慰安婦に関する外務省の姿勢は未だ後ろ向きだ! | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 国連の女子差別撤廃委員会に外務省の杉山審議官が出席し、慰安婦の強制連行を確認できる資料がなかったことを説明しました。慰安婦の強制連行については吉田清治が捏造話を発表し、これを朝日新聞が事実であるかのように大きく報じたことから大騒ぎになったこと、20万人という数字も女子挺身隊と慰安婦を混同したものであり、これらについては朝日新聞がすでに誤りを認めていることも説明しました。

 従来の外務省の姿勢からは一歩外に出たわけで、その点では評価できますが、このレベルの対応で外務省を評価するのは筋違いではないかと、私は考えます。

 そもそも国連の女子差別撤廃委員会に今回外務省が出席したのは、杉田水脈前衆議院議員(日本の心を大切にする党)が昨年(平成27年)7月に行われた国連の女子差別撤廃委員会のプレセッションに出席して、「慰安婦が強制動員された証拠がない」ことを日本政府が閣議決定している事実を伝えたことがきっかけです。この事実は女子差別撤廃委員会に衝撃を与え、日本政府に事実関係の確認を求めてきたことから、外務省が重い腰を上げたにすぎません。

 今回の女子差別撤廃委員会への出席に先立って、外務省は日本政府の見解を示す答弁書を国連に提出していますが、それはA4版1枚に十分に収まる程度の簡潔なもので、日本政府の立場を説得的に説明するものとは到底いえませんでした。例えば、性奴隷とはいえないとの否定についても、借金の完済があったら自由の身になれたこと、当時の二等兵の年収が72円だった時代に彼女たちの手取額が月額750円程度であったこと、一日の労働時間に制限があったこと、週1回の休日があったこと、週1回の休日に無料で軍医が健康診断をし、体調不良の際には休まされていたこと、好きなものを買って贅沢な生活をすることが認められていたこと、日本兵と一緒に運動会やハイキングなどを行っていたことなどの具体的事実には何一つ言及しないまま、「性奴隷とはいえない」と否定したのみに留まっています。つまり説得力を高めて誤解を積極的に解こうという努力がほとんど見られないわけです。

 この記事を書くにあたって、事実関係の確認のために外務省のウェブサイトを覗いてみましたが、今回の杉山審議官の発言やこれに先立って外務省が国連に提出した答弁書についての記述が見当たりませんでした。皆さんにもぜひご確認いただきたいのですが、外務省のトップページに整理されている「トピックス」の「女性」にも「国連外交」にも「歴史関連」にも記載されていません。「新着情報」にも掲載されておりません。検索の欄に「国連 慰安婦」と打ち込んで検索しても、ヒットしませんでした。私が見つけられなかったのは私の検索能力が低いことにも原因があるのかもしれませんが、仮にそうだとしても、それは普通には見つからないところに外務省は情報を置いているということを意味します。そもそも情報を掲載していない可能性も高いわけです。つまり、眼につくところに掲載して広く見てもらう価値はないこととして外務省が認識しているということを示しています。

 外務省には慰安婦問題について日本が把握している事実関係を丁寧に説明することには極めて消極的なのであり、今回杉田水脈氏が引き起こした余波に対応せざるをえなかった程度の対応に留まっていると言わざるをえません。

 そして私たちが忘れてならないのは、今回のこの杉山審議官の行った説明に関する報道において、大半の国内のマスコミが報道らしい報道を行っていないということです。これだけ国民の関心が高く、また未だに国民が広く誤解をしている可能性が高い事案について大きく取り上げる報道を行わないところに、日本のマスコミの偏向ぶりが如実に表れています。

 さらに我々がさらに気付いておかねばならないことは、今回の杉山審議官の発言は、昨年末の日韓合意の際に世界各国で報道された報道内容と大きく違っているにも関わらず、主要な海外メディアでもほぼ触れられていないという点です。海外のマスコミにも日本のマスコミと同様の偏向があることに、私たちはしっかりと眼を向けておくべきです。

 今回の杉山審議官の発言を了とすることで終わらせてはなりません。これはあくまでも反撃の小さな一歩を踏み出したものにすぎません。我々は官邸や外務省に今回の杉山審議官の発言が不十分なものであり、海外の誤解を解く役割をほとんど果たしていないことについて厳しく責め立てていかないと、動き始めたように見えるこの動きすら止まってしまうことを、私たちは肝に銘じるべきだと考えます。


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