一時期リラクゼーションサロンでアルバイトをしていた事があります。
60分2980円の格安マッサージ店です。
そのお店は、ビジネスホテルのすぐ近くにあり遠方からの出張のお客さんが多いお店でした。
ある日、東京から30~40代の
男性2人組が来店しました。
会社の社長と、その社員の2人組です。
券売機で30分コースを購入。
私は社長を担当しました。
うつ伏せで寝て頂き、黙々とマッサージをしていました。
すると、社長がうつ伏せのまま語り始めます。
社長「俺さあ、一応東京で会社の社長やってんのよ。来週会社の野球の試合あるんだけど、腕上がんないワケよ。なんとかなんないかな~」
私「いや~、マッサージならできるんですけどねぇ」
社長「いやいや、マジでなんとかしたいのよ。俺ピッチャーなんだけどさぁ社長でピッチャーやるのにボール投げれないなんてカッコわりぃじゃん?」
私「いや~、まぁそうですけど…」
社長「いや、マジでなんとかしてくんない?来週試合だからさぁ。ちょっとマッサージもういいから腕上がんないのなんとかしてくれよ。頼むわ。」
すると、そそくさと突然社長がベッドから起き出しました。
もう、とにかく腕が上がらないのをなんとかして欲しいようです。
あまりにも頼み込んでくるので仕方なく施術開始。
座位での検査。
座っている段階で、右のふくらはぎが
『なんか気になる…』
社長は、腕上がんないんだよなぁ~と腕を何度も何度も上げる素振り。
しかし、全く腕が上がらない。
試しに、右のふくらはぎに触れてみる。
軽く触れただけでかなり痛いようです。
ふくらはぎに軽めの圧を加えます。
とりあえず、これで終わり。
試しに、全く上がらない腕を上げてもらいます。
すると、
「あれ?めちゃくちゃ上がる…」
「え?ふくらはぎ?」
「え?なんで?」
社長混乱しています。
「え~すげぇ!腕上がる!なんで?なんで?え?ふくらはぎ?そこ?」
「オォーすげ~にいちゃんやるねぇ!」
わずか一手のアプローチで腕が上がるようになりました。
腕が上がるようになって満足したのか、30分コースを10分程度で途中で切り上げ帰ってしまいました。
「オォーにいちゃんありがとう!助かったわ!」
来店前とかなり態度が変わり、ガッチリ握手をされ、帰って行きました。
野球の試合どうなったのかな。