THE THINGS WE DID LAST SUMMER ~過ぎし夏の思い出~ | 美肌ジャズタイム

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『ジャズをもっと身近に』をモットーに、歌とフルートで活動している日本の女性ジャズ歌手若生りえのブログ。ジャズの歌詞について語っています。

電球ここでの解釈は、私、若生りえがあくまでも歌手として歌わせて頂く際の、一つの歌詞の世界であり「こんな気持ちで歌わせて頂いております」という一つの意思表示です。この世界の認識を押し付けたりするものでもありません。あくまでもご参考までに。また文章をお使いになる場合はお手数ですが、ひと言ブログへコメント頂ければ幸いですSAYUうふふ

2009年の再編集

 

THE THINGS WE DID LAST SUMMER
~過ぎし夏の思い出~
1946年
作詞/サミー・カーン
作曲/ジュール・スタイン

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【終わってしまった夏の恋の思い出】

この曲は、ジャズ好きにはたまらない、
ロマンティックで切ない、恋の歌です。


メロディーの美しさ、歌詞のドラマティックさをいえば、あの『Polka Dots And Moonbeams』と同じくらいステキですが、あちらはハッピーエンドに対し、こちらは、秋の訪れとともに二人の関係が終わってしまったという、失恋の曲。

 

歌の主人公は、二人で最後に過ごした『楽しかった夏の思い出』をなかなか忘れられずにいます。

作詞作曲をしたサミー・カーンとジュール・スタインというコンビの作品ですが、こちらは映画やミュージカルのためというわけではなく、ブロードウェイ等のたくさんのヒット曲が生まれた音楽出版社も多い有名な界隈・通りの名前で、いわゆる『ティン・パン・アレイ』から売り出された一曲でした。

 

 

【ブリキ・平鍋・横丁??】

 

ティン(ブリキ)、パン(平鍋)、アレイ(横丁)というのは、音楽出版社も多いこの界隈を通ると、作った曲をその場で試奏したりする楽器やドラムの音があちこちから聞こえたことから、『ここを通るといつもブリキや鍋を叩いているような音があちこちから聞こえてくる通り』ということで、日本風にいうと通称『ドンチャン横丁』なんて言われていたのですね。

 

そこから生まれた、サミー・カーンとジュール・スタインのコンビが書いたヒット曲は沢山ありますが、有名なものでは『Let it snow!Let it snow!Let it snow!』 It's magic』『 It's been a long, long time』などがあります。

【男女ともに歌われるけれど・・・】

 

メロディと歌詞の世界が素敵な歌は、男女ともに好んで歌われる傾向がありますが、男性歌手ならフランク・シナトラ、女性歌手ならジョー・スタッフォード、で人気が出ました。

 

基本、ライブではコーラス部分4段の歌詞が歌われます。

 

The boat rides we would take the moonlight on the lake,
The way we danced and hummed our fav’rite song
The things we did last summer 
I’ll remember all winter long』1段目

The midway and the fun, the kewpie dolls we won,
The bell I(you) rang to prove that I(you) was(were) strong
The things we did last summer 
I’ll remember all winter long』2段目

The early morning hike, the rented tandem bike,
The lunches that we used to pack
We never could explain 
That sudden summer rain, 
The looks we got when we got back,』3段目

The leaves began to fade like promises we made,
How could a love that seemed so right go wrong?
The things we did last summer 
I’ll remember all winter long』4段目

 

 

【彼女の前で、男の強さを証明するハイ・ストライカー!】

 

この歌は男女ともに歌われますが、その場合、2段目の一部分

 

The midway and the fun, the kewpie dolls we won,
The bell I(you) rang to prove that I(you) was(were) strong  

 

 

男性が歌う場合は


The bell I rang to prove that I was strong

力試しのハイ・ストライカー・ゲームでは
僕が見事ベルを鳴らして
強くて男らしいところを
君の前で証明して見せたりしたっけ


女性が歌う場合は

The bell you rang to prove that you were strong

 

力試しのハイ・ストライカー・ゲームでは
あなたが見事ベルを鳴らして
強くて素敵なところを見せてくれたわね
 

と男女で歌詞を変えて歌われます。

 

現代版も販売されている『ハイ・ストライカー・ゲーム』というゲームをする場面を描いています。

 

ハイ・ストライカー

High Striker(高いところへ打つ人)

High→高いところへ

Strikeにerがついて→打つ人

 

古くからあるシンプルなゲームで『力試しゲーム』や『ストロングマン・ゲーム』のように呼ばれていて、日本でいうと、昔ながらの遊園地の一角にある『射的などゲームで勝つと、おもちゃやお菓子の景品をもらえる』ような位置づけのようです。

 

オペーレーターのおじさんは「力試ししませんか?」「ここにいる男の子の中で、本当に強い男の子はいないかな?」などと呼びこみをしたり、子供から大人まで公平に遊べるように、ワイヤーの張り具合などをこの人が調節してくれるのだそう。

 

ハンマーを叩く強さで、ワイヤーと連動した重りをどこまで高いところまで持ち上げられるか?そして目指すは一番上についているベルを鳴らせたら『おめでとうございます!強い男認定です!』と景品までゲット出来るという、昔ながらの力試しのゲームがあり、彼女が観ている前で、彼が強いところを見せる場面があります。

 

実際にわかりやすい動画がありました!

ハイ・ストライカー・ゲーム

 

なるほど!

これは頑張ってベルを鳴らして

いいとこ見せたくなりますね(笑)

 

このゲームについて書かれた1933年、1935年の記事を読みましたが、動画でもわかるように、ハンマーでパッドを叩くと、連動したワイヤーを伝って、オモリがどこまで上がるか測れるようになっています。当時は1.2~6.1mくらいの高さだったようで、基本的にはどこまで重りが上に上がったかの高さを競いますが、一番上にはベル(ゴング)が付いていて、力に自信のある人が思い切り叩くと、見事そのベルを鳴らすことができ、その場にいた人たちも大盛り上がりするようなゲームだそうです。

 

なかなか実際には挑戦した全員がベルを鳴らせるわけではないので、見事、ベルを鳴らすことが出来たら「あの男の人、強いね!」と尊敬のまなざしで言われるような感じのようです。

 

なので、主語が

 

男性が歌う場合は

The bell I rang to prove that I was strong

力試しのハイ・ストライカー・ゲームでは

見事ベルを鳴らして
僕が強くて男らしいところを

君の前で証明して見せたりしたっけ

 

女性が歌う場合は

The bell you rang to prove that you were strong

力試しのハイ・ストライカー・ゲームでは

あなたが見事ベルを鳴らして
強くて素敵なところを見せてくれたわね

 

のようになります。

 

【Bartに感謝!】

 

実は、このハイ・ストライカーのことを2009年の時点では曖昧でいたのですが、長年応援してっ下さっているBartがライブの時にわざわざ「きっとこのゲームのことではないか?」と資料を下さったのが、今回、ここまで知ることが出来たことに大きく役立ち、歌への思いがさらに深まりました。本当に、本当に、どうもありがとう!

 

【ライブではどこからどこまで歌う?】

 

一番下に歌詞を載せておりますが、この歌が作られた時には、ヴァース(VERSE)や最後の(REFRAIN)はなかったようで、フランク・シナトラ、ヴォーン・モンロー、ディーン・マーティンが、それぞれ別ヴァージョンを録音した1959年、1966年あたりに付け加えられたようです。

 

このヴァースやリフレインの両方を入れて録音しているのを聴いたことがないですし、ライブでもし、ヴァース+2コーラス+リフレイン+エンディングまで歌うと、ちょっと長すぎるかも。

 

歌っちゃいけない訳ではないけど、これらの歌詞を知った上で、コーラスだけを丁寧に歌う方法もあるし、どうしても歌いたいなら、ヴァースかリフレインのどちらかを加えて歌うという方が無難かもしれません。

 

一番多いライブパターンは、コーラスを2回歌う、

イントロ+2コーラス+エンディング

です。(2コーラスの前半はバンド演奏等。)

 

アップルミュージックなどでタイトルを入れると、便利なことにその歌を歌っている歌手がずら~っと出てきますが、その演奏時間をみればわかるように、スタジオ録音では1コーラスさらっと歌って終わるヴァージョンがほとんど。3分~3分半で抑えています。ライブでどんな表現がしたいのか、よく考えて構成するといいと思います。

 

 

【誰のを聴く??】

 

男性歌手では、

数々の浮名を流してきた

フランク・シナトラですが、
こういった失恋の歌もまた、

彼の得意中の得意!!
経験が存分にいかされているのかな(笑)

 

ヴォーン・モンロー

ふか~~いバリトンヴォイスを

ご堪能あれ!

 

ディーン・マーティン

あま~~い歌声で歌われたら

うっかりヨリを戻しちゃうかも(笑)

 

サミー・デイヴィス・ジュニアは、

女性歌手のカーメン・マクレエ

一緒に歌っています。

 

最近の録音では、

セス・マクファーレン

ヴァースから歌っています。

 

忘れてはならないのが、

ピアノの巨匠オスカー・ピーターソン
彼の歌声が聴ける『ロマンス/シングス』という中で、
オスカー・ピーターソン自身が弾き語りで歌っている

アルバムがあるんです。

前述の『Polka Dots And Moonbeams』、
『I can’t give you anything but love』

などなど歌っているのですが、

まぁ、どうして!!
これが又良い声なんです!

 

ピアノ弾き語りといえば

ナット・キング・コールも有名ですね!
 

温かみのある声は、
ナット・キング・コールに似ていると
昔から言われていたそうですが、

オスカーピーターソンの方が
「歌は彼(ナット・キング・コール)に

譲た」とか言う話も聞いたことがあります。
お互いを認め合い、尊敬していたんでしょうね
 

女性歌手では、

ジョー・スタッフォード

ポール・ウェストンオーケストラの演奏で

米国ビルボードチャート10位までランクインしました。

王道のしっとり正統派。

 

ナンシー・ウィルソン

ジョージ・シェアリングの演奏で

スウィングで軽い雰囲気で

この失恋ソングを歌っています。

 

私が好きなのは、

ヘレン・メリル

ヴァースから歌っています!

今回は男性の目線からだけでなく、
女性ヴァージョンもアップしてみました!


それでは、そんな

THE THINGS WE DID LAST SUMMER

過ぎし夏の思い出です。


どうぞっ!

 

※()内は女性歌詞です。


英語歌詞
【VERSE】

The weeks go quickly by when hearts are gay

They seem to fly away, too soon, they're gone

Throughout the lonely nights, how hard you try

To lose the memories that linger on

 

【CHORUS】
The boat rides we would take the moonlight on the lake,
The way we danced and hummed our fav’rite song
The things we did last summer 
I’ll remember all winter long

The midway and the fun, the kewpie dolls we won,
The bell I(you) rang to prove that I(you) was(were) strong
The things we did last summer 
I’ll remember all winter long

The early morning hike, the rented tandem bike,
The lunches that we used to pack
We never could explain 
That sudden summer rain, 
The looks we got when we got back,

The leaves began to fade like promises we made,
How could a love that seemed so right go wrong?
The things we did last summer 
I’ll remember all winter long

 

【REFRAIN】

I've tried so to forget
At times I do, and yet
The mem'ry of you lingers like our song

The things we did last summer 
I’ll remember all winter long

 

 


《若生りえ解釈歌詞》

 

男性歌手バージョン

 

フランク・シナトラはヴァースなし。

コーラスからリフレインまで歌っています。

【VERSE】

明るく楽しい気分の時は

一週一週がとても早く過ぎ去って行く

それは飛ぶように…あっという間に…

あっけなく…

 

それがどういうことだろう

つい君を思い出してしまう

一人寂しい夜が明けるまでの

なんと辛く、長いこと

 

消そうとするほどに

楽しかった君との思い出が

いつまでも胸の中を渦巻くのさ

 

【CHORUS】
湖上に光る月光をあびながら2人でボートに乗ったり
僕らお気に入りの曲をハミングしながら踊ったこと・・


でもそれは2人にとって最後の夏の出来事
君のいないこれからの長い冬の間も
僕はずっと思い出すんだろうなぁ

遊園地ではふざけたり笑ったり

そうそう!

力試しのハイ・ストライカー・ゲームでは

見事ベルを鳴らして

景品にキューピー人形をもらったり
僕が強くてちょっとカッコいいところも

君の目の前で証明して見せたっけ


でもそれは2人にとって最後の夏の出来事

君のいないこれからの長い冬の間も
僕はずっと思い出すんだろうなぁ


早起きしてハイキングに行って
2人乗りの貸し自転車に乗ったり
お弁当を持って行って

2人でお昼に食べたり
かと思えばどういうわけか
突然、夏の雨に降られて
帰った頃には2人で

ひどいずぶ濡れになったりしてね

でも、落ち葉が舞い散り始めたころから
まるで僕らの交わした約束も同じように
ばらばらになってしまった
どうして僕らこんなことになってしまったのさ
上手くいっていたんじゃなかったのかい?

 

でも、今となっては全て
二人で過ごした最後の夏の出来事

君のいないこれからの長い冬の間も
僕はずっと思い出すんだろうなぁ

 

【REFRAIN】

こんなにも忘れようとしてきたのに

今だって時々忘れようと努力してみるんだけど

忘れようとすればするほど

楽しかった君との思い出が

湖上で歌いながら踊ったときの

大好きなあの歌とともに

いつまでも胸の中を渦巻くのさ

 

でも、今となっては全て

二人で過ごした最後の夏の出来事
そして僕は

君のいない長く寒い冬の間中も
これからもずっと、ずっと

思い出すんだろうなぁ

 

 

 

女性歌手バージョン

 

ヘレン・メリルは、ヴァースから1コーラスまで歌っています。

 

【VERSE】

にぎやかで楽しい気分の時は

一週一週もとても早く過ぎ去って行くわ

それはまるで

時間が飛んでいくように…あっという間に…

あっけなく…

 

それがどうしたことかしら

ついあなたを思い出してしまう

孤独で寂しい夜が明けるまでの

なんと辛く、長いこと

 

消そうとするほどに

楽しかったあなたとの思い出が

いつまでも胸の中を渦巻くよう・・

 

【CHORUS】
湖上に光る月光を浴びながら2人でボートに乗ったり
私達お気に入りの曲をハミングしながら踊ったこと・・


でもそれは2人にとって最後の夏の出来事
私はこのことを

あなたのいないこれからの長く寒い冬の間中
ずっと思い出すことでしょう


遊園地ではふざけたり笑ったり
そうそう!

力試しのハイ・ストライカー・ゲームでは

あなたが見事ベルを鳴らして

景品のキューピー人形をもらったり
強くて素敵なところを見せてくれたわね

 

でもそれは2人にとって最後の夏の出来事
私はこのことを

あなたのいないこれからの長く寒い冬の間中
ずっと思い出すことでしょう


早起きしてハイキングに行って
二人乗りの貸し自転車に乗ったり
お弁当を持って行って

お昼に一緒に食べたり
かと思えばどういうわけか
突然、夏の雨に降られて
帰った頃には二人

ひどいずぶ濡れになったりしてね

でも落ち葉が舞い散り始めたころから
まるで私達の交わした約束も同じように
ばらばらになってしまった

あんなに楽しい日々だったのに
どうしてこんなことになってしまったの?
どこで道を間違えたというの?

 

でも、今となっては全て
二人で過ごした最後の夏の出来事

そして私はこのことを

あなたのいないこれからの長く寒い冬の間中も
ずっと思い出すことでしょう

 

【REFRAIN】

こんなにも忘れようとしてきたのに

今だって時々忘れようと努力してはみるけれど

忘れようとすればするほど

楽しかったあなたとの思い出が

湖上で歌いながら踊った時の

二人が大好きだったあの歌とともに

いつまでも胸の中を渦巻いてはなれない

 

でも、今となっては全て
二人で過ごした最後の夏の出来事

そして私はこのことを

あなたのいないこれからの長く寒い冬の間中も
ずっと思い出すことでしょう

 

 

 

 

 

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