12年越しのアイラブユー
Side-A
《11》
翔ちゃんも、酔ってる?
酔ってるかな、
酔ってるよね、そうじゃなきゃこんなこと・・・
だって・・・
翔ちゃんもうオレのことなんて全然気にしてないはずじゃん。
あれから翔ちゃん何か言ってくることもなかったし
収録の時だって普通だったし
他のメンバーともオレと同じようにふざけてたし。
「おやすみ。」
グルグル考えてたのに、
翔ちゃんがそう言って動かなくなった。
・・・あれ?
翔ちゃん?
もしかしてホントに寒いだけでくっついてきてたの?
さっきのって、もしかしてたまたま触れちゃっただけ?
そもそも、唇じゃなかった?
酔いと
夜と
ぬくもりが
オレの判断力を鈍らせる。
オレの中の矛盾を、
容赦なく引きずり出してくる。
翔ちゃんに触れたい。
・・・コイビトにはなれないけど。
翔ちゃんに触れられたい。
・・・関係は変えたくないけど。
そっと、
脇から伸びた翔ちゃんの腕に手を添えてその指先に触れてみる。
翔ちゃんの指が、ピクッてなって
それから、
オレの指を絡め取った。
キュ、って、指に力を入れると
もう一回、
翔ちゃんの唇がさっきのトコに、
今度はゆっくり、はっきりと触れた。