アニメ「ブラック★ロックシューター」 | リュウセイグン

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ブラック★ロックシューター(の曲は)
何処へ行ったの?





AB関連で「麻枝はPV脚本家、整合性はないけど歌とはあってる!」みたいな記事があって


PVなんかにわざわざ脚本用意しなきゃいけない時点でダメじゃん
PVはあくまで宣伝用、一般では「売れる曲」ですらその曲自体の訴求力で敷衍してる。わざわざPV脚本家なんて必要としていない。
PVに12話×25分のアニメ作るのはコスト的にも悪手でしかない
PVドラマだからってその物語自体が破綻していいことにはならない
結局整合性のある話作れない奴を弁護する言い訳じゃね?


って思った私でも、この論の妥当性を考えざるを得ないくらいの出来でした。
だってPVとしての役割すら果たしてないってどういうこと?
いやまぁフィギュアPVという意味なら一応果たしてる……とも言いにくい出来映え。

まず構成が謎。
冒頭はB★RSが戦うパート(Bパートとする)から始まる。
これはいい。レイアウト云々は分からないけど作画はよく動いている。
ところがすぐに女の子の日常パート(Aパートとする)に。これだけだったら悪いとは言えない。
やっぱり作画はいいしね。

でも、それがBA・BA・BA・BA……と交互に流れる
数分おきにだ。
Bパートはぶつ切りになるし、Aパートはとても淡々と描かれているのでその落差が激しい。
これがまだ対比的な描かれ方だったらいいのだけれどあんまりそういう感じも無くて
ウンザリする。
更に問題なのがAパートでは、もう何っにも話が繋がらないってことだ。
冒頭でも経緯こそ不明にせよある程度予測出来るし、中盤で明確に分かるがAパートで仲良くしている子たちがBパートで戦う羽目になっている。つまり時系列的にはA→Bであることがおおよそ分かる。

ということはA世界とB世界は何処かで交わるはずだし、戦う理由も何処かで生じるはずだ。

ところがぎっちょん、進めども進めども二つの世界は一切交わらない!
おいおいおいおい、何の為の尺だよ!

異世界転送物(主人公が異世界へ行ってしまう作品)なんだからその文脈をしっかりしろよ!
別に何から何まで説明しろといってる訳ではない。
ただ我々の住む一般世界(本作のA世界)とファンタジー世界(B世界)は全くの別物、水と油だ。

だから異世界転送物では冒頭で一気にファンタジー化させてしまう(『ふしぎの国のアリス』など)か、段々と異世界の要素が混じり合わせる(『ブレイブ・ストーリー』(原作)が分かり易いか。旧ドラえもんの劇場版も結構こっちの要素を持つと思う)ことで両者を融合させる。
こうすることでフィクションレベルのギアを入れ替えているのだ。
でもこれはAとBを並行して描くだけで一向に繋がらない。
主人公の友人(Bでの敵)が一瞬黒い影を纏ったように見えるシーンくらいだ。
戦闘シーンの取り入れをも考慮するならば、本来こういう話では、

Bでの戦い→敵が逃げる→Aの日常→AにBの影響→友情の決裂→B★RSと敵の行動が主人公達と接点を産む→融合して戦うことに→対決→勝利→友情の回復
(決裂と接点辺りは置換した方がいい場合もあるだろう)

という構造を取るのが妥当だと言える。
もちろん「絶対こうでなくてはならない」訳ではないのだが、変わった趣向をこらすと逆に物語性をダメにしてしまう場合が往々にしてある。正直この作品は構造の時点でそれに近いと思う。


ではAパートで何を描いているかといえば主人公と友人のドラマなのだが、これが問題その2。
主人公「マト」と友人「ヨミ」の友情を描くのはいい。
だがそれ以上に重要なのは決裂だろう、Bでは戦ってるんだから。
誤解であれ擦れ違いであれ、観客が「あぁこれは戦う流れになっちゃうな」と思わせる状況が必要だ。
ところがそれを用意しない。

おいおいおいおい、意味ねーだろそれじゃ!


確かにマトとヨミは二年生になってクラスが変わり、更にマトの近くには所属してるバスケ部のマネージャーがくっつくようになって、バレー部でクラスも違うヨミは壁を感じ始める。ここまでは問題ない。
そんな矢先、いつもの待ち合わせ場所にヨミが居ない。「用があると言って帰った」とのこと。
それきりヨミは行方不明になる。

え…………なんで?

ここはサッパリ分からない。いや、設定的には何となく分かる。
恐らく敵(デッド・マスター=DMとかいう奴)暗黒面みたいな部分を乗っ取られ、B世界へ行ったんだろうと。
でもこの時点で別にマトとヨミは喧嘩した訳じゃない。亀裂は出来たが決裂はしていない
なんとなーく微妙な雰囲気のままにヨミは消えてしまうのだ。
で、ヨミがいなくなったんでマトはヨミを探しているうちに、光に包まれてB★RSと会って本編終わり。
Bパートはこれより前の時点で、ヨミに憑いたと思しきDMを排除して終わっている。

Aパートは少女の心理を丁寧に描いている……という意味では僕もそれほど否定はしない
けれど、このAパートが必要だったかと言えば疑問だ。
なぜならば、ヨミの孤独はB★RSとDMが戦う間接原因でしか無いし、マトとヨミが戦う理由にもならない

ヨミが戦わされているのはDMが取り憑いたからという一点でしかないのだ(友情の亀裂はDMが取り憑くキッカケにしかなってない)よってDMを払えばそれで終わっちゃうので、マトとヨミの長~いドラマは全然生かされてない。ヨミの自意識に関わる描写は、せいぜい最後の最後で後ずさるってくらい。
そりゃそうだ、ヨミに積極的に拒否するほどの動機ないもんな。

これが誤解による決裂なんかをちゃんと描いた上で、

拒絶し攻撃するヨミ、敢えて耐えながらも進むマト→無理矢理抱きしめ→DM浄化

ならまだAパートが生かされたと言えるんだけどなぁ。
Bパート台詞無しってのも声以外に意味無い
んだから拘ることなんざ無かったろうに。
非常に残念で尺ばかり喰う死にドラマを描いた作品。
うん、やっぱPVとしてすら評価出来ないわ。

そして一番のツッコミどころはEDにやってくる。

は……?


『BLACK★ROCK SHOOTER』使わないの?


いくらB★RSがオリジナルキャラで本来ミクとは無関係だったとしても、あの曲でキャラが知れ渡ったのは確かだろう。俺なんて曲が先なのかキャラが先なのかすら知らなかった。
つーかB★RSが本来的に何を指すのかすら知らなかった。ただ曲だけは一応知っていた。

よほどのファンで無い限り状況は似たり寄ったりだと思う。
なのにあの曲を使わないという神経がよく分からん
ryoに作曲を頼んでるみたいだし、劇中インストでちょっと流れるし使えない訳ではないと思うんだけど……。

やっぱりPVとして機能してないよな、色んな意味で。
むしろファンのが怒るんじゃねーの?

しかも余計なCパートまでくっついてる。
ヨミがマトに固執するのは分かる、一番の親友になってたんだろうしヨミは内気っぽいし。
でも一年間他の人間と過ごしてきたはずのマネージャーがマトとヨミに嫉妬するってどういうことなの?

お前、他に友達居ないの? 

それとも恋愛レベルにまで行ってるって事なのかなぁ。
皮肉気に描きたいのか分からんが、逆にこれはバカっぽく見えるぞ。



補足
チェックしてみると、冒頭戦ってる相手とヨミ=DMは違うみたいだ。
は? じゃあアイツ誰だよ? 勘違いしてた俺も悪いけど、本筋に全然関係ない要素大杉だわ。

続編の為? 続編作るつもりでいる方が驚愕だよ!

谷川だけに。