今回のキネマ旬報で香川照之さんの連載「日本魅録」が最終回を迎えた。
なんだか突然だなあと思いながらもそれでも最後に書かれた
「これから進む試練の道」への力ある宣言がこの終わりを納得いくものにさせた。
10年ほどの連載期間のはじめから全て読んでいたわけではない。
香川さんの「鬼子来了ー鬼が来た!」の撮影日記を収めた
「中国魅録ー鬼が来た!撮影日記」を読んで
なんてこの人は臨場感あふれる文章を書くんだろうなあと思ってからのことだ。
読んでいるとその現場をありありと思い描ける。
さすがの頭の良さと元来の活字好きもあって非常に語彙が豊富。
何より現場にふらっとやってきてその日だけみて帰るライターとは違い
(もちろん密着されているライターさんもおられますが)
ずっと現場にいて、監督やスタッフ、そして共演者の動きを見ているのだから
思い入れは半端ないし、細かい状況を書いてくれる。
まだ情報公開前で書けないことだらけでも
かける範囲で「彼の目で」見たことを書いてくれる。
それはスタッフのことや役者のこと、なんとエキストラのこと、
作品のことまで非常に幅広かった。
映像を愛する人全てを懸命に書いてくれていた。
特にエキストラの話については私が事務所をやめて
エキストラでもいいから復帰したいと思うまでの間の区間で読んでいたものであり
非常に印象的だったために
その後、実際にその方にお会いできた時には非常に嬉しかった。
(某映画ではその方と一緒に共演もさせていただいてますが(笑))
終わりは始まり。
また違う形で香川さんの文章に出会える日が来ると信じています。
文章を書くものとしては本当に目標の文章です。
これからもきっと。