慰安婦を巡る完全屈服から挽回する手段を講じよ! | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 慰安婦に関する日韓の政府合意が成立しました。今更私が書くまでもない、最低、最悪の結果です。慰安婦問題について歴代の日本政府は事実認識をきちんと明らかにすることを避け続けてきたわけですが、その成れの果てがこの結果であることを、私たちは見過ごすべきではありません。

 当時、貧しさのために娘の身売りをせざるをえない家庭があり、身売りの事実を正直に娘に語らずに騙した親と悪徳業者がいました。そのような貧しさを解消できなかったのは当時の政府の責任であるとはいえるでしょうし、その点を明確にして日本政府の責任だと言うならば、それは一つの見識でしょう。また、戦後の新円切替の処置によって、稼いだ多額のお金が消えてしまったのも彼女たちの責任ではなかったでしょうし、このことをまた日本政府の責任として認めるというのも一つの見識かもしれません。しかし、親と悪徳業者に騙されていたことが発覚した際に娘を戻すことまで行っていた日本政府が、お詫びと反省を表明して慰安婦問題の責任を認めるというのでは、話は全く違ったものになります。

 上記の事実認識自体が間違っている思っている方も今なおいるでしょうが、日本軍による韓国女性の強制連行、性奴隷化などなかったことは、当時日本とは戦争状態にあったアメリカが「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班米国議会あて最終報告」(2007年)において事実上認めています。850万ページにも及ぶ当時の戦争犯罪に関するありとあらゆる資料を精査した結果として、アメリカ政府はただの1件もそのような事実を発見することができませんでした。

 当時の日本政府、日本軍の関与というのは、慰安婦となった彼女たちを守るための介入でした。悪徳業者が無制限に儲けて慰安婦が奴隷のようにされるのを防ぐために、様々な処置が講じられました。営業時間を決めて業者が無制限に働かせるのを禁止しました。無制限の搾取をやめさせ、十分な手取額を彼女たちが受け取れるようにしました。アメリカの戦争情報局の報告書”Report No. 49: Japanese Prisoners of War Interrogation on Prostitution”の記載に基づくと、彼女たちの年間手取額は現在の貨幣価値に換算して1億5000万円相当になります。(但し、当時の二等兵の月給6円が今日の日本円の10万円に相当するとしての計算です。)借金の返済が終わったら帰国できるようにし、軍医が週1回慰安婦の健康チェックを行い、彼女たちが性病にかからないようにし、体調不良の場合や性病にかかった場合には治療に専念させるようにまでしていました。彼女たちは客を拒絶できる権利まで認められていました。彼女たちは贅沢な暮らしを行うことを認められ、当時はお金持ちしか買えなかった蓄音機まで持っていたわけです。政府や軍が関与をすれば、このような関与であっても関与があったということで、当時の記憶がなくなってきた段階でおわびと反省を強いられるというのが適切なことでしょうか。

 安倍総理が不憫な人生を歩んだ彼女たちに憐憫の手紙を書くというのならばわかりますが、『心からお詫びと反省』の手紙を書くというのでは筋違いでしょう。安倍総理の手紙の内容にまで韓国に干渉される事態は異常です。韓国側が管理する新たな基金に日本政府の予算を拠出する点にも問題は大ありです。日本政府は賠償ではないとしていますが、日本政府の予算を使うというのは日本政府が強制連行を認めた証拠として受け取られるのは確実でしょう。韓国側に求められる大使館前の慰安婦像の撤去にしても、努力目標でしかありません。国連などの国際社会で慰安婦問題を巡って双方が非難し合うのを控えるというのは、日本政府側の口も閉ざすということであり、今後の日本政府の反論の機会も奪ったともいえるでしょう。 

 安倍政権が総合的な見地でどのように考えて今回の決定に至ったのかはわかりませんが、中共が歓迎を表明している点を忘れてはいけません。中共は日本が性奴隷化を認めたとプロパガンダし、ますます攻勢を強めるでしょう。慰安婦問題は対韓国以上に、対中共の問題である点を見落としてはいけないと考えます。

 今回の合意の蔭にいるのはアメリカであるのは間違いないでしょう。日本の代わってアメリカが日本の無罪を証明してくれる確約はあるのでしょうか。そうとでも考えないと、とても安倍内閣が行ったこととは思えないレベルの屈服ですが、しかし我々はアメリカがそのような確約をしたのかどうかは窺い知れる立場にはありません。

 日本政府は、今回の合意に関わらず、関連する膨大な資料の英訳を次々と押し進め、情報公開を進めるべきです。こうした情報公開が整った段階で、「民間」が慰安婦問題の真相がどこにあるかの学術懸賞論文を募集し、優秀論文提出者50人程度に最低金額で1000万円程度を支払う形で、世界的に研究者を募集すべきです。慰安婦、南京事件、杉原千畝のビザ発給など、いろいろと誤解されている事件を20ほど取り上げて、毎年別々のテーマで論文を募集していくことを提案します。つまり、当時の日本研究のスペシャリストになれば、20年間は研究費用に困らない体制を確立して、当時の日本の研究者を大量に養成すべきです。学術界を味方につけ、その成果を広報することで、現在の通説を切り崩す戦略を、今こそ日本は取るべきではないかと考えます。



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