『スカイライン-征服-』 | リュウセイグン

リュウセイグン

なんか色々趣味について書いています。

長文多し。

諸君 私は宇宙人が好きだ
諸君 私は宇宙人が好きだ
諸君 私は宇宙人が大好きだ
 
オーソンが好きだ
エロヒムが好きだ
モスマンが好きだ
クアズガが好きだ
セミヤーゼが好きだ
バシャールが好きだ
ウンモ星人が好きだ
ラージノーズグレイが好きだ
フラットウッズ・モンスターが好きだ
 
介良で 甲府で
ソコロで ロズウェルで
ロサンゼルスで フォークビルで
ホプキンスビルで チェンニーナで
パプアニューギニアで ゴッドマン空軍基地で
 
この地上で行われる ありとあらゆる接近遭遇が大好きだ



恥の多い人生を送ってきました。

矢追純一の番組や本で震え上がり、

厨房のみぎり『ID4』の大統領演説で感動し、

シャマランの『サイン』がミステリーサークルについて、宇宙人的な意味で何らかの考察を加えてくれることを期待しながら劇場へ足を運ぶ。


それもこれも宇宙人愛の為せる業でございます。

そんな私のことですから、『スカイライン』の予告を観て、劇場へ足を運ばなければ!
と思ったのも無理はありますまい。

そんな訳で夜中に車を飛ばし、帰路が翌日近くになろうとも、この映画を観に行こうと考えた訳でございます。

そうして苦労した挙げ句、私は映画館から出て参りました。
恐らく満面の笑みを湛えておりましたことでしょう。
そして一言。

「あー、酷い映画だったぁ!」

ある種、爽快感すら感じさせる至福の瞬間でございました。

まずこの映画、主人公が人間のクズでございます。クズ人間作品を愛好する私にとって、これは思わぬ僥倖でございます。

よもや宇宙人映画であるのみならず、クズ人間映画でもあろうとは!

主人公ジャロッドは設定上、善良ということになっているらしく飛行機で他人の荷物下ろしを「手伝おうか?」と声を掛ける程のナイスガイでございます。
しかしながら彼女エレインの妊娠発覚時、第一声が

「Shit!」

これには流石の彼女もご立腹なされ

「最初の言葉がそれ!?」

と至極もっともな事を。
それに対し

「他になんて言えばいいんだ!」


と逆ギレ。
あたかも『彼女が孕んだ日にゃあ「クソッ!」っていうのが世界の常識だよね?』的な見事な返し。
我々のような凡愚には、そこに痺れ、憧れるゥ他にございません。

しかしながら、ディザスター映画・パニック映画に男女の不和は付き物。
これを非日常で解消するところに映画の王道があるのです。

映画の筋としては、NYに住むジャロとエレインが、ロスの友人テリーの誕生パーティに招かれ、その翌朝に宇宙人が来襲して逃げ回る……というよりむしろ引き籠もる映画でございます。

侵略のメインアイテムである青い白い光は、それを見ると人間は催眠状態に陥り、光に近付けば(#^ω^)ビキビキと体中に青筋が広がっていき、いきなり吸い込まれ、宇宙船の下から巻き上げられるという心理的にも生物的にも物理的にも謎の性質を持ちます。

まずこれを照射し、マザーシップで大雑把に人を巻き上げてからイカ大(仮)・イカ小(仮)・アーマードトルーパー的な何かで細やかに収穫するというものです。

とは言え、何故人間を収穫するのかについてはよく分かりません。
どういう用途に使われるかはある程度描かれるのですが、それで結局何を狙っているのかはサッパリ分かりません。

世の中は分からないことだらけでございます。

ともあれ、その宇宙人の攻撃があまりにも激しすぎるので一般人であるジャロとその愉快な仲間たちは延々とマンションに引き籠もります。

もちろんヤンチャなジャロとテリーは「2分で海へ行ける。それでテリーの持つクルーザーで海へ逃げれば助かる」何の根拠もなく主張し、

結果テリー本人とその愛人となんかそこら辺にいた他のモブ夫婦2名が死亡して結局部屋へ帰る


という作劇上は殆ど意味のない被害を被ります。

ただ、その中でマンション管理人がイカ小にランクルで突っ込んだらぶっ壊れ、管理人が仲間になったので、全く意味が無かったとは言えないかもしれません。まぁその後すぐ再起動しモブ旦那の脳をゲットして襲ってくるのですが。

この宇宙人、どういう技術力を持っているのか判然としません。

二日目になると、空軍とマザーシップ&イカ大達のドンパチが始まります。
ステルス戦闘機が墜落しそうになりながら、ミサイル一発を放ちます。
ここで観客の誰もが

「どーせ、バリアとかで弾かれちゃうんでしょ?」

と思ったはずでございます。
『ID4』でも『宇宙戦争』でも描かれた、いわば前振りのようなものだろうと。



大爆発




予想は外れます。
なんと直系数百メートルから数キロはあろうかというマザーシップはミサイル一発でお亡くなりになられ、ロサンゼルス市街にヘッドスライディングをお決めになられたのです。
なんという紙装甲。宇宙姉歯の陰謀かと思われたその時、外枠だけになったマザーシップとその破片が収束し、再生し始めました。
観客は一安心。



「俺らは開始早々のミサイル一発で沈む敵艦なんか見たくないんや! 全然攻撃が通じないで色々と引っ張っておきながら最後の抵抗でいきなりボロが出るマザーシップが見たいんや!」



心の声が聞こえるようです。まぁこの映画において、その願いは叶わないのですが。
どうやら先ほど車にぶつかって潰れたイカ小もさることながら、この宇宙人たちの設計思想は「防御」よりも「再生」に重きを置かれているように伺えます。



いちいち潰されるのもアレだし装甲厚くすれば?



などという指摘は恐らく宇宙の大海を知らぬ地球人的発想であり、こんな事ばかりチマチマ考えているから人類は未だに火星有人飛行も達成出来ないのです。

ともあれ、そんな宇宙人と地球人の戦いを尻目にジャロは逃げることを提案し続け、エレインや管理人に厭な顔をされます。しかし陸軍も到着したので得意の逆ギレ芸と泣き芸でエレインを懐柔し、屋上へ行きます。


一方、部屋には管理人と今は亡きテリーの正妻キャンディスが残ります。
キャンディスは据え付けの望遠鏡(本来は覗き用)で部屋の外を観察している間にウッカリ青い光で催眠状態に陥りイカ大に攫われます。


管理人もテリーの部屋にあった神風特攻隊の壁画をチラ見しながら、ガス栓を全開にして外壁を登ってきたATにガス爆発を仕掛けました。ちなみに一度ライターの火が着かず、爆発未遂。捕まりそうになりながらも他のライターを取って爆破……というシークエンスなのですが、

何故ライターが着花せずとも火花でガス爆発しなかったのか、或いは炎を起こしたければ何故コンロを点火しなかったのか
、は管理人亡き後、薮の中でございます。



ジャロとエレインも頼みのヘリが撃墜されたので大ピンチに陥ります。
エレインを逃がし、しんがりを守ろうとするも逆に後ろから襲われエレインに助けられるジャロ


しかし再起動したイカ小がエレインを襲い始めるや、(#^ω^)ビキビキの力が覚醒しイカ小にタックル。


マウントを取り、そこら辺にあるコンクリ片でイカ小をドッカンドッカン殴り始めます
更にコンクリ片を投げ捨ててパンチの連打。
惜しむらくは全て手打ち、全く力が入っているように見えない点でございましょうか。


ともあれこの辺りも『ID4』『サイン』に繋がる「宇宙人とタイマン」の系譜を見る思いでございます。


イカ小を撃退すれども状況は悪化の一途。
ガス爆発で特攻されたATも元気な姿をご披露され、管理人の噛ませ負け犬ぶりに花を添えます。
そしてマザーシップでジャロとエレインも吸引。

『千と千尋の神隠し』ラストに出てくる千尋とハク人間体が手を繋いで空を飛ぶシーンに酷似した構図でキス。
宇宙人に吸われながら恋人の唇を吸う、という何とも洒落の効いたシーンでございました。

宇宙船でエレインが気が付くと、他の人間はみんな脳味噌を取られておりました。
どうやら脳味噌を取って、イカ達に搭載している模様でございます。
ジャロも意識不明のまま御用となり、頭から上が無くなりました。
エレインもお腹の子供ともども大ピンチでございます。



その時、ジャロの脳髄を搭載された人型兵器に戦慄走る……!
……覚醒!自我の覚醒……!
急ぐ……! 急ぐ……!
エレインの元へ……!
エレインの触手プレイを拒否……!
断固拒否……!
圧倒的……!圧倒的生存本能……!日々怠惰な生活を送ってきたジャロット……!人の体を捨て、始めて使命に目醒める……!

(仮想ナレーション・立木文彦



エレインは、お腹の子供は俺が守る!


俺たちの戦いはこれからだ!


短い間でしたが、ご鑑賞ありがとうございました。
グレッグ・ストラウス監督の次回作にご期待下さい!


そんな訳で『スカイライン』、見事終劇でございます。
多分一人では二度とは見ない作品かと思いますが、

映画が好きな方ならば激怒するか大喜びするかの二択
でございますので、

そういう方々と観られるのも一興かと存じ上げます。

なお、本作についてはリアルでも見事なオチがついており、監督らが『世界侵略・ロサンゼルス決戦』 の話や、自分達が前述の作品に協力した際、制作費によって作られた素材を流用したのではないか……と取り沙汰されている次第でございます。この話が本当ならば、さすがジャロットのお父さん、面目躍如といったところでございましょう。
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