子育てにおいて親は、子供を叱ったり、口うるさくいったりするのは「子供のため」だと思っています。しかし、それは偽善であり、自分でも気づかないうちに「思い通りに育てたい」という支配欲にとらわれているのです。つまり「子供のため」ではなく、「自分のため、自分の力を実感するため」に叱ったりガミガミ言ったりの命令を下していることが大半だと思われます。子どもとの関係をよくするには、偽善の仮面の内側にある真の気持ち=「自分のため」を自覚すること。そうすれば、「こうしてほしい」「こうなってほしい」といった、子どもへの過剰な「期待」が薄れます。そして子どもには、「部屋が散らかっていると私が落ち着かないから、片づけてほしい」などと言うようにしたほうが、より伝わりやすいでしょう。
僧侶 小池龍之介