豪州へのそうりゅう型潜水艦の売り込み方針の撤回を! | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 オーストラリアがオーストラリア北部のダーウィン港を中国人民解放軍のフロント企業と目されているランドブリッジグループに約5億豪ドル(約450億円)で99年間貸し出す契約を結びました。この件について、オーストラリア政府から同盟関係にあるアメリカに何の相談もなかったことで、オバマ大統領は不快感を表明していますが、もはや後の祭りでしょう。世界中のどの国もアメリカを恐れなくなり、中国になびく傾向を示していますが、オーストラリアもこの流れに同調してしまったようです。

 ダーウィン港は米豪の同盟関係において中心的な役割を果たしている港だけに、米政府にとってその衝撃はあまりに大きいと言わざるをえません。今後数年中国経済は停滞するかもしれないが、長期的には成長余力はまだまだ大きく、自国経済の発展のためには中国との関係強化を図っておくべきだとの中国側からのプロパガンダに完全に取り込まれてしまっているようです。衰えていく大国アメリカに付き合っていたのでは割を食うに決まっているとの考えが、離米親中化への動きを加速化させているといえるでしょう。

 こうしたオーストラリアの動きと合わせて考えて大変気になるのは、現在オーストラリアが導入を検討している新しい潜水艦の件です。オーストラリアは自国の潜水艦建造技術の向上のために共同開発国を日本、フランス、ドイツのいずれかの国の中から選びたい方針で、特に日本の極めて静穏性の高い潜水艦であるそうりゅう型潜水艦に対する関心が高いとされています。そして日本政府もまた、このそうりゅう型潜水艦のオーストラリアへの売り込みにかなり力を入れています。中谷防衛大臣は22日にシドニーで開かれる日豪外務・防衛の閣僚協議に出席するためにオーストラリアのアデレードにある潜水艦建造施設を訪問し、潜水艦の共同開発国に日本が選ばれても、現地での建造は十分可能で、経済効果をもたらすことができるとの認識を示しました。防衛省防衛装備庁の石川正樹・長官官房審議官は同盟国の米国にも見せたことは一切ない日本の潜水艦技術をオーストラリアには基本的に全部提供できると語りました。

 同盟国アメリカとの同盟の要衝であるダーウィン港を、中国の人民解放軍関連企業にアメリカとの相談なしに貸出を決めてしまうようなオーストラリアから、中国に技術流出の可能性は本当にないのでしょうか。中国がそうりゅう並の静穏性を保持した潜水艦を保有できるようになるとしたら、我が国の安全保障上極めて深刻なダメージになります。

 オーストラリアを何とか自陣営につなぎ止めておきたいアメリカが日本政府に相当圧力をかけて売り込みをさせているようですが、オーストラリアが中国になびいているのはアメリカの今後のさらなる弱体化を見抜いているからであり、この程度のことでオーストラリアをつなぎ止められると思っていること自体に問題があると言わざるをえないでしょう。ダーウィン港の問題を持ち出して、今からでも日本政府は軌道修正すべきではないかと考えます。


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