オカルトを制する物は笑いを制す
どんづまりに近い「アニメノチカラ」枠が最後に出したエクトプラズム的なアレが『世紀末オカルト学院』
である。
OPの造りなんかは如何にもオカルト。
『プラネテス』OP
みたいに脈絡が必要だ、という意見を聞いたがよく考えるとそれは科学だからこその繋がりであってオカルトはむしろ逆。
オカルトには相互の脈絡がない……というよりも相互の繋がりがないのがオカルトだ。
超古代史
みたいなのはあっても、ちゃんとした学問ではないので人によって(普通の歴史以上に)成立が異なる。
互いに影響もしあっているが、結局の所は宇宙人とかムー
とかアトランティス
とかレムリア
とか実証が全くなされていない物や仮説に過ぎない物を(歪めて)出してきたりので系統だった解釈が成立しにくい。
そういう意味ではあのごった煮となったOPは正しいと言える。
物語としては学院長の死に関わる陰謀論と、ノストラダムスの終末論が二本軸で、恐らくはここら辺が相互に関係してくるんだろう。
間違いなく小林ゆう
が怪しい。色んな意味
(ニコ動)で。
怪しいがそれだとややスタンダードすぎる気もするなあ。
立ち位置も気になるし。
ウンモ星人
やニャントロ人
の手先なのか、或いはイルミナティ
やフリーメイソン
なのか。
フリーメイソンはオカルト系ノンフィクションだとしばしば悪役扱いだが、フィクションだと逆に気を使うかな?
ともあれ、この作品も今のところ「アニメとしてはなかなか良いけどジャンル物としてはちょっと不安」な感じの作品ってところかなぁ。
アニメノチカラ枠として一番良いのは確か。
結構多い映画オマージュ
・ザ・フライ
(@クローネンバーグ
/転送ポッド)
・死霊のはらわた
(死霊)
・エクソシスト
(花澤液噴射)
・ターミネーター
(裸の未来人)
・宇宙戦争
(トライポッド
)
・サイコ
(シャワー/但しはらわたにも類似シーンあり)
・サスペリア
(?/雷に浮かぶ人影
)
・足跡の演出は明確な元ネタ不明、最近だと『パラノーマル・アクティビティ』
であった。
あとオカルトネタとしては
・ノストラダムスの大予言
(諸世紀
とする辺りが『ムー』っぽい!)
・2012
(マヤ文明の暦の区切り/滅亡の予言として扱われている)
・ヴァルトシュタイン学院(ヴァルドルフ学校
)
・皆神山
(和製ピラミッド)
・モスマン
(?/目の赤い敵
)
・ジョン・タイター
(文明/未来人)
・清田益章
(文明/元スプーン曲げ少年)
・ウンモ星人(王の字型のマーク)
・ダウジング
(@紅の豚)
文明が複数居る理由は現時点では不明。もしクローンで有ればラエリアンもネタとして出てくるか?
う~ん、実際の団体なので難しいか。出したらスタッフには敬意を表したい。
気になるのが1話の死霊と、2話の幽霊の元ネタが微妙な部分か。
古代エジプト・ラロカ文明のラミーって調べてみたけどちょっと分からない。
多少もじってる場合もあるだろうし、こちらも寡聞にして……という可能性も否定出来ないが、ここ辺りのネタとしては明確なバックグラウンドが欲しかった。
オカルトはディティールが物を言うのだ。
あとはヒロインがちょっと引っ掛かるかなぁ。
「オカルト嫌い」という設定で想起される物とはちょっと違う。
「オカルトを信じているし力があることも認識しているけど、それ故に心を捕らわれる人が多いので嫌い」
といったところか。
オカルト実在前提で話を持って行くにはこちらの方が素直に行くんだろうが、やはりオカルトの醍醐味はバリバリ肯定派の凄い主張と強引な関連付け、それに真っ向から立ち向かう否定派のおかしなやりとり、更には肯定派否定派問わずオカルトに轢かれる人々の奇妙な精神性にあると言っても過言ではない。
ここらは最近『東日流外三郡誌』
の本を読んだので、その際に言及するかもしれない。
この作品は実在前提のファンタジー的側面を持っているので致し方ない部分はあるけれども、マグロのいいとこを握って貰おうと思ったら筋ばった赤身のみで大トロをしまわれたような気分は拭えない。
とは言えそれは作品方向性レベルの話だから後はどれくらい複数のオカルトを上手く絡めるか、そして時間改変物としてどう成立させるのかが作品の是非を決めるだろう。