夢の田舎☆暮らし(無職)

移住した。

もう誰も覚えていないと思うが、田舎の家ゲットだぜうぇあ！みたいな事を書いてから早7年。来年こそは、来年こそは、えーと再来年くらいには移住してみよっかな...とか言い続けていたら、あらビックリ、長い年月が経過してしまった。

まぁ、もともと深刻さの足りない人生であることだし、本ブログの賢明たる読者諸氏におかれましては、わたくしが気まぐれでテキトーな人間であることは、広く知れ渡った事実でありましょうから、驚くに値しない出来事であるとは思いますが、もう一度ここに報告しておきます。

伊豆の山に移住した(ビーチまで徒歩５分)

さて、世にいう、移住、田舎暮らし、セミリタイア等の語句から連想されるものはなんだろう？

田舎のあたたかい人たち、慣れないながらも新鮮な楽しい生活、都会と違ったのんびりした環境、などが思い浮かぶころであろうと思うが、わたしに関しては何ひとつあてはまらない。

***

まず、山の別荘地なので人がいないのだ。人が暖かいも冷たいもない。

隣の家もその隣の家も別荘なので通常ひとがいない。定住している方々もいるが、そんな環境なので一般的な田舎のイメージのおっちゃんやおばちゃんではない(軽トラじゃなくて高級車に乗ってたりする)。そもそも移住組が多いので都会と同じように一定の距離感が保たれ、お互いのテリトリーには極力侵入しない不文律が存在しているのだ。そして、お山の政府ともいえる自治会は、別荘地の管理会社から引き継ぎをされた住民の集団なのでドライであり、自治会費さえ払ってればあとは勝手にやってちょ～だい～、ゴミ捨ての日も好きにして～、くらいのノリなのである。

まじか。普通田舎つったら、町内会のいろんなアレとか、強制参加の消防団とかそういうあれこれとかあるって聞くじゃん？そんで消防団のイケてるガイズとの電撃的な出会いがあって、おしゃれな恋に発展しちゃうかも、的な展開があると思うじゃん？

ない。あいかわらずのぼっちである。

改修中の地下の作業場

また、特にのんびりしているわけでもない。忙しいのだ。

今の時期は落ち葉だ。落ち葉が凄い。海の近くと言えども基本は山であり森なので大気中の主な構成要素は木、樹木である。コナラとかカシとか杉とか桜とかそういう連中だ。

それらの樹木が９月末くらいから一斉に葉を落とし始めるのである。結果、毎朝家の前の道路に散乱する落ち葉を竹ぼうきで履くハメになるのだ。量は毎日ゴミ袋(Lサイズ)1つ分くらい。くわえて近隣に住民がいないので、向こう３軒分くらいの道路を掃除することになる。どうせ風が吹けば飛んでくるので自分の家の前だけ掃除しても意味がない。また、前述のように自治会(町内会)が超ゆる～～～いので、「さあ！みんなで協力して掃除しましょう！」なんてこともない。「落ち葉？落ちてくるからしょうがねえなぁ～」くらいのもんである。町内会とはなんなのか・・・

野生動物も跋扈しており、自治会の会報に『イノシシにエサやりすんじゃねえゴルア！』みたいなことが書いてある。一般のひとが野生のイノシシを餌付けしようとするのも驚きだが、自治会の人もコナンくんみたく「むっ！これはイノシシのエサ！」とか解るんだろうか。

そんなふうに『イノシシ』vs『イノシシと戦う人間』vs『イノシシにエサをやる人間』の三つ巴の攻防が、お山で密やかに繰り広げられている。ウォーキング・デッドみたいな話だ。そのうち要塞化されたイノシシのエサやり場とかが登場して戦いが本格化してくるかもしれない。そうなったら楽しい。どの勢力につくか悩むところだ。

そんなわけで環境はいろいろ変わったのだが、劇的な変化があったのかと謂うと、ぶっちゃけわたしの生活は何も変わっていない。あいかわらずぼっちで、いい加減で、ぼんやりとしたライフスタイルだ。これは驚くべきことである。世の『田舎に移住してスローライフ、ハッピー☆リタイヤ』を目論む人々は是非とも知っておいて頂きたい。なにも変わらないのである。

やるべきことの内容が変わるだけで、やるべきことの数は変わらないのだ。それらに関する労働負荷は相変わらずだし、タスクの名前が変わるだけで、生きていくためにやるべきことはやるべきことの姿のまま、わたしのそばに常に存在しており、それらを処理するために毎日パタパタと動き回っている。場所が変われば気分も変わるだろう。気候が自分に合えば、楽なことも多いだろう。だが、人ひとりが生きていく為にやらなけばならないことの総量は常に変わらず、ひとはそれに振り回されるのみなのだ。

あと、なんか出勤とかしないから近隣のひとに無職だと思われていることも申し述べておく。なんか説明も面倒なのでフラフラしてる無職でいいですもう。