ちょっと待って!65歳までは年金は複数貰えない! | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

65歳になるまでは、老齢年金、遺族年金、障害年金それぞれの受給権を持っててもどれか一つしか年金は貰えません。


特に問題になるのは60~65歳の間です。


遺族年金とか障害年金は60歳前でも貰える年金ですが、60歳以降は自分の老齢の年金も請求できる年齢になってきますが、やった!更に年金が増える!!(≧∇≦)
…とそんな都合のいいようには年金は出来てません(^^;;


よくある事例は遺族厚生年金を既に貰っている人が自分の老齢の年金も貰えるようになった場合等です。


で、妻が遺族厚生年金を貰う場合はだいたい妻自身の老齢の年金よりも高い場合が多い…というか自分が見てきたものはほとんどそうですね。
以下、妻が遺族厚生年金貰ってる場合で話を進めます。


でも60~65歳の間は二つの年金は貰えません。

なんだか損をしてるような気がしますが、両方受給させて過剰な給付を避ける為です。


しかし将来に向かって大きな損をしてしまう事があります。


それは、自分の老齢の年金を受給権発生前に貰う年金の繰上げをしてた場合です。


これまで話したように、年金の繰上げは例外的に自分の意思で早く老齢の年金を受給する事が出来ますが、年金が減らされてそれが一生続きます。


それを受給してる最中に夫が亡くなると60~65歳の間は遺族厚生年金を貰うか、自分の老齢の年金を貰うか選択しなければいけません。


遺族厚生年金が高いと、年金の繰上げした意味が全くありません。
そして65歳以降も損です。


夫(もしくは妻もですが)が今亡くなった場合いくらくらいの遺族厚生年金が貰えるのかを把握しておく事はとても大事な事です。

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では、どんなふうに損をしてしまうのかちょっと事例で考えてみましょう。


昭和31年2月生まれの今月60歳になる妻、68歳の夫と暮らしてる場合で見てみましょう。
※年金支給開始年齢(日本年金機構)


この妻は厚生年金期間が1年以上で老齢の年金を貰う為の25年以上の年金加入期間(未納除く)があるとすれば、老齢厚生年金が60歳から発生し、65歳から老齢基礎年金が貰えます。


で、60歳から老齢厚生年金が少ないから、65歳から受給するはずの老齢基礎年金を60歳から貰う事にしました


※妻のデータ
①60歳から老齢厚生年金300,000円
②65歳から老齢基礎年金700,000円

妻は60歳から老齢基礎年金を貰うとすると、700,000円×(100➖60ヶ月×0.5)%=490,000円
60歳から合計300,000円➕490,000円=790,000円
(貰うのを1ヶ月早めるごとに0.5%ずつ年金が減額されます)


※夫のデータ
①夫の受給中の老齢厚生年金1,000,000円(20年以上の厚生年金期間有り)


夫が今死亡した場合、1,000,000円÷4×3=750,000円の遺族厚生年金。
更に夫が20年以上の厚生年金期間が有るから、中高齢寡婦加算585,100円が遺族厚生年金にプラス


妻に対する遺族厚生年金は750,000円+585,100円=1,335,100円になります。


よって、妻の60~65歳の間はこの遺族厚生年金1,335,100円もしくは妻自身の老齢年金790,000円を選択する事になります。


で、どっちか選択ではあるんですが、損を更に感じてしまうのは65歳から!!


65歳になるまでは年金は複数の種類は貰えないんですが、65歳になると複数の年金が貰えるようになります。


そう。


老齢基礎年金と老齢厚生年金、遺族厚生年金も貰う。



老齢基礎年金を繰上げしてなかったら減額無しである700,000円の老齢基礎年金を貰うと同時に遺族厚生年金も貰えてたんです。


老齢基礎年金700,000円を5年早くもらい始めてしまって490,000円に金額が下がりました。
年金の繰上げの意味は遺族厚生年金の発生により、60~65歳の間は意味がありませんでした



高い遺族厚生年金を貰うのに、わざわざ65歳から遺族厚生年金とも同時に貰える老齢基礎年金を下げてしまっただけの結果になったわけです。


繰上げしてしまった妻は65歳以降の年金はどうなるのか。
妻の老齢基礎年金490,000円➕妻の老齢厚生年金300,000円➕遺族厚生年金(750,000円➖妻の老齢厚生年金300,000円)➕※経過的寡婦加算19,500円=1,259,500円(年金総額)になります。


※65歳以降は中高齢寡婦加算585,100円が消滅し、代わりに妻の生年月日に応じて経過的寡婦加算19,500円(昭和31年4月1日以前生まれの寡婦のみ。生年月日により金額が異なる)が支給になります。

65歳からの遺族厚生年金は、自分の老齢厚生年金分が停止される為750,000円➖300,000=450,000円が遺族厚生年金になります。



繰上げをしてなかったら700,000円➖490,000円=210,000円がプラスだったんですね(^^;;


だから、65歳までは年金は1種類しか貰えない事、65歳から同時に貰える時に単に損を被るだけになるリスクを踏まえて、複数の年金を貰う権利がある人は気をつけておきましょう




複数の年金は貰えないといっても、障害基礎年金➕障害厚生年金、遺族基礎年金➕遺族厚生年金みたいな同じ種類の年金は同時に貰えます。


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