(再)同じ老齢の年金なのに違う年金の2つに分けなければならなかった理由。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。

 
先月初旬に耳から発生した帯状疱疹のせいで、顔に水疱ができたところが結構濃いアザ(4箇所でそれぞれ2〜3センチ)となりそれが目立ってしまうのがイヤだな〜と思っていましたがすこーしずつアザが薄くなってきました^^;
色素沈着を消すクリームを日々ぬりぬりしています(笑)
 
帯状疱疹の治療がある程度早かったからまだこの程度のアザで済んだと思いますが、遅らせていたら広範囲のアザになっていたでしょうね…
 
なので顔に妙な疱疹が出たらすぐに病院に行った方がいいですね。
なんか疱疹があるなあくらいにしか最初は思わないですが、疱疹が出始めたら進行の速さが急激ですから…
 
アザも厄介ですが、顔の神経から発する帯状疱疹は聴力が低下したり(僕もそうですが…だいぶ聴こえるようになりました)、目の失明や顔の神経麻痺に繋がったり危険なようです。
 
皆さんも免疫を低下させないように気をつけてください^^
 
では本題です。
 
(本日のは令和3年12月のブログ記事の再投稿です)。
 
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今の公的年金の支払いのベースは、国民年金からの老齢基礎年金と厚生年金や共済からの老齢厚生年金となっています。
 
未納期間以外の年金保険料を納めた期間が10年以上あれば、65歳になると国民年金から老齢基礎年金が支払われます。
全ての人が老齢基礎年金を受給します。
 
それを受給すると同時に、今まで厚生年金や共済に加入してきた人は過去の給料に比例した、報酬比例部分の年金を受給します。
 
年金はすべての人がこの2階建ての形となっています。
 
 
なお、今までずっとサラリーマンだったから厚生年金にしか加入してないような人は、老齢厚生年金だけじゃないの?というと、このような人も国民年金から老齢基礎年金が出て、その上に老齢厚生年金という形で2階建てで支払います。
 
 
国民年金は20歳から60歳までの加入期間に比例した年金を支給し、加入期間が同じならみんな平等な年金額となります。
厚生年金は過去の給与に比例した年金を支払います。
 
 
同じ老齢の年金なのに、どうしてわざわざ2つに分けてるのか。
 
 
これに関しては今から70年ほど前の戦前戦後まで遡る必要があります。
 
あまり記事が長くならないように、できるだけ短く話します^^;
 
 
 
まず、当時を振り返りましょう。
 
社会保険としての年金ができたのは昭和17年6月にできた肉体労働者への労働者年金保険法が最初と思われがちですが、昭和14年4月(昭和15年6月施行)にできた船員保険が始まりであります。
 
 
船員は戦時体制中の輸送力の増強と、海上という特殊な環境での仕事、長時間労働等で船員を確保するのが容易ではなく、そのために年金の給付を作る事が優先されたのであります。
 
 
また、海軍などの船が沈没させられても恩給などの給付が国から出ますがその他の普通の船員の船が沈められても何の保障もありませんでした。
 
 
なので船員の保障をするために、医療保険だけでなく年金も保障される事になりました。
 
 
なお、船員保険ができた当初の年金は50歳からの支給でした。
 
 
その後、昭和16年3月に労働者年金保険法(厚生年金の前の名称)が公布され、昭和17年6月に施行となりました。
近衛文麿内閣の時に公布され、東条英機内閣の時に施行されました。
 
 
ちょうど太平洋戦争が始まった昭和16年の社会保障なのでもしかしたら戦費調達に使われたのでは?と思われるかもしれませんが、労働者の士気を高めるための年金でした。
 
 
老後も死亡した場合も、障害を負った場合も保障するから憂慮する事なく国のために働いてくれ!と。
 
 
そういえば昭和17年6月というのは日本が戦争での敗戦への転換期となったミッドウェー海戦があった時でもあります。
 
 
それまでは日本は無敵の強さで各アジアを植民地化して支配していたアメリカ、イギリス、オランダ、フランスなどの欧米列強を倒していきました。
正直、アメリカ以外は日本の敵ではありませんでした。
 
 
しかしアメリカ軍とのミッドウェー海戦での大敗でその後、日本は運命が狂い始めます。
 
 
日本は大敗したけど、日本本土では相手の戦艦を沈めた!という様な勝ったような間違った情報を流していて、国民は騙されていきました。
 
 
日本は昭和17年6月5日のミッドウェー海戦で主力艦やベテランの精鋭兵士を失って、以後負け続ける事になりますが、同じころに労働者年金保険法を始める事により、国民の士気上昇を狙った。
 
 
その後、昭和19年10月には厚生年金保険として事務系の男子や、女子にも保険が適用されるようになりました。
 
 
当時は女子に年金保険をかけるとは何事だっ!って話でしたが、戦時真っただ中で女子も戦争に協力するために各軍需工場などに徴用されました。
 
 
徴用期間は約2年でした。
 
 
女子を年金に加入させるなんてけしからん!と思われたのは、女子が長い事働くというような時代ではなったので、最低でも20年は加入する必要があった厚生年金に女子を加入させると保険料の払い損になってしまう危険があったからです。
 
 
 
さて、東条英機首相がサイパンをアメリカから守れなかった責任で昭和19年7月に小磯国昭内閣となり、その後サイパン陥落でついに日本本土が空襲の的になってきました
 
 
昭和19年10月というのはあの有名な神風特攻隊という戦法が取られ始めた頃でしたが、より一層国民の士気を高めるために厚生年金保険法の給付条件を良いものにしました。
 
 
当時特に問題だったのは脱退手当金でした(年金貰う期間満たさない人に今までの保険料返すみたいな制度)。
 
 
先ほど言ったように女子の勤労動員(女子が工場労働に従事する)として働かされ始め、その徴用期間が2年間でした。
 
しかし、脱退手当金は3年以上の被保険者期間が無くてはいけなかったので、不満が強くなり、厚生年金保険法に改正した時に脱退手当金は6ヶ月で貰えるようにしました。
 
 
 
ちなみに学校に通っていた男子は学校の指示で、学校に在籍のまま民間軍需工場で軍需生産に従事した学徒動員がいました。
 
 
でも人手が足りなくて、仕方なく14歳から25歳までの独身女性が女子挺身隊として、病院の看護業務や民間軍需工場で軍需生産などに従事しました。
男子には学徒「動員」という言葉を使っていましたが、女子には動員ではなく挺身隊という言葉が使われました。
 
 
なお、従軍慰安婦とかいう在りもしなかった事があったかのように現在はなっていますが、挺身隊を従軍慰安婦と混同されてたりします。
全く関係が無く、違うものであります。
 
 
そもそも従軍というのはキチンとした地位のある軍属であり、それに慰安婦とかいう言葉をくっつけてる事自体おかしい。
 
 
南京大虐殺とか従軍慰安婦のような無かったものをあったようにされ、宮澤喜一元首相の近隣諸国条項(教科書作る時は他の国に配慮するねって事。外国に検閲を認めたようなもの)によりこんな事が学校の教科書に載るようになってしまった。
 
 
教科書という日本の問題なのに、中国やら韓国のお伺いを立てるようになってしまった。
 
政府が謝罪外交という何の国益にもならない事をやり始めたのも、昭和56年のこの教科書に関しての問題が始まってからであります
 
 
 
さて、昭和20年8月に日本は敗戦し、厚生年金も壊滅状態でした。
 
 
日本の各主要都市は戦争で焦土となっていて、何もない世界となっていました。
 
 
そんな中、満州国などの他の国に居た日本人が引き揚げてきて、兵士だった人も帰ってきました。
 
その数は約700万人。
 
 
しかし、何もモノがない日本にそんなに人が帰ってきたらたちまちインフレの猛威が始まりました。
物価が100倍、200倍ほどになってしまう。
 
 
とてつもないインフレのせいでまだ給付の始まっていない老齢の年金は凍結しました。
ただし、遺族年金や障害年金はできるだけ役立てようと、給付を改善したりしました。 
 
戦後は戦争で家族を失ったり、大けがを負った人で溢れかえりましたが、そのような人を保障したのは年金ではなく生活保護でした。
昭和21年に生活保護法を制定し、200万人程の人が生活保護を利用しました。
 
 
何もかも失った以上、生活保護を受給して生き延びるしかないからですね。
 
 
その後は昭和27年4月8日に日本はアメリカから独立し、社会保障の整備に取り掛かる事になります。
 
 
老齢の年金はまだ受給者が存在しませんでしたが、昭和29年5月に初めての老齢年金受給権者が発生するので、それまでに厚生年金を再建する必要がありました。
 
 
戦前からあった厚生年金は給料に比例した一本の年金でありました
 
報酬比例部分のみの年金だったわけですね。
 
 
でも、そうなると所得が低い人には年金が低く、所得が高い人には給付が高くなり、その時は厚生年金に税金も入っていたから、税金においても高所得者に厚いものとなってしまいました。
 
 
それじゃあ社会保障としてはおかしいよねという事になって、報酬比例だけでなく厚生年金の中に最低保障する部分を作りました
 
それが「定額部分」という年金でした。
 
 
どんなに年金が低くても、定額部分の年金で最低保障して、その上に報酬に比例した年金を支払おうと。
(最低保障額は当時の生活保護基準額が参考として使われました)
 
本当は報酬比例部分無くそう!という声もありました。
 
 
なぜかというと会社が退職金払うから報酬比例部分は不要という事でした。
会社は退職金負担してるんだから、年金は最低保障部分だけでいい!と経営者側は反発しました。
 
 
しかしながら、保険料は報酬に比例した保険料支払ってますよね。
10%保険料なら、100万円の給料の人は10万円を負担して、500万円給料の人は50万円負担する。
 
 
なのに年金はみんな平等に最低保障額だけというのは、不公平になってしまう。
 
 
よって、昭和29年改正では厚生年金に最低保障の年金を持ちつつ、報酬に比例した年金を支給するという2階建ての内訳を持つ年金となったわけです。
 
 
厚生年金の始まりは、「報酬比例部分のみ」でしたが、昭和29年に「定額部分+報酬比例部分」となりました。
 
 
その後は昭和61年4月からの年金大改正で定額部分は廃止となり、その後継者として国民年金から老齢基礎年金が支払われて、その上に老齢厚生年金(報酬比例部分)が支払われています。
 
 
なんで同じ老齢の年金なのに、わざわざ2階建ての年金の内訳になってるのかというと、昭和29年の改正の時の影響なんですね^^
 
 
この2階建ての形が、70年ほど経った今も公的年金のベースの形となっています。
 
 
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3月20日の第338号は「20歳前障害による障害基礎年金の各制限と、昭和61年3月までの全額税金の障害年金をもらっていた人」

 

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(発行済み)3月13日の第337号は「65歳前から受給してる人が65歳になれば年金が増えるという流れと、繰上げで65歳前から受給してる人」

(以降の予定記事)

3月27日の第339号.「夫婦共に繰り下げを利用していた場合の遺族厚生年金計算と受給する側の取り扱いの違い」

4月3日の第340号.「目立たないけど歴史の変化の中で生まれた経過的加算」

4月10日の第341号.「遺族給付とその他の遺族給付を合わせた事例」

4月17日の第342号.低年金者向けに支給される場合がある給付金と、保険料を多く支払った人より年金額が多くならないようにする仕組み。


4月24日の第343号.国民年金保険料の前納の性質と、年金記録を数える時の誤算。

5月1日の第344号.数ヶ月ほど行方不明の後に遺体発見したものの、死亡日がいつなのか不明の場合の遺族年金の取り扱い。

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