またまた、ローカーボ食研究会HPからの引用です。どっかの立派なお医者様の先生のおっしゃっていた「縄文タンパク食」は、どうなったのでしょうか??
先生は、一流のストリーテラーなので話は面白くもっともらしく、ど素人サイエンティストの私など素直なものですから、信じてしまいました。
しかしながら、どうやら、この例でもわかるようにエビデンスのない話をつなぎあわせた健康エンタメ小説と理解するのが、よろしいかと存じます。
http://low-carbo-diet.com/low_carbo_food/to_dr/contents-of-review/section1/foods-jomon2/
発掘調査では骨や炭化した植物以外には炭水化物は出土しません。数千年間の間にCaが豊富な土壌でなければ人骨さえ消滅するのですから,炭水化物が残るはずがありません。
わずかに出土が可能な炭水化物は,土器の底に炭化した炭水化物だけで,そのようにして偶然にみつかった炭水化物がヒエ類とアズキです。
残念ながら芋類の痕跡は出土していませんが,研究者たちは間違いなく食べていたと予想しています。
当時の食生活を復元するために最も科学的で信頼が高い方法として,骨のコーゲン蛋白のCとNの同位体を分析して植物由来の蛋白と動物由来(魚介類 や大動物など)の蛋白を解析する方法があります(南川雅男他:人類の食生態系における炭素・窒素同位体の分布,地球化学,22号,1991年)。
この研究によると縄文時代では北海道を除けば,縄文人の人骨コラーゲン蛋白の35~65%(重量比で復元すると推定7~9割)は植物由来で,動物由来ではありません(南川雅男,炭素・窒素同位体に基づく古代人の食生態の復元,技報堂,1996年)。
北海道では海産大型動物の比率が少し高くなります。
その植物蛋白はどのような植物資源に由来しているのでしょうか。専門的にはC3群(米,麦,堅果類,芋など多くの食用植物)とC4群(ヒエ,あわ,トウモロコシなど)などです。
このうち縄文時代に食べていたのは,堅果類(トチ,しい,かし,くり,こならなど)とヒエ,緑豆です。さらに,山芋,天南星なども食べていたのはほぼ間違いないようです(中尾佐助:栽培植物と農耕の起源(岩波書店))。
これらは蛋白と同時に多くの炭水化物を含みます。一部は有毒なので水に曝す,天南星は熱することでアクを取り,無毒化していました。
また,簡単な自家栽培はあったようです。たとえば芋,ヒエを植えて,人糞を土壌にまくと,りっぱな栽培になります。
堅果類(ドングリ,栗など)と芋類それも天南星の根茎までも含めると,四季のほとんどで炭水化物・糖質を食べることが可能になります。水に曝す,熱する,貯蔵するのに縄文土器が使われていました。
A先生によると,土器の種類の豊富さは世界屈指で,日本人は縄文の昔から土器が大好きだったようです。
一方,動物性脂肪・蛋白質の中でも陸上動物に由来するものの70~80%がシカ・イノシシからで,残りは小動物です。
しかし,これらからの蛋白質による骨コラーゲン蛋白の組成比はせいぜい10~20%程度の場合が多く,たまにしか食べられなかったはずです。
このように骨コラーゲン蛋白の35?65%が植物蛋白質由来,とくに炭水化物由来であることは,縄文時代が肉食中心ではなく,従来の想像以上に炭水化物・糖質中心の食生活だったと考えられます。