【コラム】なぜ、僕は営業からプロマネになったのか?(第11話) | 飯島法久の毎日がプロジェクトマネジメント!

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IT業界のプロジェクトは技術の進歩やビジネス要求の変化に伴い、複雑化・複数同時進行型に変化しています。
そんな背景の中、益々プロジェクトマネジメントの重要性が問われるようになりました。弊社はプロジェクトマネジメントに特化したコンサルティング企業です。

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【前回までのおさらい】

■ 独立するに際して、営業経験を積むためにIT業界に転職。

■ 突然言い渡された「クビ」と、起業家としてのスタート。

■ 軌道に乗り始めた最中、訪れた倒産の憂き目。

■ 復活後、通信企業A社での常駐の日々。

■ 再独立に向けて、個のプラットフォーム構築。

■ 突然訪れた結婚と、方向転換。

■ B社で初めてのグローバルプロジェクト経験、英語の習得

■PM就任と苦難の日々





PM就任の喜びも束の間、僕はプロジェクトの問題点の改善に追われることになります。


まずはじめに、顧客対応を見直す必要がありました。




担当していた顧客の折衝先は、上海、シンガポール、ロンドンといった主要3Region(地域)のITマネージャでした。



それぞれ、中国、APAC、欧州地域各拠点のIT投資を統括している立場ですから、本社(日本)の情報システム部門の担当者よりも格上です。



海外で仕事をしていることもあり、極めてロジカルでジャッジが早く、それに加え「ムダがない」シンプルな思考をする方々ばかりでした。



「結果が出てればプロセスは問わない。
結果が出ない時は、徹底的に原因究明と対策を打つ。」



この考え方が徹底されており、こちらから主体的に取り組みプロジェクトをコントロールしていれば、「よろしくやってください。」状態で、あまり煩く言われません。


ただし、一度何か問題が起きるとスピード感のある暫定対処と、徹底的な原因究明と再発防止検討を迫られます。



何せ、グローバル企業のライフラインであるIT設備の責任を負ってるわけですから、ビジネス部門からの要求もハンパないものがありますからね。


自ずと、ベンダーに対する要求レベルも高くなります。



そんな顧客と折衝した経験が、僕のPMとしての経験値を飛躍的に向上させました。




特に、僕が担当していたのは「動いていて当たり前」のPCや電話のシステム。


皆さん、仕事してる時にPCや電話が突然使えなくなって、半日復旧しなかったらどう思います?



まぁ、最近はスマホがありますけどね…


そんなシステムの裏側にいたわけです、僕は。




上記のITマネージャから、どんな電話がかかって来たかは、皆さまの想像に難くないでしょう。




そして、これも商社の文化なのか、厳しい反面我々のプロジェクトには非常に協力的でした。



なぜならば、ITインフラ整備は彼らのビジネスに直結するだけでなく、情報システム部門にとっても優先度の高いプロジェクトなので、それを如何にスムーズに導入するかという観点では、ベンダーである我々と運命共同体でもあります。


ですから、単なる業者ではなくお客様のユニットの一つとして動いている感覚が無いと、彼らの期待には応えられません。




そして、この顧客の素晴らしいところは、きちんと成功した暁には、目に見える形で評価とフィードバックをしてくれるのです。


例えば、ワザワザ電話をかけてきて、「今回のシステムは○○の支店長に喜んでもらえた。また次回は△△の導入の際も、是非ご協力お願いします。」とか。


普通は、定例会の中で軽く杓子定規に御礼を言う程度ですが、彼らの流儀は違うみたいです。



さすが、ビジネスのプロだな、と。

何度も感心させられる場面がありました。



ITのプロとしてだけでなく、独立開業してビジネスをする一介の起業家としても、グローバル企業の海外マネージャと一緒にお仕事が出来たのは、大きな宝でした。




しかし、それ以上にトラブルで帰れなくなったり、矢のようなマネージャからのメールや電話問い合わせ対応に、苦慮した思い出の方が印象深いですけどね(笑)




特に苦労したのは、海外ならではのデリバリーの問題でした。


機器の輸出入の際にはトラブルが頻繁に起こり、予定した納期が遅れるのはザラです。


だから、なるべく長めにスケジュールを引いておかないと、後で泣くことになります。



とにかく、モノが届かないと何も始まらない。

でも、通関で1カ月近く要することもある。


しかも、導入が決まったら短納期を求められる上に、相手は物流のプロ。



「そんなもん、どんな手を使ってでも、まずはモノを押さえにかかれ!」

の一点張り。




プロジェクトでの変動要素をいかにコントロールするかがPMの力の見せ所ですが、自分の力の及ばないところで納期が遅れたり、問題が発生するたびに、リスク管理やリカバリプランの大切さを痛いほど学びましたね。




この時に学んだのは、以下のことでした。

「リスクや問題はコントロールするものではない。
起こった時のリカバリプランや解決策を、2通り以上予め考えることが重要。」



「2通り以上」というのが、ポイントです。

なぜならば、一つしか解決策が無いのは考え抜いていないからです。


自分が顧客の立場なら、わかるはずです。

「解決策はこれしかありません!」
「方法は3案ありまして、…」


どちらの方が安心しますか?




特に日本人はマジメなので、予期せぬ出来事や予定通り進まないことに対して弱い印象があります。


それは、「うまくいく前提」だからだと思うんですね。


でも、グローバルスタンダードは、「うまくいかないのは当たり前」。


文化や考え方が違うので、トラブルはツキモノです。

だから、すり合わせや議論が必要。




プロジェクトマネジメントも、「変更出来ないプラン」ではなく、「予め変更されるのことを見越したプラン」を立てることが必要なのです。




上記は、プロマネにおける最も重要な考え方と言っても過言ではありません。


それを学ぶことが出来たのはラッキーでしたし、そのきっかけを与えてくれたお客様に感謝してます。



さて、そんな僕にタイミング良く「力試し」の機会が巡って来ます。



それは、また次回にお話します。





本日も最後までお読み頂き、誠に有り難うございました!


皆様との良きご縁に深く感謝申し上げます m - - m



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