【3.11東日本大震災】人命より体裁を優先した民主党政府(現・立憲民主党) | 中谷良子の落書き帳

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核武装・スパイ防止法の実現を

もうすぐ東日本大震災から13年。この台湾の故・李登輝総統の発言を見ていると、やはり今回の能登半島地震における石川県への台湾救援部隊派遣を政府が拒否したのも各国の支援要請を断っていると仰っておられましたが、中国の顔色を窺っていたような気がしないでもないですね。

★人命より体裁を優先した民主党政府★

二〇一一年三月十一日、東日本大震災発生のニュースを、多くの台湾人は悲痛な思いで見守っていました。そして未曾有の災害に遭いながら天をまず、じっと耐え、整然として救助を待つ規律ある日本国民の姿に感動と尊敬の念を抱きました。

台湾人だけでなく、全世界が日本人の良識ある行動とマナーのよさ、礼儀正しさを知って驚嘆したはずです。気がついていないのは日本人だけで、外国から見ると、日本人は本当に精神性に優れた民族なのです。私が総統時代の一九九九年、台湾中部で大地震が起きたときに、日本はその日のうちに世界に先駆けて百四十五人の国際消防救援隊を差し向けてくれました。

各国の救助隊のなかでも最大の規模でした。

義捐金も世界中でいちばん多かった。さすがは日本人だと台湾人は感動しました。あのとき日本から受けた恩義と友情を、私ばかりか台湾人民は忘れたことがありません。台湾人は友情を最も大切にします。

曽野綾子さんが当時会長を務めておられた日本財団からは、三億円の義捐金のお申し出がありました。しかし、当時、台湾政府にはかなりの義捐金が集まっており、もっと有効に利用したいと考えた私は、民間の救助隊であるNGO組織の「中華民国国際捜総隊」の設備やハイテク機器にそのうちの一億円を充ててそろえたのです。

私は曽野さんに「この救助隊は日本に何かあったときは真っ先に駆けつけます」と約束しました。その約束を果たすときがきたのです。

ところが、残念なことに、時の民主党政府関係者から意外な抵抗に遭いました。

大態災が起きた翌十二日の早朝、私は娘婿の瀬団光に頼み、救助隊をどの被災地に行かせるべきか、日本側の窓口である財団法人交流協会台北事務所と交渉させようとしました。交流協会とは、台湾における日本大使館にあたります。ところが土曜日だというので、まったく連絡がとれない。

別ルートで、私の日本人秘書が、台中市の台中日本人学校の卒業式に出席していた交流協会の総務部長とようやくコンタクトがとれました。彼は電話でこう言いました。「今井(正)大使に伝えます。一時間待ってください。」しばらくして、連絡が入りましたが、その答えは次のようなものでした。「まだ日本では救助隊の受け入れ態勢が整っていません。救助隊の人数などを知りたいので、責任者の連絡先を教えてください。」

ところが、総務部長から再び連絡があったのは、さらに一日たった日曜日、十三日の昼で「日本の自治体のほうで手の施しようがなく、どのようにすればいいのかわかりません。救助隊の要請はもっと先になるとのことです。したがって捜教総隊には連絡をしておりません」

ご承知のように、自然災害では七十二時間経過すると生存率が急数に低下します。一刻の猶予もならない。しかも、その日には米軍と韓国の救援隊が到着し、中国も派遣を表明しているのです。

にもかかわらず、なぜ台湾には要請がないのか。われわれは日本政府の対応を待たず、十三日の朝八時には、医師二人を含む総勢三十五人が成田空港に向けて出発しました。総務部長から「要請はもっと先になる」と返事があったときには、すでに成田に到着していたのです。捜教総隊の隊員や機材を運んでくれたのはエバー航空(長栄航空)。

そもそも救助隊のチケットを予約していたチャイナエアライン(中華航空)は「台湾外交部が同意していない」と発券を拒否。困りはてた救助隊がエバー航空に打診すると、数百キロの救助機器も含め、隊員全員を無償で日本まで運んでくれたのです。

日本で受け入れてくれたのは山梨県のNPO法人、災害危機管理システムEARTHでした。このときの日本政府は中国の顔色をうかがっていたとしか思えません。もしも被災された方々がこのことを聞いたらどう思われるでしょうか。

救助を待ち焦がれているのは、国の利害関係や政治イデオロギーとは関係のない被災者なのです。160中国政府の救助隊が十四日に日本に到着し、宮城県で救助活動を行ったことは報じられましたが、それよりも一日早く到着した捜救総隊の活動についてはあまり報じられませんでした。

岩手県大船渡市を中心に救助活動を行ったのですが、あえて広報活動をしなかったのだから、やむを得ません。さらに日本政府は、各国の支援に対する感謝広告から台湾の名を外しました。これも台湾の呼びかけを無視したのと同様の政治的謀略です。

中国に媚びるために台湾国民の善意を踏みにじり、台湾救助隊の到着を遅らせた。そのせいでどれだけの人命が失われたかわかりません。民主党政府の判断は慈悲ある人間の行為とは思えません。民主党政府は、人命より体裁を優先したのです。