ニューヨークに旅行に来た日本人が感じることの一つが、街で見かけるニューヨーカーって意外と地味ではないか、と言うことだと思います。
通勤客でごった返すグランドセントラル駅やオフィス街のミッドタウンを早朝に歩いてみても、目を奪われるようなおしゃれな人はほとんど見当たりません。
その一方で、話題のレストランやカフェ、ホテルに行くと、ドラマや映画のような光景が広がっていたりもします。
このギャップはどこから生まれてくるのでしょうか。(この記事はシリーズ化しているので、前回の記事がまだの方は、こちらからどうぞ。)
ニューヨーカーは、TPOに合わせて、装いを180度変えているのです。
同じ人でも、朝の出勤途中、職場、平日夜の女友達とのごはん、週末のデート、クラブやバーに行く時とで、全く違う人のように七変化しています。
今流行りのNOMADにある有名ホテルから颯爽と現れた美しい女性二人。
以前、こちらのブログでも書いたことがあるのですが、通勤中に歩きにくいハイヒールを履き、社内で履きやすいサンダルに履き替える日本のOLさんと真逆で、ニューヨークの女性は、通勤ではぺったんこの靴で歩き(トリーバーチのフラットシューズが流行るのも納得です。)、会社に着くと、かばんに忍ばせていたヒールに履き替えます。
ニューヨークでは、職場では「仕事のできる女性」というイメージを植えるために、ミニスカートにハイヒール、逆に、誰に見せる必要もない通勤中は歩きやすい靴を履くのです。
これについては、以前アメリカ人の男性の同僚が、"You want to impress others by your heels at work, but you don't have to outside of work."と断言していました。
週末の夜になると、きれいにセットした髪の毛に、通常友人と会う時には着ないような華やかなワンピースにピンヒールでタクシーを探している女性たちを見かけることがあるでしょう。彼女たちは、間違いなく夜ご飯の後クラブへ向かうところなのです。
そんな人たちを見たことないと思われるかもしれませんが、マンハッタンの街はぼこぼこしていてピンヒールには最も不向きである上に、ホームレスも含めて色々な人が乗っている地下鉄でそんなに着飾っていたら浮いてしまう等様々な理由で、そうした彼女たちが着飾っている時の移動はタクシーかUBERです。そのため、普通に街を歩いていたり、電車に乗っていても、そうした人たちに出会うことはないでしょう。
バスを待つユダヤ人の男性。ユダヤ教徒の中でもオーソドックスと呼ばれるグループに属する男性は皆このような格好で街を歩いています。こうした男性たちが集合で歩いていると少し威圧感があったりします。
日本人でも、それぞれの場面に応じて服装を変えていると思いますが、それでも、一定の枠の中に収まっているように感じます。
日本人の変化とは比べ物にならないぐらいに同じ人が場面に応じて変化するのが、ここニューヨークの大きな特徴です。
どのように変化するのか、それは、どのような場面に身を置き、その場面でどういう自分を見せたい(魅せたい)かにかかっています。
自分で自分をプロデュースするのです。