あらすじ
数年前……
王立軍に特殊部隊と呼ばれる、正規軍とは別の冒険者で構成される部隊があった。
数十の集まりで構成され、それぞれの隊長が独自色を出しながら正規軍を守り、援護し、時には正規軍を率いることさえあったという。
その中でも異彩を放っていたのが第36特殊部隊。生粋のアタッカー部隊……いや『特攻部隊』と呼ぶものさえいた。
生命を顧みず全力で特攻するこの36番は、正規軍の露払いに度々用いられ、大きな戦果を上げていたという。
しかし………
魔族のチカラを手に入れようとした、時の隊長ジンバは事もあろうに自らの部隊を生贄に捧げたのである。
この悲劇は後に『ルージオの乱』と呼ばれている。
コレはそんな中で生き残った隊員達のサブストーリーである。
走りながら何かを感じ取るリュージ。
シャルロッテ『えっ?!』
周りは雑踏、怒号、爆音ばかりであり、人の声はもうほとんど聞こえない。
声といえば魔物の声ぐらいだ。
しかし、クイッと微妙に方向転換して走り出すリュージにシャルロッテは聞き直す。
シャルロッテ『声……って何も聞こえないよっ!』
そこそこ大きな声で叫んだが、そもそもこの声はリュージに届いているのかどうか……
リュージは『その』方向にまっすぐ向かった!
ギンっ!!
マティアのシールドで寸分違わず魔族の斬撃を受け止める!
受けたシールドをマティアの前に置き、魔族に立ち向かう!
リュージ『立ちなさいっ!!』
シャルロッテ『だ、だいじょぶですか?!』
Σ(,,ºΔº,,*)はっ!
我に返ったマティアは冷静に状況を分析し……
マティア『貴女は……
ヴェルヌ先輩の担当の……』
シャルロッテ『シャルロッテです!』
武器を持っていなかったシャルロッテは手近に落ちていた片手剣を引っ掴み、周りに群がるモンスターに狙いをつける。
リュージ『常に三人で固まって行動しなさい!
盾の娘はヘイト管理とダメージ管理!
今はそれだけでいい!
剣の子はスキルで集中攻撃!
スキルだけ使うのではなく、
フェイントも通常攻撃も混ぜる!
シャルロッテは慣れに徹せよ!
大ダメージなぞ狙わなくてもいいっ!!』
3人に出す、リュージの指示は簡潔で、
それでいて理にかなっていた。
初めて一緒に戦闘する3人はマティアの壁を中心にまとまって戦闘を開始する!
マティアのシールドに光がやどり、魔物の意識を数秒間だけ刈り取る……
たった数秒……?!
いや……
戦場での数秒はそれだけで命取りなのだ……
マティアのヘイトで、モンスターはみごとに釘付けにされている。
いいタイミングで怒らせて注意を引きつけるのだ。
そんな安全を確保された状態で、シャルロッテは慣れない片手剣で殴りつける!
シャルロッテ『わたしっ…!
ぜんぜんっ…!
ダメージ……っ
当てれてな………いっ!』
手応えでわかる。
魔族の硬い皮膚に単に弾かれているだけ。
全くと言っていいほど無力なのだ。
シャルロッテには……この一言で十分だった。
すべての迷いが消え、第36特殊部隊時代に何度も何度も頑張った素振り…その通りにっ……
魔族に何度も小さな攻撃を入れ続けた。
実は……シャルロッテの慣れは弱いながらもパーティのダメージを倍以上に増幅させていたのだ。
それにしても……
即席にしては見事なチームワークである。
それぞれがそれぞれの動きを観察しあっており、味方の力量をしっかり見定めて的確な動きができていた。
やがて……弱い部類だが、初めて魔族を打ち破り小さく喜ぶ三人をリュージは何やら誇らしげに観察していた。
しかし……この状況だ。
数の上で圧倒的に不利である事には変わりなく、4人は少しずつ後退しながら、ルージオの街の端に急ぐ。
その時……!
ふっ……
一瞬の静寂のあと、街の中心に大きな竜巻が発生し魔物が飲み込まれていく。
……その中心には両手剣を構えた、やけに大柄な男が鬼のような形相で魔族を片っ端から蹴散らしていた。
その様子を見てリュージはフッと笑い……
リュージ『さぁ……脱出しましょう』
4人はルージオの街をあとにした。
つづく
ルージオの脱出劇はこんなふうになっていたんですねぇ。
前回の劇場では、火球に当たったはずのシャルロッテがどうやって逃げ切ったか……というのは書かれてませんでしたからね(*´艸`*)
アイオールさんの原作ではマティア、クラウスの2名は死ぬ事になってたのですが、とても魅力的なのでもったいなくて助けちゃいました。
これが吉と出るのか凶と出るのか……
さて、次回はルージオ脱出後のお話。
シャルロッテにとってここからが、本当の波乱万丈のかもしれない……のデス(ó﹏ò。)
お楽しみにっ!
でわでわ……
今日も元気に
行ってらっしゃい♬
またねっ♪(゚▽^*)ノ⌒☆