CANON(SERENAR) 50mm F1.8 | シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

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カメラマンヨッピーのブログ。シネレンズやオールドレンズなどのマニュアルフォーカスレンズをミラーレスカメラに装着して遊び、試写を載せていきます。カメラ界でまことしやかに語られているうわさも再考察していきます。

先日たまたまカメラ屋で見つけて衝動買いしてしまったキャノン ライカLマウントレンズ 50mmf1.8です。このレンズはCANON銘だが同型の初期の頃はSERENAR銘だったらしい。SERENAR(セレナー)とは、キャノン初の自社制作レンズシリーズに付けられた名前である。その後社名であるキャノン銘に変更される。それ以前のレンズはどうしていたかというと、日本光学(現ニコン)に協力を依頼しニッコールレンズの供給を受けていた。今でもたまに中古カメラ店でキャノンカメラにニッコールレンズというハンザキャノンを見かけることがある。ちなみに(SERENAR)という表記をしているのは、このレンズは刻印がCANONであるからだ。発売当初はセレナー銘で売られ刻印もそうだったが、途中表記をCANONに変更した。レンズの構成に差はないそうである。


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4郡6枚の典型的なガウスタイプ(プラナータイプ)レンズ。コマ収差の補正に成功しコントラストの向上に成功したキャノンレンズ史に残る銘玉である。
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CANON SERENAR 50mm F1.8 開放

開放からしっかりとした描写をしている。さすがに拡大するとピント部は少しにじみが見られるが、周囲のボケ感はf1.8とは思えない。最短撮影距離は1mとLマウントレンズの標準レンズとしては普通の距離。一眼レフのレンズに慣れていると少し物足りないが、このボケ感なら悪くない。絞り羽は10枚羽で円形に近い形。現代のキャノンレンズが軒並み8枚羽(EF100mmF2.8L ISは9枚)なのに対しメーカーの本気度を感じます。

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F8まで絞ると画面全体が引き締まる。モノコートっぽいガラス感もクラシックレンズならではである。ピント面の解像具合も悪くない。何よりF8にしてこのボケ感は趣深い。色の発色もまずまずである。もちろん現代のEF50mmF1.8ならもっとシャープで色乗りもいいはずだが、趣の点ではこのレンズが勝る。
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こちらズミタールの開放(F2)。ズミクロンとの比較に時にも書いたが、ピンとのシャープネスは高く、CANONより良いと思われるが、色のくすみが見られる。いわゆる『色のヌケ』が悪い。今回は色調的に雰囲気としてまとまっているが、明るく彩度の高いモチーフの場合は向かないかもしれない。
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F8まで絞った。やはり色乗りは回復しない。そして画面中央あたりにうっすらとハレが起きている。こうやって比べてみるとCANONレンズの良さがわかる。
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CANONレンズの開放とF8を比較してみる。
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ズミタールの開放とF8

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最後にキャノンとズミタールを比較。

ヌケの違いがよくわかる。結果からするとCANON(SERENAR)50mmF1.8はいいレンズのようだ。

おそらくズミタールとズミクロンの間ぐらいではなかろうか。価格のことを考えると、作りといい写りといいかなり優秀なレンズと言える。シングルコートの技術も円熟してきて画面のヌケが格段に良くなったのだろうと思う。

ちなみにこのレンズ1961年に26,000円発売されているのであるが、当時の公務員の初任給が6,500円なので4ヶ月分。現在の公務員の初任給に当てはめると、72万円もする。この計算方法が正しいかどうかは別として、結構な値段であったことにはわかる。今1万円前後で手に入るなら買いなレンズだと思う。