新型コロナウイルス 未だに2類でよいのか? 専門家コメントの功罪 | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

非常に暑い日が続いていますね。

梅雨があけてから3週間程度ですが、熱中症の死者は増え続け、すでに東京では100人を超えたようです。

東京の人口が全国の10%程度と雑な仮定をすると、

この3週間で国内では熱中症によって1000人程度の方が亡くなったことになります。

 

現在までに新型コロナウイルスで亡くなった方の2-3月からの累計は1100人強なので、

この3週間の猛暑による熱中症は短期間で同程度の死者を出したことになります。

 

新しい日本医師会長も会見で、

熱中症の死者は新型コロナの死者のペースを大きく上回る、とコメントしていましたね。

 

熱中症で亡くなっているのは、

弱ってしまっていて自力で動くことが出来ない、暑さを凌ぐための正しい判断が出来ない、

もしくは何らかの理由で過酷な暑さの環境に長時間晒された方々と思われます。

 

新型コロナと熱中症の毒性を直接比較することはナンセンスですが、

熱中症の死者数のペースと比較することで、新型コロナの全国での死亡者数の数字がどの程度のものであるかは感覚的に捉えやすいのではないでしょうか。

 

ところで、こんなに早いペース?で死者を出している熱中症ですが、

コロナと異なり、医療崩壊という声は全くマスコミも出しませんね。

死者数よりも重症で治療を受けている方も多いはずですが。

 

これは、熱中症による重症者数や医療現場への負担をマスコミがあまり注目していないという側面と、

同じ重症でも医療側に継続的な感染対策が必要とされない分、実際の負担面が少ない側面があるでしょう。

 

熱中症で亡くなる方は80代後半や90代などの超高齢者が多いので、

回復の見込みが乏しい場合が多く、医療資源の投入が制限されるという現実もあると思いますが、

これは新型コロナについても同様の事が言えるでしょう。

 

さて、前置きが長くなりました。

 

最新の厚労省からのデータですが、重症者数は240人程度で足踏みし、

死者数は少し増えて前述のとおり1100強となっております。

 

この増加ペースを、マスコミの言うように「急増」と連日のように呼ぶべきかどうかについては、

上の熱中症との比較でも書いた通りです。

 

これで急増と言っていたら、毎年冬がくるたびに「風邪での死者が急増」、「入浴での死者が急増」、「もちを詰まらせて死んだ人が急増」と連日報道するのかな?と思います。

 

入院者数についてはここのところ連日、減少が続いていますね。

 

ところで、私はこの新型コロナウイルスを早く、入院が法的に必要な2類感染症から、

インフルエンザ並の5類に変更した方がよいと思います。

 

現実的に現在のこのウイルスの毒性を考えれば5類とするのが妥当ですし、

2類でなくなれば軽症者を入院させて病院ベッドが一杯、医療崩壊だ!などというアホなことはせずに済みます。

 

当初、SARSなど死亡率の高いウイルス感染症と同程度のリスクを想定して2類としたことについては、

諸外国の様子を見ていれば仕方がないことだったと思います。

 

少なくとも現在の国内の状況を見れば、5類に下げるべきです。

あってはならないことですが、もし万が一国外から強毒性の別株が入ってしまって、国内で蔓延した際には、

また臨機応変に2類などに上げればよいのです。

 

厚労省や政府にはそのあたりの臨機応変な英断を望みます。

ただし、5類に下げるとなれば批判的なメディアや野党は「コロナ軽視だ!」とまた倒閣運動の材料にするでしょうね。

それによる支持率低下を恐れて踏み切れないのかもしれません。

 

また、先日、感染症学会の提言が発せられたと今朝のニュースで報道がありました。

メディアの報道は大々的に「第二波真っただ中」というものが多いようです。

 

実際の感染症学会長のコメントは何もこの第二波を強調したものではなかったように思いますが、

相変わらずのメディアの報道姿勢と言わざるをえません。

 

思い返してみれば、専門家とされる感染症医師が今年の1月2月にテレビで何を言っていたかといえば、

皆、口をそろえて「重症化は少ない、危険性は低い」でした。

 

一例として、SNSでは武漢での閉鎖や異常事態が次々とアップされる中、

感染症専門家としてテレビにも最近まで出演されている国立国際医療センターの医師のコメントがどう報道されたかというと、

感染症が今後広がる見通しは?という質問に対し、

「今回は重症例が少なく、新たな患者が見つかっていないことから、これ以上広がる可能性は低いと思う」

というものでした。

 

今思えば見事に正反対の結果となりましたが、当時はテレビの感染症専門家の方々は揃ってこのようなコメントをしていたのです。厚労省もですが。

 

この先生はその後は新型コロナ重症患者に対する医療体制など、3月頃からは一転、新型コロナの危険性について、

有益な情報を発信されていたと思います。

手の平返しと罵倒する人もいるかもしれませんが、私は「君子、豹変す」ということで良いと思うので、

今後も是非、現状に沿った適切な情報提供をしてほしいと思います。

 

私は当時、彼ら専門家が判断を誤ってしまった原因としては、

中国がこのウイルスに関する情報を隠蔽したことと、国内メディアが中国やWHOの主張をそのまま垂れ流し続けていたことにあったと思っています。

一方で、中国の市井から出るSNSなどの情報をいち早くキャッチし、対応した台湾は見事に防疫を成功させました。

 

専門家の方々がおかしいとは思いません。

専門家の中でも実際には両端、様々な意見の方がいらっしゃるからです。

このブログで紹介した集団免疫説を提唱している方ももちろん感染症の専門家ですし、

他にも、現在のコロナの毒性が感冒なみであることを説明している方もいらっしゃいます。

一方で危険性に注目している方もいて当然です。

 

しかし、テレビなどのメディアで報道されるのは、1,2月であれば「大したことない」とする専門家のコメントだらけ、

3月から現在に至るまでは「医療は切迫している」とコメントする方だらけなのです。

 

本来は常に様々な意見があっていいはずなのに、奇妙にも情報番組に出演する専門家コメントは似通っている。

この偏りに問題があります。

 

これはマスコミが自分たちの報道したい内容と矛盾しない意見の専門家を選んで出演させているからです。

そうでなくとも、彼らは自分たちの報道したい主義に合うようにコメントを抜粋、切り抜くこともありました。

 

そして、

「感染症学会提言、第二波真っただ中」だったり、「重症者、死者、急増」というような文字をバーンと画面の右上に出し続けるわけですね。

 

私は高齢者への感染対策に絞った上で、経済活動を正常化、

2類から5類へ変更、が良いと思っております。

そのためにはマスコミが偏ったコロナの報道をやめる必要があります。

 

 

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