隋書にある阿蘇山とは一般的な火山のことだった | 日本の歴史と日本人のルーツ

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『隋書』の「東夷伝」と呼ばれるものは、第81巻列伝46にあたる。この書の中では、当時の俀國(倭国 ヤマト政権)とその王多利思北孤や朝鮮半島にあった高句麗、新羅、百済と琉求について記述されている。

この俀國についての説明の中に阿蘇山が出てくる。倭国は九州にあると主張する人はこの阿蘇山を根拠にするが、当時は阿蘇山とは一般的に火山のことであり、九州に限らないことを指摘する。九州の阿蘇山の当時、7世紀の噴火活動は記録に無く、隋書に特に描かれる程の活動は無かったようだ。

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参考

① 「阿蘇」の語源

「アソ」の語源を探ろう。「地名語源辞典」によると、アソという語は火山や温泉に関係した語で、特に「煙、湯気」を意味する南洋方面の aso、asapなどという語と関係があるようだ。また、アイヌ語 asoy-ye(穴を作っている溶岩)の略がアソとなったともいう。アイヌ語ではまた a-so(もえる・岩、熔・岩、噴火口)だともいう。ラテン語で「焼く、あぶる」ことを asso 、「火山灰」のことを英語で ash、ドイツ語で ascheといい、これらの語はアソとにた点がある、というのだ。書店で「ポルトガル語辞典」を立ち読みしていたら、「assado 焼いた、あぶった。assadura 焼くこと」とあった。多くの言語が共通の根を持つことがわかるが、「as」の語幹を持つ言葉が火山や火に関して共通していることはおもしろい。

確かに、全国の火山や温泉地を調べてみると as の語幹を持つ地名が多いことはすぐにわかる。この点に注目して九州以外の地名をざっと探ってみる。

鳥取県の浅津温泉(あそづおんせん)。静岡県の朝日岳(あさひだけ。すぐ南に寸又(すまた)峡温泉がある)。愛知県東加茂郡の旭町(あさひちょう。矢作川の上流にあり、矢作渓谷は温泉郷)。富山県の朝日町(あさひまち。町を流れる小川の上流に湯量豊富な小川温泉元湯がある)、阿曾原(あそはら。黒部渓谷下ノ廊下の下流部左岸の狭い段丘面の地名。阿曾原温泉)。長野県の朝日村(あさひむら。松本盆地の南西端。盆地を北東へ流れる鎖川(さがわ)の隆起扇状地の上に火山灰土壌が堆積した乏水性台地が多い)、浅間温泉(あさまおんせん。長野県の代表的な温泉)、東村(あずまむら。上信越火山郡の四阿山(あずまやさん)から流出する米子川と鮎川の渓谷に沿う集落)。静岡県の愛鷹山(あしたかやま。富山県東南東の洪積世の複合火山)。三重県の阿曾(あそ。度会(わたらい)郡大宮町。阿曾温泉がある)。長野・群馬の県境にそびえ立つ浅間山(コニーデ型の活火山)、四阿山(あずまやさん。コニーデ型の火山で吾妻山(あがつまやま)ともいう。北東に白根山、南東に浅間山がみえて三火山が**立している)。神奈川・静岡県境の足柄峠(あしがらとうげ。箱根火山の外輪山の一部をなす金時山の北、いわゆる足柄山の山中にある峠)。神奈川県の足柄平野(あしがらへいや。西縁には箱根火山の外輪山がその裾野を延ばしている)、芦ノ湖(あしのこ。箱根火山の火口原湖)。群馬県の東村(あずまむら。吾妻(あがつま)郡の東南端。その一部は**名火山の山麓面にかかる。群馬県には佐波(さわ)郡に同じく東村が、また茨城県にも東村(関東ローム層)がある)青森県の浅虫(あさむし。東北でも有数の温泉町)。福島・新潟県境の浅草岳(あさくさだけ。火山で、浅草山ともいう)。福島県…………、(紙面の都合であとの何行かを削除する) 以上、『日本地名大事典(朝倉書店)』による(
参考)。


② 隋書の中で阿蘇山が出てくる前後の文章(ヤフー知恵袋より)

死者斂以棺槨、親賓就屍歌舞、妻子兄弟以白布製服。貴人三年殯於外、庶人卜日而瘞。及葬、置屍船上、陸地牽之、或以小輿。有阿蘇山、其石無故火起接天者、俗以為異、因行禱祭。有如意寶珠、其色青、大如雞卵、夜則有光、云魚眼精也。新羅、百濟皆以倭為大國、多珍物、並敬仰之、恒通使往來。

死者は棺槨に納める、親しい来客は屍の側で歌舞し、妻子兄弟は白布で服を作る。貴人の場合、三年間は外で殯(かりもがり=埋葬前に棺桶に安置する)し、庶人は日を占って埋葬する。葬儀に及ぶと、屍を船上に置き、陸地にこれを牽引する、あるいは小さな御輿を以て行なう。阿蘇山があり、そこの石は故無く火柱を昇らせ天に接し、俗人はこれを異となし、因って祭祀を執り行う。如意宝珠があり、その色は青く、雞卵のような大きさで、夜には光り、魚の眼の精霊だという。新羅や百済は皆、倭を大国で珍物が多いとして、これを敬仰して常に通使が往来している。


③ 熊本県の阿蘇山の由来は火山と言う意味のアソの音に阿蘇の漢字を当てはめた(wikimameより)

阿蘇という名前はアイヌ語の「火を吐く山」という意味の言葉からともいい、日本書紀の中には、景行天皇18年6月16日条に《阿蘇の国に来られた。その国の野原はひろく、遠くまで人が住んでいる気配はまったく無い。そこで天皇はおっしゃられた。「この国には人は居ないのだろうか」そのとき、阿蘇津彦(アソツヒコ)・阿蘇津姫(アソツヒメ)の二神が人の姿になって現れ「われら二人あり、何ぞ人無しとおっしゃられるのです」と言われた。》とあります。何ぞという「何」は「阿」にも通じ 阿そ 即ち阿蘇という呼び名が生まれたともいうのです。

肥後国風土記には肥後の国閼宗(アソ)の県(さと)と記されています。また日本後記には、肥後国阿蘇郡山上に沼あり、その名神霊地(シンレイチ)という。と書かれ郡の名を示しています。

また和名抄(ワミョウショウ)という書物には阿曽とかかれています。このように「アソ」という発音に文字をあてはめているようです。中国の書物、隋書にも「いわれなく阿蘇山に火がおこって石が天までふき上がり、人々は不思議な思いと、おそれの気持ちで祭ごとを行った。」といった意味のことが書かれています


④ 7世紀ころの火山活動

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隋の使いが来日した7世紀は阿蘇山は目立つような火山活動はなく、小野妹子と一緒に東行する周防灘沿岸から見える鶴見岳などもはっきりしない(参考)。


⑤ 隋書




⑦ 阿蘇はどこにでもある海人族安曇氏の地名(参考)