「トラッカー」トム・ブラウン(2) | akazukinのブログ

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「日本史のいわゆる「非常時」における「抵抗の精神」とは真理追求の精神、科学的精神に他ならない」野々村一雄(満鉄調査部員)

トム・ブラウン・ジュニアの「トラッカー」のテクニックを用いて、マイケル・ルパートが警察官として犯罪の真相に迫っていったのなら、良くわかる。


彼の正義感が強い精神性に裏付けられていたこともわかる。


何かものごとに集中して調べるときも、この「トラッカー」のような心理になるものだ。

物事の真贋を見きわめる作業は自然と「トラッカー」になっている。


ゆえに、警察や軍隊でこの訓練が取り入れられるならこの技術は命に係わる危険な職業に従事するものに十分有益になることである。


しかし、真の「トラッカー」となるには、スピリチャルな要素が重要になってくる。

技術だけでは、ネイルのような凶悪犯も生まれかねない。



トム・ブラウンがアパッチ族の古老より一子相伝で伝授されたものはなんだったのか?

原野で生きの残る技術を通して自然との洞察の境地に入ることだろうか。


いつもこのような話に出合ったとき疑問に思うのは、インディアンの古老が伝授者として選ぶのは、なぜ白人なのか?


なぜ、同族の青年ではなく、トム・ブラウンだったのか?


トム・ブラウンは、子どものときにグランドファーザーと一緒に生活していたため原野で生活するほうが自分に合っているという。


しかし、必要に応じて、現代文明の利器をもちいらざるを得ない場合はそれを使う。

移動手段に車を用いたり、飛行機に乗ったり……。


要望があれば警察官や軍人にも指導したり、サバイバルスクールを主催して誰にでも技術の伝承を行なっている。

これは、グランドファーザーの意図することに反しやしないのだろうか。


まだ、『ハンテッド』しか読んでいないのでそのような疑問を解決する個所は出てこないが……

たぶん、大丈夫だろうと私は思う。




いままで、スピリットのイメージがオーラだとか霊界との通信だとか精霊だとか、たいていこのようなものとして際立っていた。


最初に興味を持つ人もこっちの方面の期待が大きいだろう。


このインディアンのスピリットは、それらのイメージとはかけ離れている。


現実の自分の位置から、繋がりを広げていくようだ。


トラッキングの技術もそのようにはじまる。


ターゲットが決まれば、最初の一歩から次の行動を読み取るという地道な作業である。


そのように、原野において動物の動きを予想し、薬草かどうか区別し、食糧や水を確保し、l危険を回避できるのである。


その技術を応用して、逃走者、捜索人の深層心理にまで入り込み次の行動を予想し追跡してゆくのである。

心霊捜査官のように遠隔から透視するようなものとはちがう。




アメリカ大陸のインディアン。


北米のインディアンが文明を築かなかったのに対し、中南米のインディアン(アステカ、マヤ、インカ等)は文明を築いた。


この文明を築いたというのは、制度を整え、ピラミッドとか神殿とか物質文明をもたらした存在がいたからではななったのか。


北米インディアンは物質文明と出会わなかったのか、そぐわなかったのか。

そのかわり精神文明を伝承していたのではないか。




これは、私にとって新しい思想の展開である。

これまで、物質文明の高度さによってその民族の価値を見ている節があったからだ。


物質文明が栄えたところは、支配者と奴隷とが生まれた。
物質文明が衰退し、奴隷階級だったものが残ると文化の継承がされず発展が妨げられた。


物質文明が栄えなかったところは、精神文化が栄えた。 
ゆえに、物質文明を取り入れた他民族に侵略され滅ぼされ衰退させられた。 文明の利器によってである。

しかし、生き残った者に精神の伝承の痕跡が残っている。


北米のインディアンは、見てのとおり生活は狩猟民族のようなものだが、哲学的であるとは言われてきた。


かたや、マヤ族、インカの末裔は、現在、民族として生き残っている人口の割合は多いが、遺跡の上にのっかっている。 

遺跡はあるが、かつてあったはずの文明の継承が希薄であり、技術の断絶がある。

コンキスタドールに侵略され現代にも及ぶ隷属状態が続いていたからなのか?


はたして、今いるマヤ族やインカの末裔たちはかつての文明を築いた民族と同じものだったのかどうか。


もともとは精神性の発展した土地柄、民族だったかもしれない。


それが物質文明をつくるということにあまりにも無頓着であったため、主軸たる集団がいなくなったあと、物質的伝承がなされていないともいえなくない。


北米のインディアンはもとから物質文明を放棄している。◆