『SUPER8/スーパー8』 | リュウセイグン

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『スーパー8』は僕がかなり前から期待していた作品だ。
怪獣や宇宙人をこよなく愛する僕にとって、エイブラムスとスピルバーグがタッグを組んだこの作品は最初の意味深な映像から既にワクワクするに充分だった。
そしてその期待にも応えてくれるだけの作品だったと思う。

主人公は母を亡くした少年ジョー、彼が映画を撮る過程で遭遇した事故が、町そのものを巻き込む大事件へと発展する……というお話。大筋としてはエイブラムズが関わったNYで怪獣が大暴れする『クローバーフィールド』と、スピルバーグが監督した名作『E.T.』をミックスしたような内容。

まずなんと言っても序盤の列車事故が圧巻。前の日にわざわざ『ET』も見直したし、予告なども観てきた僕は何が起こるかぐらい知っていた……ハズなのだが、予想の7倍くらいの規模の大事故。
あんまり凄すぎて、観ている途中で思わず笑ってしまった。

ドッカンドッカン大爆発し、駅舎もブッ壊れ、列車が散乱する中で逃げる少年たち。
正直助かったのが不思議なくらい(車もな)

そこから「何か」が出て町を襲う。
でも、コイツは殆ど姿を見せない。

この姿を見せないというのがポイントで、事前情報隠匿と並んで『クローバーフィールド』でも使われた手法だ。
もっと観たい! と怪獣好きとしては気になるところなのだけれど、一方で見せない事が効果的であることも分かってしまうので痛し痒し。スピルバーグ作品でも相手の姿を見せないことで緊張感を出す手法はよくやっている(『激突』『ジョーズ』等、『ET』でも追跡斑のオッサンは終盤まで顔を見せない)
こういうのは、見せてしまうと逆にチープになりかねない。

暗闇の中で、コッソリと、しかし怖く


モンスターを効果的に印象づけるポイントだ。
漸く明確に見えてくるのが終盤で車両を襲うシーン。
『ジュラシックパーク』のティラノサウルスに怯えた頃と同じ「怖いけど観たい」という興奮をもたらしてくれる。

ただし、本作では、ミステリー性や怪獣要素に目が向きがちだが、実際の所それは魅力の半分に過ぎない。

残りの半分は人間ドラマにこそある。
当記事は公開初日に書いているので、あまりネタバレをしないように言う。



これは「少年少女の成長物語」である。

また、「家族再生の物語」でもある。

同時に、「許しの物語」とも言える。

その中を、断片的ながらSUPER8が写し、貫いていると考えて頂きたい。
特に某シーンでは、【画面外の人】を忘れちゃいけない。
それを想定するかしないかではエラく印象が違うはずだ。



そして、この映画は「モンスター映画」である。「戦う映画」でもあると言っていい。

しかし、必ずしも「モンスターと戦う映画」ではない

「彼ら」は何と戦うのか、戦っているのか。そしてどうするのか。

本作には、結構目に付きやすい箇所がある。
それを問題点だと指摘されるのもやむなしかとは思う。

ただ、個人的には「彼ら」が最初は何をどう考え、どう行動し、最後にどう変化したか……と思いを致せば何となく理解出来るんじゃないかという気もする。

そしてラストシーン。

ここは久しぶりに「狡い!」と思ってしまう程に感動的。

僕的に感動出来る箇所は二つあって、一つ目は堪えたのだけど、二回目は無理だった。

スタッフロールまでサービス精神満点
泣いた後でクスクス笑えて歯切れも良い感じ。

子供と一緒に行くと、

映画館で『ジュラシックパーク』を観る度にジュースを零し
夜の暗がりにビビっていた僕


みたいな目に遭わせてしまうかもしれないが、それでも十年か二十年くらい経ってから


「あの時、『SUPER8』を観に行って良かった!」


と言って貰えるはずだ、多分ね