中国の取り込み策に本気で対抗せよ | 岐路に立つ日本を考える

岐路に立つ日本を考える

 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 クリントン政権期の財務長官を務めたローレンス・サマーズが”Grasp the reality of China’s rise”(中国が台頭している現実を捉えよ)との記事を発表しました。サマーズは中国から帰国してすぐにこの記事を発表しましたが、端的に言って、完全に中国側に取り込まれた内容となっています。
http://larrysummers.com/2015/11/09/grasp-the-reality-of-chinas-rise/

 記事を要約すると、ざっとこんな感じです。

 今後世界経済の成長の1/2から1/3を中国が占める確率が高く、中国経済の重要性は高まる一方だ。習近平が提唱している「新型大国関係」に移行しなければならない。中国の経済的な成長が促されることで社会的政治的に好ましい変化へとつながっていくことが好ましいのか、それとも中国を封じ込めて経済的に弱化させようとすることが望ましいのか。中国を追い詰めれば敵対的なナショナリストの台頭を許すことになり、それは米国の利益にはならない。習近平が英国で大歓待を受けたように、中国との協力関係を築かないと米国は従来の同盟国から孤立することになる。TPPは中国を排除した形で進められ、AIIBにアメリカは参加しないというが、こうした中国を敵視した策が良い結果を生むとは考えられない。お互いの繁栄を促進し、相互協力を強める方向に向かわないと、悲劇的な結末を生むことになるのだ。

 サマーズはハーバード大学の学長も務めたアメリカを代表する知性ですが、そんなサマーズでもここまで中国に騙されてしまうという現実から私たちは目を背けるべきではないでしょう。サマーズはオバマ政権の国家経済会議の議長も務めたこともあり、政権に対する影響力も実に強い立場にあります。

 中国は世界各国のマスコミにお金を出して食い込むだけでなく、マスコミ各社に対して簡潔でわかりやすい情報のまとめを毎日提供し、足を使った取材などしなくても形となる記事が書けるような「配慮」を行っています。政界であれ、官界であれ、財界であれ、芸能界であれ、学者の世界であれ、あらゆる手段を講じてその影響力の拡大に努め、マスコミ対策と同じような処置を国家的な計画に基づいて実施しています。

 こうした中国のたゆまぬ努力と比較した場合に、いったい我が国は何をしているというのでしょうか。この点の重さに改めて気付かされた記事でした。


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