横浜みなとみらいでリアルな「ファイティング・オペラ」が開催! | 高木圭介のマニア道

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~浮世のひまつぶし~



 なんとも畑違い…いや場違いな仕事が舞い込んできた。それは何とナンと「オペラの司会」だ。相方の山口雅史君(自称nMo社長)が実況、そして私が解説と、まるでプロレス中継のような体裁でオペラのイベント(12月12日、午後7時から横浜みなとみらいホール小ホールにて開催)の司会を務めろというのだ。


 これまで山口君と私のコンビはプロレス、総合格闘技、野球大会、ちびっこ相撲、そしてアームレスリングの実況解説の経験はあるが、当然ながらオペラの司会などまったくの初体験。まあ山口君は日大芸術学部の、たしかオペラ学科卒で、お父様も有名なオペラ歌手で、かつては東京12チャンネルで「3時のオペラクイズ」なんて番組をやっていた気もするし、かくいう私も神奈川大学のオペラレスリング部出身という経歴を見込まれてのオファーだろう。


 もちろん単なる普通のオペラコンサートではない。現在、オペラ界で犬猿の仲にあり、何かと醜く誹謗中傷し合っている泉良平(バリトン)新津耕平(テノール)がお互いの歌で勝負し、その勝者のみがクリスマスイブに横浜ベイホテル東急にて開催される「A FiveStar Christmas Party 2014」にて、その歌声を披露する資格を与えられるというものだ。

 一見、コワモテなヤ●ザ風の泉は、その歌声のみでワイングラスを割ってしまう威力から「バズーカ・バリトン」と恐れられているだけでなく、「オペラ界のジャイアン」と歌手としては致命的なアダ名で呼ばれるが、決して歌声が「ボエ~」というワケではなく、名門・東京芸術大学声楽家を首席卒業し、現在は洗足学園大学声楽家の客員教授を務めつつ数々のオペライベントに出演する実力派。一方の新津は「ハイパー・テノール」の異名を持ちつつ、二期会をはじめ数々の団体のオペラに出演する若手実力派として注目を集めている存在だ。この2人、落語界なら桂歌丸と三遊亭小圓遊、漫画家の世界なら鈴木義司と富永一朗の如き、犬猿の仲となってしまい、今回のこのイベントで決着をつけることとなった次第。勝者がクリスマスイブに横浜の高級ホテルで歌う権利を得られるならば、敗者は富永一朗先生が描く鈴木義司先生の生活ぶり…いや、まさに「ジャイアンリサイタル」のように空地の土管を住処やステージとして歌い続けることになるのだろう…。まさに明と暗、光と影、天国と地獄。オペラ界の巌流島決戦なのだ。


 まずイベントの第一部では泉が「もう飛ぶまいぞこの蝶々」「プロバンスの海と陸」「みみずく」、新津が「女心の歌」「人しれぬ涙」「フニクリ・フニクラ」を歌い、ベーシックな形で歌声を披露する。そして「ガチンコ歌合戦」と題された第二部では「クイズ・ドレミファドン!」形式のイントロクイズで、先に曲名が分かった方がマイクの前に立ち、正確にその歌を歌うことで得点を重ねる。それでも決着がつかなかった場合は休憩中に観客席から集めたリクエスト用紙(1人1曲のみ)を入れたBOXからクジ引きの要領で、引き当てた曲を歌うことで勝敗を決することとなる。歌えなかった場合は即終了というサドンデス形式だ。リクエストはオペラ楽曲と限らない。AKB48でも船橋ヘルスセンターやライオネスコーヒーキャンディーのCMソングでも増位山太志郎の「そんな女のひとりごと」でも、さいたまんぞうの「なぜか埼玉」でも何でもかんでも、オペラ歌手のプライドに賭けて歌い切らなければ、勝者とはなれない。厳しくもどうかしている、おかしなイベントなのだ。

 幸い、まだチケット(一般2500円、学生1000円)は売るほど有り余っているそうなので、実力派オペラ歌手による運命の対決、このリアルな「ファイティング・オペラ」に興味を持たれた方は横浜みなとみらいホールに急げ!