『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』総括 | リュウセイグン

リュウセイグン

なんか色々趣味について書いています。

長文多し。

なんかこのアニメで『総括』 って言うと違う意味に聞こえる不思議




最近映画も観てないのでなかなか更新してない当ブログですが、HOTDは初見時に書いたので締めも書こうと思います。とは言え……なんと言えばいいか迷うなぁコレ。
あの終わらせ方は、ほぼ予想通りだったので「ま、いいんじゃね?」って感じです。
『行けるとこまで』ってのはオリジナルを押さえてるんだろうし。
面白かったかと言えば、う~ん。


エログロ一本で攻めていくのかという気もしないではないですけれども、そのやり方だとアニメ作品として飽きがきやすい予感もします。


というのが最初の感想だったんだけど、かなりそれに近かったような。
ゾンビ物はゾンビに抗うシチュエーションのみならず、抗う人間達の中で不協和音が起きてしまったり価値観の変動が起きてしまったりする所に醍醐味があるのですね。

途中までそれを描こうとしていたようにも見えるんだけど……なんでだろうな~。

思うに一つには価値観を受け入れるまでの葛藤が比較的少なかった事、あとそういう非常時の残酷さを格好良くしすぎたことか。
それはやっぱりヒサシが死ぬの早すぎたせいな気がする。ゾンビの伝播速度って問題もあったかもしれんが、彼が中途半端な状態で生きている時間が長いほどゾンビと人間が越境的な存在なのが示されて「いつかヒサシを殺さなきゃいけないかもしれない」って不安が付きまとう。ついでに彼が足手まといになることでピンチが増える→殺した方が得策じゃね?となる。
ヒサシ処分に当然ながら麗は絶対反対だし、孝は躊躇しつつも麗との関係回復についても考えてしまうなどと言った微妙なバランスを保てる。

本編では殺したからこそ麗がヒサシを引き合いに出すことで不協和音を作ってはいたものの、生かしていた場合のが作劇に緊張感は持たせられたかって気がする。

あとメンバーが強すぎた。
ゾンビってのはしぶといけど弱い。だから普段ダメな奴でも機転を効かせて生き延びられたりする。

そこに日常ではしょうもない主人公が活躍する余地があったりする訳だが……この人たちは基本的に元からハイスペックなのでそういうことも起きなかった(もっとも『ドーン・オブ・ザ・デッド』のメンバーからしてスペック高いから低くなきゃいけない訳ではない)

毒島先輩の変化は描かれたけどアレもなぁ……元から変な人がその変さを肯定したって話で、肯定した理由も孝の為にって形だからシチュエーションはむしろ従。「終わった世界の中ではそっちのが適応出来る」みたいな形とか……まぁこの辺りは好みだろうか。ただ日常シーンを殆ど入れなかった事で「毒島先輩は孝の憧れ」とか「高城さんと孝は幼稚園からの幼馴染み」みたいな関係詳細が掴みにくかったのは確か。
面識があるとか昔から知ってはいたようだレベルなら会話から推測出来たが、要するに麗とも幼馴染みの筈なんだから、そこら辺のエピソード入れたりすると分かり易かったかね。


そんでヒロインと紫藤先生が獅子身中の虫というか、人間ドラマ的な不協和音を託される存在になり得たのだけれど、結局両者共に湿気ったまんまだったのが非常に残念。

特に紫藤な、お前どんだけ小物やねん!

お前みたいな奴はもっとジョーカーさんみたいに機転が効いてあざとくなきゃ単なるムカつく噛ませだよ!
……て、その通りだったか。


あとゾンビの設定と対処法。
音設定が都合良く無視されたり戻ってきたり
もし本当に音だけに反応だったら大抵の奴は携帯電話と目覚まし時計で誘導出来る。
一番合理的なそれを一切と言っていいほどにしないみんな。
そしてわざわざバリケードの手前で防衛戦を張るwwww(麗が動けなかったり車が大事だったにせよ、非戦闘員も居るし一旦乗り越えてから戦うべきじゃ……例えば細かい鉄条網であれば麗を引きずれない為に多少の説得力が出る。)

とまぁ、文句たらたらになってしまったので良いところを挙げよう。

作画は全体的に整っていて動くところも迫力があった。

そして何と言っても平野コータのキャラが良かった
彼が主人公でも良かったんじゃないかというくらい(そうすると話は全く違っていただろう)
銃器を扱わせたら強いが接近戦はザル、なんて設定だったら幾らでも山場作れるし時にはギャグ要因、時には狂気溢れる暴走キャラ、時にはカッコいい男の子(でもオタク)というオールマイティに使えそうな奴だった。
彼がいなけりゃ見てないかもしれんね。

あと一部にせよ、旧来ゾンビ映画の基本を押さえようって気概はあった。
これは好感が持てる。話として成功したかと聞かれると悩んでしまうけれど、兎に角アニメでは珍しいカテゴリ選択であったので、これからのアニメをジャンル的な意味で拡大する先駆けにはなってくれると嬉しいなぁ。

作品的に死んだも同じ(原作者的な意味で)
どっこいおいらは生きている!(ゾンビアニメ的な意味で)

みたいな。