Gruyère、Russin、Lyon ~ソーニャ、アンヌマリーさん、クレープ狂い | ツアーレポート

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5日間置きっぱなしだった荷物たちを引き取りにベルリンへ。
結局ベルリンにはこの一晩のみの宿泊となり、後ろ髪をわし掴みでひかれつつも次の街へ。
スイスのベルンまで、12時間の電車旅。
案内画面には、数日前までいた都市の名前が表示されるので複雑な思い。

ベルンには、ソーニャとノアムが迎えに来てくれていた。
もともとは3年前、スイス・リュッサンのフェスティバル主催者アレックスの彼女として知り合ったソーニャ。
アレックスとはもう別れてしまったがその後も別に交流は続き、ここから二日間は昨年に引き続きグリエールにある彼女の実家に宿泊させてもらうことになっていた。

ノアムは今回初めて会った、ソーニャの友人。
ファッションデザイナーの彼は大の日本びいきで、年のうち半分を日本で過ごすという。
日本語も流暢なので、ローカル話で大いに盛り上がる。



典型的なスイススタイルのソーニャの実家。
彼女のお父さんとお兄さんは、グリエールで牧場を営んでいる。
作っているのは新鮮なミルク、そしてもちろんグリエールチーズ。



泊めてもらう部屋のベランダには、大きなカウベルがずらり。
ちょっとした鐘くらいの巨大サイズもある。
山での放牧の間、牛たちはこのベルを付けて過ごすのだそうだ。
ベランダから外を眺めていると、遠くの牛の鐘の音がカランコロンと聞こえてくる。




牛さんたちこんにちは。



だいぶ肥えているのは愛犬ピスカ。
常にお腹を空かせていて、牛の餌にまで手を出してしまうらしい。



自由に使っていいよと言われたキッチンには、思いがけないプレゼントが。
海苔、米、味噌汁、わさび、麺、豆腐、醤油に酢まで。
なんとソーニャが日本食の材料を買い揃えていてくれたのだ。
他にもスプリングオニオン、もやし、生姜などなどアジアン系の食材がずらり。



この晩はソーニャとノアムと4人でご飯。
茄子と豚肉の味噌炒め、野菜あんかけの揚げ出し豆腐などを作る。
約二週間ぶりの米食にほっこり。

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村田さんは大好物のメレンゲ+ダブルクリームをたっぷり食べてご満悦。
このお菓子はグリエールの名産。
特殊な窯で長時間かけて焼くことにより中がキャラメリゼされたメレンゲに、ダブルクリームというとっても濃厚な生クリームをかけて頂くもの。

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ダブルクリームの容器には、もちろんアルプスホルンを吹くおじさんが。


翌日はたまりにたまった洗濯をさせてもらい、鉄道のチケットなどを手配し、ソーニャの友人のパーティーになぜか参加させてもらう。



男はみんな棒が好き。
ちょっと遊んでみたら、ヒートアップして大変なことに。



焼きつけるように緑を照らす夕暮れから始まり、刻々と色を変えながら沈んでいく陽が鮮やかで、目が離せなかった。

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ソーニャとわたしたち。
二日間じゃ、とてもじゃないけれど全然足りない。
たとえ言葉の壁があろうとも、いつまでも話が尽きることのない大切な友達。
早朝仕事に向かう彼女と寝起きでのお別れだったので、今回は泣かずに済んだ。

駅までは、まったくフランス語しか喋らない上に超マシンガントークの陽気なソーニャ母に送ってもらう。
私たちが言葉をさっぱり分かっていなかろうと、気にも留めず話し続けるお母さん。ナイスガッツ。


電車に乗ってふたたびリュッサン、アレックスのところへ。
ドイツの前に置かせてもらっていた荷物をまとめたら、次はいよいよフランスだ。

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私たちの帰りを待ちわびていた様子の隣人アンヌマリーさんも迎えてくれて、一緒に夕食をとる。
これまでの日々のことを話しながら、素敵なキッチンでサラダ作りのお手伝い。

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彼女は、今朝作りたてだというモッツァレラチーズを用意してくれていた。
見事な織物のような層を舌に感じる。
そして甘く芳醇なミルクの香り。
いままで食べたモッツァレラがまるで別物みたいに思えてしまう。

翌朝テラスへ行くと、もう着なくなったという防寒具たちが積み重ねられていた。
村田さんとそれぞれ一着ずつ、ジャケットをお下がりしてもらう。
「あなたたちが着てくれるのは何よりも嬉しいわ!」とアンヌマリーさん。
駅まで車に乗せてくれてプラットフォームで見送ってくれる彼女に手を振っていたら、やっぱり涙が出てきてしまった。
知的でやさしくとても誇り高い、スイスのおばあちゃん。
同じ空の下、あの美しい庭に彼女はいつも通り居るのだと思い浮かべることは、世界のどこにいても私をあたたかく落ち着いた気持ちにさせてくれる。
頂いたジャケットを着る季節がくるのを、とても楽しみに待っている。


アンヌマリーさんが持たせてくれたチーズとクラッカーのお弁当を食べながらフランスに入る。
滞在先はフランス第二の都市リヨン。
ここでは溜まってしまった作業を片づけることにとにかく専念。
キッチンつきのアパートなので、毎日の自炊が唯一の楽しみとなる。


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水餃子を作ってみたり。

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またうどんを打ってみたり。
麺棒がなかったのでワイン瓶で代用したのが良かったのか、初めて作った時よりも良い伸びっぷり。

そして今回の一番のヒットは何と言ってもこれ。



YukkiYOYOのブログをなんとなく参照して作ったクレープ!
すごく簡単なのに本格的な味が楽しめるお勧めレシピ。

材料はこちら。

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小麦粉、卵、牛乳、オリーブ油、ビール、塩。
ビールを入れるのが大事なポイント。
分量や手順などは上記のユッキーブログをご参照ください。



生ハム×卵。
フランスは生ハムが安いからと言ってあまり調子に乗って入れ過ぎるとしょっぱい。

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半熟の卵を絡めて食べるのが最高!



ロックフォールチーズ×蜂蜜。

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溶け出すロックフォールと蜂蜜の色気むんむんな絡み合い。
こんなにいやらしい食べ物があっていいものか!
一口食べると悶絶間違いなし。
いま写真を見ただけでも涎が垂れてきそう。
中毒性たっぷりの、大変危険な組み合わせ。

この旅行中、私は何度もクレープを焼くのだと思う。
ロックフォールを溶かし蜂蜜を絡めては身悶えするのだと思う。
そしてこんなに素晴らしい組み合わせに出会ってもなお、新たな刺激を私はまた求めてしまうのだと思う。
ああなんて罪深いクレープ道!


次はある意味この旅の山場、「Chalon dans la rue」への参加です。
写真家・鈴木さや香さんも合流し、いよいよツアーらしくなる予定。