことと、それらを「漢字」のみならず「数字」に置き換え表すことである。

例えば、一本は「10点」、技ありは「5点」、効果は「1点」等である。「何だそれだけ」と言うほど簡単ではないので、ルールについて詳しく知りたい方は、国際武道人育英会(IBMA)のウエブサイトをご覧頂きたい。又、今回の模様を動画で配信したいと考えている。その際、あらためてルールについては解説したい。

話を戻せば、今回、子供達の新しい競技への順応ぶりに希望を感じた。そして、衰えを感じる心身にエネルギーが充電されたように思う。

【競技理念について】
ここで、口幅ったいが、競技理念について書いておきたい。

およそ人間とその技術というのは、その人間が採用する「ルール」によって形作られるのではないかと私は考えている。

「ルール」とは、人間及びに社会が採用する法律等を指すのみならず、自然法則等をも指している。

我々が有する価値観とは、その人間が採用するところのルールのみならず道徳律をも含めた行動原則と言っても良いだろう。

国際武道会が提唱するUBK空手武道競技ルールの真髄は、倒し技云々にあるのではない。

それは、競技を行う者のみならず外部の人達も含めたより多くの人達が納得、承認、共有できるルールを創設し、共に競技を楽しむことにある。

そして競技とは、する側と見る側が共有する原則を基に「技」と「力」と「おもい」を尽くし自分を創造する行為であり、同時にその表現及び結果を「歓喜」をもって承認する行為でなければならないと私は考えている。

「でなければならない」という言い方は、多分に私の「おもい」が入っているので、反発を招くことは予想できるが、あえてそういいたい。

なぜなら、そのような行為及び結果を「芸術」と言い、人間に最も必要なものの一つだと確信するからだ。また、芸術とは、宗教と役割を分担しながらも、魂を浄化する道だと考えるからである。

もちろん、絶対のルールがあるとは思ってはいない。だからこそ、既存のあらゆるルール、すなわち法律、自然法則、道徳等すべてを鵜呑みにするのではなく、自分の心と身体で考え、見直すということが、人と社会に一番重要だと言いたいのだ。

そして、それがあらゆる不条理を受け入れ理不尽と戦う道だと考えている。言い換えれば、あらゆる不自由を受け入れ、自由を掴み取る道だと言ってもいい。

おそらく、私の意見とは反対に、与えられたものをすべてを鵜呑みに、そして信じるということが幸せなことだという者がいるかもしれない。しかし、そのような者には、それが可能な時代は、残念ながらもう終わったと言いたい。

もうやめよう。このブログには適さないないようになってきた。

【フリースタイルは難しくない】
とにかく、クラシックスタイル、フリースタイル共に選手、観客が競技の状態(優劣)を共有できたと思っている。又、フリースタイルに関しては、私がいつも言うことだが、「フリースタイルは難しくない」と言いたい。

ただ相手を打つ、蹴る、そして倒すことを工夫することだけである。そして、同時に相手に打たれない、蹴られない、そして倒されないことを工夫するだけである。そこに無限の可能性がある。

私は、いくつかの技を提供をするが、それらはすべて古今東西の武術及び格闘技の技を研究し、そして自分の身体を使い工夫した結果である。フリースタイル空手とは、一人ひとりが古今東西の技を学び工夫し、技を自分の意志と心身で表現していくことなのだ。それは、先達が「禅」からインスパイアされ命名した空(くう)の手、すなわち空手の思想と合致する。

また、稽古とは、自己の心身を媒介し、古今東西の技が、時空を超え繋がり、一つになることを実感することではないかと私は考えている。それを自覚する道が私の考える新しい武道だと言っても良い。

私は、未来を拓き築いていく子供達に、自らの心身を活用して、真に考え、自分を創造し、表現するということを実践して欲しいと思っている。

今回、意を強くできたのは、ここまで子供達を指導してきた岡山アスリート道場の藤島代表並びに柴田先生の協力のお陰だと思っている。

特に柴田先生は、今回の交流大会の企画者であり、国際武道人育英会の審判委員会の委員でもある。柴田氏は空手のみならず、岡山県アマチュア相撲の10年連続チャンピオンの経歴を持つ。本当に心強い味方に恵まれたと思っている。

蛇足ながら、いつも夢ばかり大きくて、置いてけぼりにするかのような感をみんなに与えるかもしれないが勘弁して欲しい。

これからはみんなと一緒に歩いていこうと思っている。そして、子供達の役に立ちたい。