夜のパリ/ジャック・プレヴェール
三本のマッチ 一本ずつ擦する 夜のなかで
はじめのはきみの顔を隈くまなく見るため
つぎのはきみの目をみるため
最後のはきみのくちびるを見るため
残りのくらやみは今のすべてを想い出すため
きみを抱きしめながら。
(小笠原豊樹訳)
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ジャックプレヴェール。好きな詩人です。
そしてブラッシャイの写真集。
ブラッシャイは、ハンガリー出身で、ヘンリー・ミラー、ジャックプレヴェールらと「夜のパリ」を歩き回り、特に娼婦や恋人たちの作品を多く残したパリで活躍した写真家です。
ピカソ、ジャコメッティ、マティスなど同時代の芸術家たちとも親交がありました。
また、岡本太郎ともパリに留学中のときから交わり、戦後再会したときに彼の写真を気に入った太郎は、自ら日本の出版社を回り、1977年に写真集『未知のパリ・深夜のパリ』をみすず書房から発表することになったそうです。
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19歳の時、初めて行った海外がロンドン、そしてパリでした。ちょうど今ぐらいの時期、大寒波の年で凍えるような寒さを経験しました。
パリ行きは予定に入って無かったのですが、急遽、行くことになりパリの空港のホテル案内所でホテルの予約をしたことを思い出します。シテ島のセーヌ川流れる裏路地を入ったところのこじんまりしたホテルに泊まりました。
夜のパリの裏路地は、まさにブラッシャイの撮った世界でした。
私にとっては、家族全員での最初で最期の海外旅行でしたので、忘れえぬ思い出の地です。
フランスだけでなく、世界のどこかで尊い命が奪われている、今回のことを機に色々考えさせられた。
人間は美しいものを生み出すことができる。
反面、人間は恐ろしいものも生んでしまう。
人それぞれ感じ方や考えが違うのは当たり前で、それを赦す心の広さが大事なんではないかと思うのです。